黒川清賞は、2024年に設立20周年を迎えた日本医療政策機構の新たな取り組みとして誕生しました。2004年の設立以来、HGPIは「市民主体の医療政策を実現する」というミッションのもと、独立したシンクタンクとして活動を続けてきました。その立ち上げに深く関わり、代表理事として組織を導いてきたのが黒川です。黒川は、幅広いステークホルダーを結集し、グローバルな視点から医療政策の選択肢を提供する活動を推進してきました。特に、「独立性」「中立性」「実現可能性」という原則に基づくアプローチは、国内外で高く評価されています。この賞は、黒川の理念と活動を象徴するものとして、次世代のリーダーを支援する新たなプラットフォームとなります。
【理念】
黒川清賞は、医療政策の変革を推進する力となる若手リーダーを支援し、アジア太平洋地域から世界へとその影響を広げることを目的としています。本賞は、以下のような特徴を持つ候補者や団体を顕彰します:
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- 革新性:既存の枠組みにとらわれず、新たなアプローチや解決策を提案した個人や団体
- インパクト:地域社会や国際的な規模で、具体的かつ測定可能な影響を与えた取り組み
- 将来性:持続可能な変化を生み出すビジョンを持つ若手リーダーや団体
第2回|2025年度 募集要項
| 対象 |
下記2点を全て満たす者、および団体
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| 応募形式 |
他者推薦 |
| 応募方法 |
推薦者より、下記の内容を応募期間内に応募フォームより提出する
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| 応募締切 | 2025年8月31日(日) |
| 選考 |
選考は日本医療政策機構 黒川清賞選考委員会において行われ決定する 受賞者には正賞(賞状および記念杯)ならびに副賞が贈呈される |
| 受賞者発表 | 2025年12月までに受賞者に通知する |
| 本賞事務局 |
特定非営利活動法人 日本医療政策機構 黒川清賞事務局 〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ3階 |
第1回|2024年度 受賞者

レンゾ・ギント(シンガポール国立大学 デューク-NUS医科大学 シンヘルス・デューク-NUSグローバルヘルス研究所(SDGHI) 准教授)
レンゾ・ギント氏は、フィリピン出身の医師であり、現在はシンガポール国立大学デューク-NUS医科大学のシンヘルス デューク-NUSグローバルヘルス研究所(SDGHI)の准教授を務めています。ギント氏は、気候変動と健康の交差点における政策提言と教育、研究において国際的なリーダーとして活躍しており、特に「プラネタリーヘルス(Planetary Health)」という新たな学際分野の先駆者として知られています。
【選考委員会からのコメント】
選考委員会は以下の点を高く評価しました:
- 革新的な研究と政策提言:気候変動に強靭で持続可能な医療システムの構築や、気候変動が精神健康、移住、健康格差に与える影響への取り組み
- 国際的なリーダーシップ:フィリピン気候変動委員会、世界保健機関(WHO)諮問グループ、ランセット委員会などでの重要な役割
- 教育とネットワーク形成:アジア太平洋地域におけるプラネタリーヘルス教育と研究の革新、および地域社会と国際的なステークホルダーを結びつけるネットワークの構築
本受賞に対して、選考委員会委員 黒川清(日本医療政策機構 理事・終身名誉チェアマン):
“黒川清賞は、私たちが掲げてきた理念『市民主体の医療政策』の具体的な一歩を示すものです。この賞は、次世代のリーダーや団体が、革新と持続可能性を軸に、地域と世界の課題に取り組む姿勢を讃えるものです。受賞者であるギント氏は、気候変動という複雑で差し迫った課題に対して、プラカデミック(Pracademic)として、ステークホルダーを巻き込み、科学的根拠と実行可能な政策提言を結びつける優れた能力を発揮しています。そのリーダーシップとコミットメントは、私たち全員にとってのインスピレーションとなるでしょう。
また、2024年に20周年を迎えた日本医療政策機構が、こうした賞を創設できたことは、組織の成長と多くの皆様の支援の賜物です。私たちは、これまで国内外で健全な議論(Healthy Debate)を促進し、多くのステークホルダーとの協働を進めてきました。その成果が、このような形で具体化したことを大変嬉しく思います。
今後も、HGPIは市民社会とともに、世界的な課題解決のためのプラットフォームとして機能し続けます。そして、この賞が若い世代を後押しし、新しい視点と行動を生み出す契機となることを強く願っています。”
本受賞に対して、選考委員会委員長 乗竹亮治(日本医療政策機構 代表理事・事務局長):
“このたび創設された「黒川清賞」は、私たちの理念をさらに具現化し、次世代の革新的なリーダーたちを支援するものです。本賞は、アジア太平洋地域における若手専門家や団体の取り組みを讃え、革新性とインパクトを広く認知させることで、より持続可能な未来の医療政策を形作ることを目指しています。
特に、第1回受賞者であるレンゾ・R・ギント氏の活動は、気候変動と健康の課題において、学問と政策を架橋する優れた例です。彼の取り組みは、地域の課題に取り組むだけでなく、その知見を国際社会へ共有することで、他地域への波及効果を生み出しています。このような人物を顕彰することで、黒川清賞が未来のリーダーシップを育むきっかけになることを期待しています。
また、この黒川清賞が契機となり、日本医療政策機構がアジア太平洋地域の若手専門家の交流と協働を支えるハブとしての役割を果たすことを願っています。日本がこれまで蓄積してきた医療政策の好事例や教訓を世界に共有し、国際社会の知見を日本国内の医療政策に生かす、双方向の知識の循環が生まれることは、私たちの目指す目標のひとつです。そして、このような取り組みが、次の20年を見据えた新たな政策の選択肢を提示し、社会に健全な議論(Healthy Debate)を広める原動力となることを願っています。”


