【講演報告】慢性腎臓病・希少腎疾患に関する患者コンセンサスサミット(CompCure、2025年1月26日、27日、ベルギー・ブリュッセル)

2025年1月26日、27日にベルギー・ブリュッセルで開催されたPatient Consensus Summit for Chronic and Rare Kidney Diseases(慢性腎臓病・希少腎疾患に関する患者コンセンサスサミット)(主催:CompCure)に、日本医療政策機構 シニアマネージャー 吉村英里が講演者・パネリストとして参加しました。
講演では、日本における強固なUHCや診断・介入体制を背景に発展してきた、慢性腎臓病対策を中心に共有しました。日本で実施されている、幼児から高齢者まで全世代が対象の健診制度を活用したスクリーニング、かかりつけ医と腎臓内科医や多職種の連携による地域での医療提供体制整備を通じた診断と介入について発信し、日本は中央政府や自治体の政策を中心に腎疾患対策が包括的に推進している数少ない国のひとつであることから、他国の参加者より腎疾患対策先進国として高い関心を得ました。
2日間に渡り開催された本サミットでは、欧州諸国、米国、中国から集まった医療者、患者団体、民間企業、ジャーナリスト等の専門家と共に、腎疾患対策におけるスクリーニング、診断、政策促進の3つの視点から議論を重ね、以下5つの視点を政策提言書に取りまとめました。そして、翌日欧州議会(the European Kidney Forum 2025)へ提言を行いました。
欧州・全世界の腎疾患対策改善に向けた4つの提言と1つのコミュニティに向けたアクション(概要)
提言1.より広範なスクリーニングプログラムの実装を通じて、慢性・希少腎疾患を早期発見する
提言2. 専門家、薬剤、治験へのアクセスを通じた、よりよいケアへのアクセスを確保する
提言3. 末期腎不全への重症化予防と移植プログラムの強化を通じた、透析患者の腎移植を支援する(※)
提言4. 患者とその家族、社会のためにヘルスケア戦略や計画の中で腎臓の健康の優先順位を高める
<コミュニティに向けて>
提言5. 腎疾患とその疾病負荷、経済的・環境的インパクトに関する認識向上に努める
※HGPIはこれまで日本の腎移植に関する議論を十分にできていないため、今後さらなる検討が必要であると考えています。
調査・提言ランキング
- 【論点整理】ラウンドテーブル・ディスカッション「社会課題としての更年期女性の健康推進」(2024年11月19日)
- 【政策提言】「災害級の暑さ」への備えを骨太の方針2025に(2025年6月9日)
- 【政策提言】成長戦略としての「プラネタリーヘルス」の統合に向けて~新しい資本主義実行計画(2025年改訂版)への提案~(2025年6月9日)
- 【調査報告】「2025年 日本の医療に関する世論調査」(2025年3月17日)
- 【調査報告】メンタルヘルスに関する世論調査(2022年8月12日)
- 【政策提言】「がん遺伝子パネル検査への患者アクセス保障と保険外併用療養費制度活用にあたっての留意点」(2025年4月28日)
- 【調査報告】「働く女性の健康増進に関する調査2018(最終報告)」
- 【論点整理】血液疾患対策推進プロジェクト「血液疾患対策の推進に向けた現状の課題と展望」(速報版)(2025年6月13日)
- 【政策提言】肥満症対策推進プロジェクト2023「患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策の実装を目指して」(2024年4月8日)
- 【政策提言】フェローによる政策提言プラットフォームプロジェクト「日本における『医薬品の費用対効果評価』のより良い活用に向けて」(2025年5月7日)
注目の投稿
-
2025-01-31
【提言】フェローによる政策提言プラットフォームプロジェクト「日本の国際保健政策と国内プロセス」報告書(2025年1月31日)
-
2025-07-04
【申込受付中】(オンライン開催)第136回HGPIセミナー「精神保健研究におけるPPIの現在地とこれから ― TOGETHERプロジェクトに学ぶ共創のかたち ―」(2025年7月28日)
-
2025-07-04
【開催報告】循環器病対策推進プロジェクト オンライングローバルシンポジウム 「アジア・太平洋地域の政策事例とともに考える、これからの循環器病対策」(2025年3月13日)
-
2025-07-04
【HGPI政策コラム】(No.62)―認知症プロジェクトよりー「国際社会の認知症施策の現在地 2025」
-
2025-07-04
【政策提言】フェローによる政策提言プラットフォームプロジェクト「日本における『医薬品の費用対効果評価』のより良い活用に向けて」(2025年5月7日)