【開催報告】超党派国会議員向け医療政策勉強会「30分で伝える医療政策最前線:腎臓病の克服を目指してーCKD対策のさらなる強化に向けてー」(2024年6月7日)
日本医療政策機構は、超党派国会議員向け医療政策勉強会「30分で伝える医療政策最前線:腎臓病の克服を目指してーCKD対策のさらなる強化に向けてー」を開催いたしました。
今回は、日本腎臓病協会 理事長/川崎医科大学高齢者医療センター 病院長・特任教授 柏原直樹氏を講師としてお迎えし、慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease) 対策の現状を踏まえ、今後推進すべき政策課題についてご紹介いただきました。
講演後の質疑応答では、出席議員から多くの質問や意見が相次ぎ、活発な意見交換の機会となりました。
■ポイント
- 初期の慢性腎臓病(CKD)は症状のほとんどないことが特徴である。全国の透析導入率は高齢男性を除き低下傾向にあるものの、毎年4万人近くが新規に透析に導入され、維持透析患者数は30万人を超える。さらに透析の原因となるCKD患者数は、一層増加していることが示唆されている。透析導入の予防のためにもCKD対策は依然、重要な課題であると言える。CKD、腎不全が進行し、人工透析を行う場合、一人当たり年間約600万円の医療費を必要とする。
- 正確なCKDの診断には、尿蛋白の値とeGFR(推算糸球体濾過値)算出のための血清クレアチニン値の測定が求められるが、労働安全衛生法による一般健康診断では血清クレアチニン値の測定は法定項目として義務化されていない。職場によって、就労世代のCKDが見逃されている可能性があり、血清クレアチニン値の法定項目への追加を期待する。
- 腎機能を測定する検査の一つであるアルブミン尿は、糖尿病または糖尿病性早期腎症に対して保険収載されている。糖尿病に起因しないCKD(CKDの大半を占める)に対しての保険収載の拡大を期待する。また、より強固な体制で、腎疾患対策の拡充・継続をするためには、腎疾患対策を担うナショナルセンター的機能を既存のセンター等へ設置することを要望する。
- CKDの克服には産官学民の連携が重要である。令和6年度の診療報酬の改定で、CKDの重症化予防に関する点数が追加され、腎臓病療養指導士をはじめ多職種での連携、活躍が期待されている。地方では透析施設の医師の高齢化が課題で、遠隔医療の整備も今後重要度が増してくると考えられる。また、企業は健康経営として、高齢化に付随して増加するCKDの重症化予防に取り組むことが期待される。
【プログラム】(敬称略)
趣旨説明/政策提言についてご説明
吉村 英里(日本医療政策機構 シニアマネージャー)
ご挨拶
石田 昌宏(参議院議員)
ご講演「腎臓病の克服を目指してーCKD対策のさらなる強化に向けてー」
柏原 直樹 (日本腎臓病協会理事長/川崎医科大学高齢者医療センター 病院長・特任教授)
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