活動報告 調査・提言

【パブリックコメント提出】「第3期健康・医療戦略(案)」(2025年2月3日)

【パブリックコメント提出】「第3期健康・医療戦略(案)」(2025年2月3日)

日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)は、内閣府健康・医療戦略推進事務局による「第3期健康・医療戦略(案)」について、パブリックコメントを提出いたしました。なお、既に意見(パブリックコメント)の募集は終了しております。

日本政府が推進する「健康・医療戦略」は、国民の健康寿命の延伸を目指し、医療研究開発や新産業の創出を通じて社会と経済の持続可能な発展を図る政策です。健康・医療戦略は頻繁に見直されているわけではなく、今回の改定によって2025年度から2029年度までの5年間の方向性が決まります。したがって、昨今の国内外の社会課題を勘案した「第3期健康・医療戦略(案)」が求められ、従来の医療・健康分野にとどまらず、自然環境や気候変動といったプラネタリーヘルスの観点からも改定されることが極めて重要です。

現在、提示されている「第3期健康・医療戦略(案)」には、グローバルヘルスを取り巻く分野横断的な課題への対応としてプラネタリーヘルスや気候変動と健康について言及されています。しかし、気候変動や環境汚染、生物多様性の喪失といった地球規模の課題が、人々の健康に直接的かつ深刻な影響が日々明らかになり、国際社会においても重要視される中で、国民が健康な生活及び長寿を享受することのできる社会(健康長寿社会)の形成を目的としているこの戦略はプラネタリーヘルスからの視点を十分に取り入れているとは言えません。

従来、保健・医療・介護といった分野は、主に厚生労働省が所管し、規制の実施や診療報酬・介護報酬の調整を通じて変化を促してきました。一方で、地球規模や国内の自然環境に関する課題は環境省、経済政策は経済産業省、科学技術の投資や教育は文部科学省がそれぞれ担当してきました。しかし、近年の社会情勢の複雑化に伴い、これらの課題に対して省庁横断的かつ分野横断的な取り組みを推進する必要性が高まっています。こうした背景のもと、内閣に「健康・医療戦略推進本部」が設置されました。本部は、内閣総理大臣を本部長とし、全ての国務大臣を構成員とする組織であり、省庁の枠を超えた総合的な施策の推進が求められています。

具体的な取り組みの一例としては、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」にも明記されており、厚生労働省が推進している「気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス(ATACH)」、経済産業省による環境インフラや脱炭素・環境負荷低減技術の海外展開促進に向けた支援、そして環境省による気候変動による健康リスク評価システム(Adaptwell)などが2024年11月に開催されたグローバルヘルス戦略推進協議会では示されています。また、国土交通省では「スマートウェルネス住宅等推進事業」が実施されており、高齢者、障害者、子育て世帯等の多様な世帯が安心して健康に暮らすことができる住環境(スマートウェルネス住宅)整備が進んでいます。そして、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、官民が協力して大規模な投資を行い、経済成長と環境保護を両立させることを目指すGXビジョンでは、官民が連携し今後10年間で150兆円超の官民GX投資を実現することを目指しています。

以上のことを踏まえ、HGPIでは以下のポイントを含めたパブリックコメントを提出しました。


パブリックコメントのポイント

  • 健康・医療戦略へのプラネタリーヘルスの視点取り入れること
  • 感染症や熱中症などの健康と気候変動の関連性の明示すること
  • 医療分野におけるGHG排出削減と環境負荷の低減など持続可能な医療産業の構築を明言すること
  • 医療インフラの強化と環境配慮型の技術支援などのグローバルヘルスにおける日本の役割にて脱炭素医療を国際的に推進すること

また、当機構では、政策提言「環境と医療の融合で実現する持続可能な健康長寿社会~プラネタリーヘルスの視点を取り入れた第3期健康・医療戦略への提言~」を2024年12月20日に公表しています。

本件パブリックコメントに関し、詳しくはこちらをご覧ください。

 

調査・提言ランキング

調査・提言一覧に戻る
PageTop