【政策提言】持続可能な社会のための気候と健康の融合:国が決定する貢献(NDC)にプラネタリーヘルスの視点を(2024年12月9日)
日付:2024年12月9日
タグ: プラネタリーヘルス
日本医療政策機構プラネタリーヘルスプロジェクトは、「持続可能な社会のための気候と健康の融合:国が決定する貢献(NDC)にプラネタリーヘルスの視点を」を公表しました。
国が決定する貢献(NDC: Nationally Determined Contributions)は、パリ協定に基づいて温室効果ガス(GHG: Green House Gases)の削減目標を設定するものであり、日本のエネルギー戦略や成長戦略にも大きな影響を与えます。パリ協定では、2025年に2035年以降の数値目標に関するNDCを各国が提出することを求めており、現在、日本でも、この見直しに向けた動きが始まっています。
近年ではNDCに健康の視点を盛り込む国が増えており、2022年には91%(193カ国中175カ国)に健康への配慮が盛り込まれるようになりました。加えて、アジア地域やG7諸国の一部のNDC(21カ国 全体の11%)においては、健康を守るという側面から保健医療セクターに特化したGHG排出削減と適応策についても項目として盛り込まれています。そして、国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)に向けて、世界保健機関(WHO: World Health Organization)は「COP29特別報告書:気候変動と健康(COP29 Special Report on Climate Change and Health)」および「各国自主貢献(NDCs)に健康を統合するための品質基準(Quality criteria for integrating health into Nationally Determined Contributions (NDCs))」を発表し、各国が健康を気候変動政策の中心に据える必要性を強調しています。この指針は、NDCに健康目標を統合することで、気候変動が健康に与える悪影響を緩和し、持続可能な未来の実現を目指しています。しかし、日本のNDCには、依然として健康に関する言及が含まれていません。
気候変動が与える人々の健康への影響の重大性からも、ドイツ、イギリス、アメリカなどの長期低排出発展戦略(LT-LEDS)では、国民の健康とウェルビーイングを最大化する観点で、長期的な気候目標が優先されており、日本においても、より国民の健康に重点をおいた国の戦略を立てていく必要があります。
そこで、日本医療政策機構は、2025年のNDC提出に向けて、健康の視点が反映されるよう、以下の5つの提言を行います。
要望1:気候変動対策が必要な背景として、気候変動が健康に及ぼす広範な影響について記載すること
要望2:気候変動が健康に与える影響を考慮した、緩和策について記載を行うこと
要望3:緩和と適応を両輪で進めるコベネフィットの促進について記載を行うこと
要望4:保健医療分野の緩和策推進について記載を行うこと
要望5:適応策の一つとして、気候変動に強靭な保健医療制度の構築について記載を行うこと
詳細は、ページ下部のPDF資料をご覧ください。
調査・提言ランキング
- 【調査報告】日本の保健医療分野の団体における気候変動と健康に関する認識・知識・行動・見解:横断調査(2025年11月13日)
- 【政策提言】「脳の健康」を取り巻く政策への戦略的投資が拓く「日本再起」への提言-新政権への期待-(2025年12月1日)
- 【調査報告】「2025年 日本の医療に関する世論調査」(2025年3月17日)
- 【論点整理】社会課題としての肥満症対策~肥満症理解の推進と産官学民連携を通じた解決に向けて~(2025年8月21日)
- 【政策提言】腎疾患対策推進プロジェクト「慢性腎臓病(CKD)対策の強化に向けて~CKDにおける患者・当事者視点の健診から受療に関する課題と対策~」(2025年7月9日)
- 【調査報告】「働く女性の健康増進に関する調査2018(最終報告)」
- 【調査報告】メンタルヘルスに関する世論調査(2022年8月12日)
- 【調査報告】「2023年 日本の医療の満足度、および生成AIの医療応用に関する世論調査」(2024年1月11日)
- 【政策提言】保健医療分野における気候変動国家戦略(2024年6月26日)
- 【政策提言】メンタルヘルスプロジェクト「メンタルヘルス領域における3つの論点に対する提言」(2025年7月4日)



