日本医療政策機構とは 年報・最近の活動レポート
Current Activities (April ― June 2023)

最近の活動(2023年4月~6月)

CONTENTS


日本医療政策機構とは

非営利、独立、民間——そしてグローバル

日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)は、2004年に設立された非営利、独立、超党派の民間の医療政策シンクタンクです。
設立当初より「市民主体の医療政策を実現すべく、独立したシンクタンクとして、幅広いステークホルダーを結集し、社会に政策の選択肢を提供すること」をミッションに掲げ、さらに「特定の政党、団体の立場にとらわれず、独立性を堅持する」との行動指針にもとづき活動を行ってまいりました。今後も、政治的な中立性はもちろんのこと、あらゆる団体からの独立性を堅持し活動を展開してまいります。

 

 

Top Global Health Policy Think Tanks 2020

世界3位のシンクタンクに

ペンシルバニア大学によって2021年1月に発表された「世界のシンクタンクランキング」に12年連続ランクインしました。“Global Health Policy” 部門で世界3位、“Domestic Health Policy” 部門では、世界2位という評価をいただきました。いずれもアジアで1位、日本から唯一ランク入りしました。

「政府から独立し、運営資金も多様性をもって活動を進め、かつグローバルに日英二カ国語で常に発信している点が評価されていると考えている。引き続き、医療政策に特化したシンクタンクとして社会にインパクトを出していきたい。」 ― 黒川 清(代表理事)
「市民や患者、当事者、そして現場の医療提供者など、現場目線に立った提言を続けていきたい。フラットに産官学民が立場を超えて議論を重ね、社会の集合知を紡ぎ出していくことが、コロナ禍のなか、特に求められている。」 ― 乗竹 亮治(理事・事務局長/CEO)

 

 

HGPIセミナー

2023.06.28


第117回HGPIセミナー

生物多様性の喪失が健康に与える影響と今後の展望

国立研究開発法人国立環境研究所 生物多様性領域 領域長の山野博哉氏をお招きし、当機構の活動の紹介を踏まえて、生物多様性と人間の健康に関して、包括的にお話しいただきました。

 

2023.04.25


第116回HGPIセミナー

予防接種基本計画の見直しに向けて―ポストコロナ時代に求められる予防接種・ワクチン政策とは―

世界保健機関(WHO: World Health Organization)が定める世界予防接種週間(World Immunization Week)に合わせて開催しました。川崎市健康安全研究所 所長の岡部信彦氏をお迎えし、新型コロナウイルス感染症によって国内外で明確になった課題あるいは置き去りになった課題の双方を「キャッチアップ(The Big Catch-Up)」しながら、人生のなかでいつでも誰でも予防接種・ワクチンを接種できる制度に向けて、予防接種基本計画の見直しを進める際に議論すべき点を包括的に考える機会となりました。

 

2023.05.23


HGPIセミナー特別編

患者・一般市民による医療政策の策定過程への参画のあり方

英国のシンクタンクであるヘルス・ポリシー・パートナーシップ(The Health Policy Partnership)と共同で開催しました。患者や市民が政策決定過程に参加する意義やその方法論について、天野慎介氏(一般社団法人 全国がん患者体連合会 理事長/一般社団法人 グループ・ネクサス・ジャパン 理事長)、Penilla Gunther氏(フォーカスペイシェント創設者/プログラムディレクター)らが、当機構 理事・事務局長/CEO乗竹亮治とともに議論を深めました。

 

 

非感染性疾患(NCDs: Non-Communicable Diseases)

NCD アライアンス・ジャパン

NCDアライアンス・ジャパンとは、包括的かつ疾病横断的なNCDs対策の推進のため、日本医療政策機構が運営する市民社会のための協働プラットフォームです。 2013年より約2,000の市民団体・学術集団が約170か国で展開する協働プラットフォームであるNCD Allianceの日本窓口として活動し、2019年1月にNCD Allianceのフルメンバーとして正式に加盟しました。

2023.05.11


産官学民で考えるがん個別化医療の未来プロジェクト

「がんゲノム医療」に関するインターネット調査結果(概要)

「がんゲノム医療」の実態把握をするため、東京女子医大衛生学公衆衛生学分野グローバルヘルス部門と共同で、がん患者やその家族を対象に、1. がんゲノム医療の知名度、2. 遺伝子パネル検査の知名度、3. 遺伝子パネル検査の受検状況等について調査を行いました。


調査結果のポイント

  • 本人または家族が過去5年以内に癌と診断された人のうち、「がんゲノム医療について聞いたことがある」と回答した人の割合は、4割弱であった
  • 年齢階層別にみると、60歳以上の回答者では、「がんゲノム医療」や「遺伝子パネル検査」を聞いたことがあると回答した人の割合、あるいは、「医師らからがんゲノム医療について説明をうけた」と回答した人の割合は、他の年齢階層と比べて相対的に低い傾向がみられた

 

2023.04.25


循環器病対策推進プロジェクト

循環器病対策推進に向けた全国サミット

各都道府県における循環器病対策の効果的かつ円滑な推進に寄与すること、そして各地の好事例の相互参照と意見交換を目的として、「循環器病対策推進に向けた全国サミット」を開催しました。38の都道府県の循環器病対策担当者が参加し、各都道府県の循環器病対策の進捗状況や課題、今後の展望について議論を行いました。

 

 

認知症

2023.05.28


2023 G7広島サミットレガシーイベント

認知症を考える~共生社会とイノベーションを日本から~

グローバルレベルの政策課題である「認知症」について、日本が国際社会をリードするために必要な「共生社会とイノベーション」の観点から、最新の取り組みや課題、今後の展望について、マルチステークホルダーで議論を深めました。

参加者

石井 伸弥(広島大学大学院医系科学研究科 共生社会医学講座 特任教授)
鷲巣 典代(認知症の人と家族の会 理事)
和田 幸典(厚生労働省老健局 認知症施策・地域介護推進課 認知症総合戦略企画官)
岩坪 威(東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻 神経病理学分野 教授/日本認知症学会 理事長)
天野 純子(広島県医師会 常任理事)
粟田 主一(東京都健康長寿医療センター研究所 認知症未来社会創造センター センター長)
井原 涼子(東京都健康長寿医療センター 脳神経内科 医長)
川井 元晴(認知症の人と家族の会 理事・山口県支部代表世話人/脳神経筋センター よしみず病院 副院長)
貴島 晴彦(大阪大学大学院 医学系研究科脳神経外科 教授/日本正常圧水頭症学会 副理事長)
櫻井 孝(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 研究所長)
橋本 泰輔(経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課長)
村上 敬子(認知症の人と家族の会 広島県支部世話人代表)
田中 純子(広島大学 理事・副学長)

 

2023.05.14


G7長崎保健大臣会合 開催記念 認知症シンポジウム

新時代の認知症施策推進に向けた国際社会の連携

厚生労働省主催、当機構および世界認知症審議会(WDC: World Dementia Council)の協力で、G7長崎保健大臣会合 開催記念 認知症シンポジウム「~新時代の認知症施策推進に向けた国際社会の連携~」を開催しました。

参加者

藤田 和子(日本認知症本人ワーキンググループ 代表理事)
鈴木 森夫(認知症の人と家族の会 代表理事)
田中 豊(認知症本人大使「ながさきけん希望大使」)
鳥羽 研二(東京都健康長寿医療センター 理事長)
Paola Barbarino(CEO, Alzheimer’s Disease Internationa (ADI))
Joanne Pike(President and CEO, Alzheimer’s Association)
粟田 主一(東京都健康長寿医療センター 認知症未来社会創造センター センター長)
Fiona Carragher(Director of Research and Influencing, Alzheimer’s Society)
秋山 治彦(国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED))
岩坪 威(東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻 神経病理学分野 教授)
Bart De Strooper(Professor, UK Dementia Research Institute, University College London)
Philip Scheltens(Chair, World Dementia Council(WDC))
George Vradenburg(Founding Chairman, Davos Alzheimer’s Collaborative(DAC))
Lenny Shallcross(Executive Director, WDC)

 

2023.04.25


政策提言

認知症の本人・家族と共に推進する研究開発体制の構築に向けて~共生社会と研究開発の両輪駆動を目指して~

提言は、本テーマについて、今年度開催したラウンドテーブルディスカッションや公開シンポジウム等での議論を踏まえて、当機構が独自に取りまとめたものです。

概要

提言:

本人・家族・市民のニーズに基づく認知症イノベーションの創出のために、市民社会が主体となった連携プラットフォームを構築すべき

連携プラットフォームに期待される機能:

  1. 「患者・市民参画(PPI: Patient and Public Involvement)」や「当事者参画型開発」を推進する機能
  2. 誰もが簡単に研究プログラムの情報にアクセスでき、参加者に適切なサポートを提供する機能
  3. 研究プログラムへの参加により、ケアへのアクセスも可能になる「本人・家族ファースト」の機能
  4. 研究プログラムへの参加後の双方向のフィードバックや、継続的なコミュニティ機能
  5. 実装されたイノベーションに対する声や評価を集約し、さらなる改善に寄与する機能

 

 

プラネタリーヘルス

2023.05.12


長崎プラネタリーヘルス専門家会合

COP27およびCOP15からG7広島サミットへ:地球規模で生じている気候変動、環境、生物多様性と 人間の健康に関する課題解決に向けた新しいパートナーシップ

気候変動を含む地球環境と人間の健康の結びつきについて、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)や国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)における議論を国内外の専門家から共有していただき、その問題意識の認識や理解を促進すること、2023年に開催される先進国首脳会議(G7)広島サミットやG7長崎保健大臣会合等関連したハイレベル会合に向けた議論のための環境を醸成することを目的として開催しました。

参加者

Alan Dangour(ウェルカム・トラスト 気候と健康担当ディレクター)
Pam Cheng(アストラゼネカ社 グローバルオペレーション&IT担当 エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフサステナビリティオフィサー)
橋爪 真弘(東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 国際保健政策学分野 教授)
南齋 規介(国立環境研究所 国際資源持続性研究室 室長)
Maria Neira(世界保健機関(WHO) 環境・気候変動・健康局 ディレクター)
Juliette White CBE(アストラゼネカ社 グローバルSHE&サステナビリティ担当 バイスプレジデント)
河野 茂(長崎大学 学長)
武内 和彦(公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES) 理事長)
春日 文子(フューチャー・アース 国際本部事務局日本ハブ事務局長)
原口 真(MS&ADインターリスク総研 フェロー/MS&ADインシュアランスグループホールディングス TNFD専任SVP)
Tony Capon(モナッシュ大学 持続可能な開発研究所 教授)
山野 博哉(国立環境研究所 生物多様性領域 領域長)
吉富 萌子(厚生労働省 国際課国際保健・協力室 専門官/医薬・生活衛生局水道課 課長補佐/新型コロナウイルス感染症対策本部 国際班)
渡辺 知保(長崎大学 プラネタリーヘルス学環長/熱帯医学・グローバルヘルス研究科 教授)
Margaret Tongue(駐日英国大使館 経済担当 公使参事官)
秋野 公造(参議院議員/財務副大臣)

 

2023.04.25


出版報告

プラネタリーヘルスに関する課題とヘルスケアセクターの役割

報告書では、地球環境の変化が人間の健康に及ぼす影響に焦点を当て、地球環境と人間の健康を守るために必要な行動と、ヘルスケアセクターが果たすべき役割を分析しています。

目次

背景
 人新世とプラネタリー・バウンダリー
 プラネタリーヘルスとは
 日本医療政策機構が実施するプラネタリーヘルス推進プロジェクト

課題:様々な地球環境の変化による健康影響
 大気汚染
 水汚染
 気候変動
 生物多様性の喪失

解決策:地球環境と人間の健康を守るために必要な分野横断的行動
 緩和策
 適応策 暑熱/感染症
 共便益(コベネフィット)

ヘルスケアセクターが果たすべき役割
 「プラネタリーヘルス」の視点を環境・経済等すべての政策・セクターに
 ヘルスケアセクターの脱炭素化
 ヘルスケアセクターの強靭化
 研究・エビデンス強化

本報告書および日本医療政策機構について
提言の独立性について/寄附・助成の受領に関する指針
謝辞/「プラネタリーヘルス(地球の健康)プロジェクト」/本プロジェクト協賛企業

アドバイザリーボードメンバー

今井 亮翔(武田薬品工業株式会社 医療政策・ペイシェントアクセス統括部 渉外主席部員)
神ノ田 昌博(環境省 大臣官房 環境保健部長)
日下 英司(厚生労働省 大臣官房 国際保健福祉交渉官)
菅原 聡(一般社団法人Green innovation 代表理事)
鈴木 定彦(北海道大学 ディスティングイッシュトプロフェッサー、北海道大学 人獣共通感染症国際共同研究所 バイオリソース部門 教授、北海道大学 ワクチン研究開発拠点 研究支援部門長・教授)
中村 桂子(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 国際保健医療事業開発学分野 教授)
橋爪 真弘(東京大学大学院 医学系研究科 国際保健政策学 教授)
細川 秀一(日本医師会 常任理事)
松尾 雄介(公益財団法人 地球環境戦略研究機関 ビジネスタスクフォース ディレクター)
光武 裕(アストラゼネカ株式会社 ジャパンサステナビリティ ディレクター)
山野 博哉(国立研究開発法人国立環境研究所 生物多様性領域 領域長)
渡辺 知保(長崎大学プラネタリーヘルス学環長、熱帯医学・グローバルヘルス研究科 教授)

オブザーバー

木澤 晃代(日本看護協会 常任理事)

ゲストスピーカー

山本 尚子(国際医療福祉大学大学院 特任教授/前 世界保健機関(WHO) UHC/ヘルシー・ポピュレーションズ担当事務局長)

 

2023.04.20


政策提言

C7グローバルヘルス・ワーキンググループによるG7に向けた提言書

C7グローバルヘルス・ワーキンググループが発表した提言書のプラネタリーヘルスの部分を世界の市民社会と連携し作成しました。

プラネタリーヘルス

地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)とは、それを超過することで急激な不可逆的変化が起きる可能性がある環境安定性の閾値です。閾値を超えれば、地球上で生存する人間の能力に壊滅的な影響が及ぶおそれがあります。そのため、私たちは、気候危機、食料安全保障、環境汚染といった現在の課題を強調します。

私たちは、G7 に以下のことを提言します。

  • 健康政策の中でプラネタリーヘルスを重視し、気候変動に対処するために環境と健康の両方に利益をもたらす政策を優先させて、包摂的で説明責任のある気候ファイナンスを強化すること
  • 先住民の視点に敬意を払って取り入れながら、医療・農業分野のセクター間協力を通じて、食料安全保障と栄養を追及し、持続可能な食料システムに移行すること
  • 環境汚染をなくし、化石燃料への依存を減らし、クリーンで環境に配慮した輸送システムを推進し、都市部で汚染物質を規制すること
  • 気候変動に関するコミットメントとSDGs を達成するために、必要に応じて世界のさまざまなパートナーによる貢献を促進し、気候変動や災害に強く持続可能で質の高いインフラに投資すること

 

2023.04.07


プラネタリーヘルス・アライアンス(PHA)加盟

当機構はプラネタリーヘルス・アライアンス(PHA: Planetary Health Alliance)に正式加盟しました。PHAは、世界中の300以上の大学、非政府組織、研究所、政府機関が参加する、地球規模の環境変化とそれがもたらす健康への影響を理解し、解決することに専念するコンソーシアムです。

 

 

こどもの健康

2023.04.06


公開フォーラム

“異次元”の子ども関連施策の推進に向けた課題と展望

2023年2月に当機構が公表した【緊急提言】「成育基本法・成育基本計画の実施と運用に向けた課題と展望」の内容を広く発信し、議論を深化させることを目的に開催しました。元厚生労働省医系技官で小児科専門医の千先園子氏(国立成育医療研究センター こどもシンクタンク企画調整室 副室長)、長年にわたり、こどもの健康政策を推進され、当機構「こどもの健康推進プロジェクト」スペシャルアドバイザーとしてご助言をいただいている五十嵐隆氏(国立成育医療研究センター 理事長)、「Children Firstの子ども行政のあり方勉強会」の共同代表を務められ、こども家庭庁創設に向けた提言を取りまとめられた、自見はなこ氏(参議院議員)がご登壇されました。

POINTS

  • こども政策は、社会全体で取り組んでいくべき課題であり、小児医療関係者のみならず、包括的な視点から多様なステークホルダーが参画し、提言していくことが重要である。
  • 研究結果を政策実装する過程においてボトルネックが生じており、自治体間の相互参照機会の拡充(好事例の横展開)が必要である。また、自治体のみでデジタルヘルスの推進、公的支援を補う民間事業者の育成は難しいため、国主導のもと産官学民の連携を推進することが重要である
  • 「健康」の定義は、「身体的、心理的、社会的に良い状態」であることが1988年にWHOにより示されている。日本の身体的健康は、OECD加盟38か国の中で第1位である一方で、心理的健康は第37位、社会的健康は第27位である。これまでの日本の小児医療は身体的健康の改善を目指し取り組みを行ってきたが、今後はこれら3つの側面すべてに着目し、「バイオサイコソーシャル」な健康の推進が重要である
  • 例えば、こどものメンタルヘルスや社会性を評価し、支援する仕組みが欠如しているため、学校検診の充実や個別検診などの手段を用いて、「バイオサイコソーシャル」の面からこどもと家族を支援し、こどものリスクに対応できる体制構築が必要である
  • こども家庭庁は、年齢や制度の壁を克服した切れ目のない包括的支援イメージを掲げているが、依然として、「母子保健」以降の保健分野が明記されていない。「小児保健・思春期保健」の整備、学校保健との連携により継続的・包括的支援の推進が必要である
  • こども家庭庁の設置、こども政策の推進に当たっては、専任大臣のもと強い権限と予算を確保し政治主導で進めていくことが重要である。「バイオサイコソーシャルを一体的に保証する」ことはこども家庭庁内にも共有されており、2023年秋に閣議決定されるこども大綱にも反映されるものと思われる。バイオサイコソーシャルが「一体的」であることが非常に重要であり、今後運用の中で、「身体的・心理的・社会的(バイオ・サイコ・ソーシャル)」に切り分けて考えられてしまわないよう理解の促進が必要である
  • こども基本法に規定される「こどもの意見表明権」は非常に重要な権利であり、2023年4月1日以降は、国と地方自治体は、こどもの意見をこども政策に反映することが「義務」となっている。年齢を問わずに発達段階に応じてこどもの声を聴くこと、子育て当事者の親の声を聴くことが求められる

 

 

官民共創HUB

2023.04.26


社会保障・医療政策 若手人材 官民交流ラウンドテーブル

2023年度 第1回「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策について」

一般社団法人官民共創HUBと共催で、社会保障・医療政策 若手人材 官民交流ラウンドテーブル第1回を開催しました。厚生労働省 医政局 医薬産業振興・医療情報企画課 ベンチャー等支援戦略室長 山本剛氏、同課 医薬産業戦略官 三谷大地氏より、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」について、設立の背景や検討の経緯、今後の課題と方向性をご説明いただきました。

 

 

超党派国会議員向け勉強会

2023.06.09


超党派国会議員向け医療政策勉強会「30分で伝える医療政策最前線」

子どもの健康:成育基本法・成育基本計画の実施と運用に向けた課題と展望

五十嵐隆氏(国立成育医療研究センター 理事長)にわが国の小児保健・医療の現状と政策上の課題について、さらには今後のあるべき方向性についてご説明いただきました。

POINTS

  • 「健康」の定義は、「身体的、心理的、社会的に良い状態」であることがWHOにより示されている。日本のこどもの身体的健康は、OECD加盟38か国の中で第1位と高評価である一方、心理的健康は第37位、社会的健康は第27位である。
  • こどもの健康に関わる日本の背景として、(1) 低出生体重児の割合が多いこと、(2) 相対的貧困の割合が多いことが挙げられる。これらは、身体的、心理的、社会的に子どもの健康へ悪影響を及ぼす可能性がある。
  • 日本では学校内検診など子どもの身体的健康を支援する仕組みがある一方、子どものメンタルヘルス、社会性を支援する仕組みが軟弱である。今後は「身体的・心理的・社会的」な側面すべてに着目した「バイオサイコソーシャル」の視点から、こどもと家族を支援し、こどもの健康のリスクに対応できる体制構築が必要である。
  • こども家庭庁は、関連予算の基本姿勢として、年齢や制度の壁を克服した切れ目のない包括的支援イメージを掲げているが、学童期以降の保健分野に関する取り組みは、まだ不足している。
  • 母子保健分野においても、さらなる支援や対策が求められる領域があり、下記の3つをはじめとして充実させていく必要がある。
    (1)産婦を含めた家族全体を支援する形で産後ケアを行うこと
    (2) 麻酔分娩(無痛分娩)の事例の蓄積や研究を推進し、日本においても標準化を進めること
    (3) 新生児マススクリーニングなど、科学的根拠が証明され有用性があるものは、迅速に導入すること

 

2023.04.11


超党派国会議員向け医療政策勉強会「30分で伝える医療政策最前線」

治療で改善できる認知症~特発性正常圧水頭症(iNPH)とは~

數井裕光氏(高知大学医学部 神経精神科学教室 教授/日本正常圧水頭症学会 理事長)が講演を行い、治療可能な認知症とされている特発性正常圧水頭症(iNPH: Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus)について現状と課題をご説明いただきました。

POINTS

  • 認知症は早期に診断し、原因疾患に基づいて治療を行うことが重要である。診断作業は「疾患の頻度」と「治療可能性」の2つの視点から行うことが求められている。特に、治療可能な認知症である特発性正常圧水頭症(iNPH)を見逃してはいけない
  • 正常圧水頭症(NPH)は、認知障害、歩行障害、排尿障害の3徴を有し、脳脊髄液圧が正常範囲である一方頭蓋内に脳脊髄液が過剰に貯留し脳室拡大を認める疾患である。シャント術を行うことでNPHの3徴が改善するため、治療可能な認知症として重視されている。iNPHは先行疾患が明らかでなく緩徐に出現し進行するNPHである。アルツハイマー型認知症や加齢性変化と勘違いされやすく、診断や治療が遅れる場合がある
  • iNPH診療ガイドライン第3版では、iNPHの診断を4つの段階に分類している。特にシャント術を可能とするProbable iNPHの段階の診断が重要である。Probable iNPHは、脳脊髄液排除試験で症状の改善を認めるか、あるいは歩行障害を認め、かつ脳室拡大に加えて、高位円蓋部/正中部の脳溝、くも膜下腔の狭小化(以下、DESH)を認める症例をさす。DESHを有するiNPHはシャント術で改善する率が高いとされている
  • 先行研究から、シャント術前の3徴の障害程度が軽いほど術後に他覚的な症状が消失する患者が多いことが明らかとなっている。そのため、術後、自立的に過ごすためには、早期にiNPHに対してシャント術を実施した方がよいといわれており、家族の介護負担軽減のためにも重要だと思われる。一方、アルツハイマー型認知症等その他認知症疾患が併存しているiNPHの場合、シャント術の効果が十分に発揮されない可能性がある。よって、その他疾患との併存診断は鑑別診断と同様に重要である
  • 今後の課題としては、早期診断の推進とシャント術実施可能な拠点を増やし、患者数や治療の実態調査を進めると共に、十分な医療提供体制を整備することである。iNPH診療を行う医療機関自体は増えているものの、認知症を専門的に診ている医療機関ではiNPH診療を行っていない所もまだまだ多い。これまでのように脳神経外科疾患としてのアプローチに加え、「認知症」という観点からの医療提供体制の充実やそのために必要な施策の実施が求められる。さらには、iNPHを鑑別/併存診断する内科系医師とシャント術を行う脳神経外科医師との更なる連携を構築するとともに、iNPH診療ガイドラインとDESHといった診断や治療に有用な情報もより広く啓発する必要がある

 

 

薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)

AMRアライアンス・ジャパン

AMRアライアンス・ジャパンは、国内感染症関連学会、医薬品・医療機器関連企業等が2018年11月に設立した、AMR対策をマルチステークホルダーで議論する独立したプラットフォームです。
本アライアンスは、1. 患者や医療現場の現状に沿ったAMR対策を実現し、2. 国内外のAMRアジェンダを推進し、3. 我が国のAMR政策を進展すべく、政策提言の策定と情報発信を行っています。

2023.05.26


政策提言

薬剤耐性(AMR)対策の促進に向けて検査体制の再構築と求められるイノベーション

AMR対策の促進に向け、薬剤耐性微生物の診断支援に資する検査体制の再構築と、そのために求められるイノベーションに関する提言書を発表しました。

概要

  • 提言1:検査は診断支援における重要な役割があることを再認識し、超高齢社会においても薬剤耐性対策を進めるための検査体制を再構築するべき
  • 提言2:積極的な耐性菌スクリーニング検査及び微生物同定・薬剤感受性検査(遺伝子検査を含む)を実施できる人材育成と環境整備を推進するべき
  • 提言3:医療機関内の検査体制を拡充するために、医療機関や地域の実情を考慮しながら、検査の院内実施が可能な体制の推進、医療機関内外における検査部門の地位及び収益性向上に向けた新たなインセンティブの仕組みを検討するべき

 

2023.05.24


政策提言

骨太の方針2023策定に対する提言 薬剤耐性(AMR)対策の促進に向けて

AMR対策を進めるため、下記の文言を経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太の方針2023)に盛り込むことを提言しました。

ワンヘルス・アプローチによる薬剤耐性(AMR)対策を経済安全保障等の視点からも促進し、感染症の脅威に対する備えを強化するために国際的にも主導的な役割を果たす。

 

2023.04.28


岸田文雄総理に提言

G7広島サミット首脳宣言における薬剤耐性(AMR)問題について

日本による薬剤耐性対策を願う有志一同が、G7広島サミット首脳宣言におけるAMR問題について岸田文雄総理に提言しました。当機構からは理事・事務局長/CEO乗竹亮治、マネージャー河野結が参加しました。

 

 

特別朝食会

2023.06.20


第50回特別朝食会

骨太の方針2023年を踏まえて~これからの日本の保健医療のあり方~

田畑裕明氏(衆議院議員/自由民主党 厚生労働部会 部会長)をお招きし、2022年8月より自由民主党厚生労働部会長を担われている田畑氏に、骨太の方針2023年を踏まえたこれからの日本の保健医療のあり方についてご講演いただきました。

POINTS

  • 労働市場改革の完遂には、「三位一体の労働市場改革」が必要不可欠であるが、全産業・全事業所においてすべてを一度に導入するにはハードルが高く、組織に合わせて段階的に組み合わせながら導入する必要がある
  • 持続可能な社会保障制度の構築には、2024年度に予定されている介護・医療・障害福祉報酬トリプル改定やそれに伴う法改正、財源確保に向けた予算編成が非常に重要である
  • 創薬力強化において、薬価改定が広範かつ頻繁であることが製薬企業等の財務基盤の脆弱性に繋がっているため、特許期間を含めた適切な評価が重要である。またジェネリック医薬品においても安定供給に向けた産業構造転換が求められる

 

主な講演・メディア掲載実績

多様なメディアを通じて常にアジェンダを発信し、政策の選択肢を提起することで、アジェンダの設定で終わることなく、地球規模の健康・医療課題の解決をすべく、社会にインパクトを与え続けます。

2023.06.30


第2回ASEAN地域フォーラム(ARF)ヘルス・セキュリティ・ワークショップ

コミュニティの構築:気候変動と健康のために草の根運動を推進~日本の「プラネタリーヘルスプロジェクト」からの教訓~

副事務局長の菅原丈二が、当機構のプラネタリーヘルスに関する活動について「コミュニティの構築:気候変動と健康のために草の根運動を推進~日本の「プラネタリーヘルスプロジェクト」からの教訓~」と題したオンライン講演を行いました。

 

2023.05.12


日本製薬工業協会(JPMA)・国際製薬団体連合会(IFPMA)共催シンポジウム

G7広島サミット保健アジェンダへの提言 – COVID-19からの教訓を活かし、SDG3への進展を促進する:行動のためのロードマップ

シニアマネージャーの坂元晴香が、イベントで進行を務めました。

 

2023.04.28


第97回日本感染症学会総会・学術講演会 第71回日本化学療法学会集会 合同学会 招聘講演

考えよ、問いかけよ

代表理事の黒川清が、招請講演セッションで新著の内容を踏まえ、日本における学術研究低迷の要因、研究者コミュニティの問題点、若手研究者へのメッセージなどについて講演いたしました。

 

2023.04.27


with Planet キックオフイベント

世界の健康のために私たちにできること。G7を前にZ世代と考えた

朝日新聞社とビル&メリンダ・ゲイツ財団のメディアパートナーシップに基づき運営されているwith Planetが4月27日にキックオフイベント「地球が健康であるために、私は何ができる?」を開催し、副事務局長の菅原丈二が、厚生労働省、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、そしてHealth for all .jpにおいて本領域で取り組む方々と登壇しました。

 

2023.04.21


G7広島サミットに向けたプラネタリーヘルス大学間パネル

未来を切り開く学際融合研究

代表理事の黒川清が、ビデオメッセージで来賓として挨拶をいたしました。

 

主な掲載メディアとテーマ

Yahoo JAPANニュース
2025年には約675万人が認知症に 今月成立した「認知症基本法」で何が変わる?

朝日新聞デジタル
認知症に関する初の法律が成立 社会活動に参加する機会を確保へ

日刊薬業
薬剤耐性感染症の対策促進、骨太策定で提言 AMRアライアンス・ジャパン/a>

読売新聞オンライン、長崎新聞、テレビ長崎ほか
医療や健康 専門家シンポ きょう開幕 G7保健相会合に合わせ

ミクスOnline
日本医療政策機構 医師の45.8%が抗菌薬の薬価「安い」 7割弱の医師がプル型インセンティブ導入を支持

 

政策提言の実現に向けたアドボカシー活動

当機構では、各プロジェクトにおいて報告書・政策提言書を作成・公表しています。それらの内容を実際に実現させるため、国や地方自治体の担当部局や国会議員・地方議会議員に対し、報告書・提言書の内容について個別に説明を行くなどのアドボカシー活動を行っています。さらには、国や地方自治体の担当者と各プロジェクトにおいて緊密な連携を図っているほか、議員向け勉強会のコンテンツ作成や法案作成時の専門家コミュニティとのハブ機能を担うなど、具体的な政策の実現に向けたアプローチを共に考え、協働しています。これまでも、行政内の各種会議体や超党派の議員連盟・政党のプロジェクトチームなどでの発表やそこで作成される提言書などに当機構の報告書・政策提言書などが引用されることで、実際の政策実現につながっています。

 


プロフェッショナルな知見の提供

政府会議などにも広がる活躍の場

主要メンバーは政府会議などにも参画し、政策提言はもちろん、医療政策の新たな視点を常に発信し続けています。

  • 黒川 清世界認知症審議会 委員、内閣官房 健康・医療戦略参与、東京都「超高齢社会における東京のあり方懇談会」座長、内閣府AI アドバイザリー・ボード委員長、内閣特別顧問、野口英世アフリカ賞委員会 座長ほか
  • 乗竹 亮治東京都「超高齢社会における東京のあり方懇談会」委員ほか
  • 小野崎 耕平厚生労働省 保健医療政策担当参与、内閣官房 行政改革推進会議 社会保障チームほか
  • 津川 友介厚生労働省 予防・健康づくりに関する大規模実証事業 有識者会議 委員、厚生労働省 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会 構成員ほか
  • 永井 良三厚生労働省 社会保障審議会委員、文部科学省科学技術・学術審議会臨時委員、内閣府AI アドバイザリー・ボード委員ほか
  • 堀田 聰子厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会委員、総務省 政策評価審議会 専門委員ほか
  • 武藤 真祐厚生労働省情報政策参与ほか
PageTop