【登壇報告】HGPI後援・プラネタリーヘルス大学間パネル「未来を切り開く学際融合研究」(2023年4月21日)
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日本医療政策機構は、2023年4月21日(金)に広島大学で開催されたG7広島サミットに向けたプラネタリーヘルス大学間パネル「未来を切り開く学際融合研究」を後援し、当機構代表理事の黒川清がビデオメッセージで来賓として挨拶をいたしました。
本シンポジウムは、当機構が2022年11月にまとめた「2023年G7広島サミットに向けて~国際社会と歩調を合わせたプラネタリーヘルス対策の推進~」の提言およびプラネタリーヘルス年次総会で2021年10月に作成された「プラネタリーヘルスに関するサンパウロ宣言」を踏まえて、超学際融合研究をより一層具体的に推進することを目的として開催されました。
日本でプラネタリーヘルスを牽引している大学から専門家を招き、プラネタリーヘルスが取り組むべき生態環境から社会環境までにまたがるグローバル課題解決の解像度を高めるべく、既存の教育システムや実践研究事例を共有し、健康科学、理学、工学分野の融合型学際研究実践のため地域社会で大学が果たすべき役割について議論が行われました。
会合の終わりには、「広島プラネタリーヘルス宣言 2023: “大いなる転換期における平和の希求:社会と共に歩むプラネタリーヘルス科学のための教育と研究”」として提言をまとめ、宣言が出されました。
シンポジウムおよび広島大学の活動の詳細についてはこちらよりご覧ください。
G7広島サミットに向けたプラネタリーヘルス大学間パネル
来賓挨拶
現在、気候変動が人間の健康に対する最大の世界的脅威であるという認識は明らかです。健康への影響も、大気汚染、その中でも特に気候変動を引き起こしている化石燃料の燃焼による大気汚染は、毎年700万人以上の予測された年齢よりも早い死亡、つまり毎分13人の早死を引き起こしています。頻繁に発生している熱波、暴風雨、洪水などの異常気象は、数千人の命を奪い、毎年数百万人の生活を破壊し、我々の医療施設にも影響が及んでいます。また、食糧システムは異常気象の影響を受け、食糧不安、飢餓、栄養失調などの悪化を引き起こしています。そして、気候変動の影響は精神的健康にも深刻な影響を与え、PTSD、不安障害を引き起こし、健康状態を悪化させています。先日の国連開発計画(UNDP)による発表でも「世界の一部地域では、気候変動による死亡率ががんと肩を並べかねない」ことが新たなデータで示されました。
このシンポジウムでは、広島大学・長崎大学・東京大学・東京医科歯科大学・北海道大学において、プラネタリーヘルスの実現に向けたアジア地域における教育・研究基盤の構築を目的としているとうかがっています。そのため、ヘルス・サイエンス、理学、工学分野の専門家が集まり、上記のような課題解決、そして日本の経験にも基づいた学際融合研究を進めながら国際社会と協働していくために求められる体制などについても、参加者も交えながら開かれた議論がなされることを期待しています。
また、このシンポジウムを企画するにあたり、当機構が2022年11月にまとめた「2023年G7広島サミットに向けて~国際社会と歩調を合わせたプラネタリーヘルス対策の推進~」という提言を踏まえて下さったと聞いております。当機構は、医療政策に国民の声を反映させるには、「小さくとも独立したシンクタンクが必要である」、そんな強い思いに突き動かされ、2004年に立ち上げました。当初より、マルチステークホルダーを活動の軸にし、各ステークホルダーが広く議論する場を提供しつづけ、社会に少なからずインパクトを与えられたのではないかと考えており、今回もこのような場をご提供いただきありがとうございます。
私たちの責任は、プラネタリーヘルスの理念を推進し、健康を維持するために必要な地球環境の保全に取り組むことです。地球規模で持続可能な社会の構築に向けて、個人や国家、企業が協力して取り組むことが必要です。気候変動や環境汚染といった問題に対して、私たちはすでに行動を起こしていますが、これはまだまだ不十分です。私たちは、これらの問題をより深刻に受け止め、より具体的かつ大胆な行動を起こす必要があります。私たちの行動が大きな影響力を持ち、今後の世代にも良い未来を残すことができるように、この問題に真剣に取り組んでいくことが重要です。
最後に、ご参加いただく皆様には、今後の日本だけでなくグローバルな健康課題解決に向けた知見やアイデアを共有していただき、プラネタリーヘルスの実現に貢献していただけることを期待しております。
日本医療政策機構 代表理事
黒川 清
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