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【申込受付中】(オンライン開催)第142回HGPIセミナー 「世界腎臓デー2026」テーマから考える:腎臓の健康と地球の健康を両立する“グリーン・ネフロロジー/グリーン・ダイアリシス”の現在地(2026年3月10日)

【申込受付中】(オンライン開催)第142回HGPIセミナー 「世界腎臓デー2026」テーマから考える:腎臓の健康と地球の健康を両立する“グリーン・ネフロロジー/グリーン・ダイアリシス”の現在地(2026年3月10日)

3月12日は「世界腎臓デー(World Kidney Day)」です。2026年の世界腎臓デーのテーマは、「すべての人の腎臓に健康を:人々のケアと地球の保護を両立する(Kidney Health For All – Caring for People, Protecting the Planet)」とされ、腎臓病対策を“人の健康”だけでなく“地球の健康”と同時に捉える視点が国際的に打ち出されています。

慢性腎臓病(CKD)は早期には症状が出にくく、気づかないまま進行しやすい一方で、心血管合併症のリスク増大や生活の質の低下につながり、腎不全に至れば透析や腎移植などの腎代替療法が必要となります。世界腎臓デーのキャンペーンでも、予防と早期発見(血液・尿検査などの簡便な検査を含む)を通じて進行を抑え、重症化を防ぐことの重要性が繰り返し強調されています。同時に近年、腎臓病は「環境からの影響(Climate to Kidney)」と「医療が環境へ与える負荷(Kidney to Climate)」の両面から議論されるようになっています。環境面では、大気汚染、熱ストレス、脱水、極端気象などが腎臓病のリスクや進行に影響し得ることが指摘され、気候変動が腎臓の健康課題をさらに押し上げる懸念があります。

一方で医療側の視点として、末期腎不全の治療、とりわけ血液透析は多量の水、エネルギー、使い捨て資材(単回使用プラスチック等)を必要とし、温室効果ガス排出を伴う“資源集約型”の医療でもあります。世界腎臓デーの情報では、血液透析1回あたりのカーボンフットプリントが、自動車で約240km走行するのと同等という試算も紹介されており、腎臓医療の質を守りながら環境負荷をどう減らすかが、今後の重要な論点として浮上しています。

ただし、この議論は「どの治療が環境に良いか」といった単純な二元論に回収されるべきものではありません。医療の環境影響は、治療法そのものだけでなく、施設インフラ、電力の由来、物流、患者・スタッフの移動、資材調達、廃棄物処理など、多様な要因の組み合わせで決まります。実際、透析のカーボンフットプリントは施設や条件によって大きく変動し得ることも示されています。だからこそ必要になるのが、原材料調達から使用、廃棄までを通して環境影響を評価する枠組みであるライフサイクルアセスメント(LCA: Life Cycle Assessment)を組み込んだ意思決定です。LCAの視点を持つことで、「見かけ上の改善」が別の工程や別の負荷に置き換わるだけになっていないかを点検しつつ、患者の安全性・治療成績・公平性を損なわない形で、実装可能な改善策を設計できます。

本セミナーでは、グリーン・ネフロロジー(Green Nephrology)やグリーン・ダイアリシス(Green Dialysis)として知られる環境配慮型の腎臓医療・透析医療について国内でいち早く調査・研究などを実践し、議論を牽引してきた、筑波大学医学医療系の永井 恵 准教授をお招きし、腎臓医療の現場・研究・学会活動の知見をもとに、腎疾患対策とプラネタリーヘルスをどう接続し、次の一歩をどう設計するかを議論します。

当日は、CKDの予防・早期発見の強化が、個人の健康と医療資源の最適化にどうつながるのか、透析医療の環境負荷を「見える化」し、質を落とさずに改善するには何が必要か、臨床・施設運営・制度・研究をまたぐ形で、国内の議論をどう前に進めるか、といった論点を軸に、医療者、行政、企業、研究者、市民など多様な関係者が共に考える機会とします。


【開催概要】

  • 登壇者:永井 恵 氏(筑波大学医学医療系 准教授/腎臓内科医)
  • 日時:2026年3月10日(火)16:00 – 17:15
  • 形式:オンライン(Zoomウェビナー)
  • 言語:日本語
  • 参加費:無料
  • 定員:500名

 


■登壇者プロフィール

永井 恵(筑波大学医学医療系 准教授)

腎臓内科の臨床医・研究者として、慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)および透析医療に携わる。日立総合病院 腎臓内科 主任医長、筑波大学附属病院 日立社会連携教育研究センター 准教授を兼任し、地域医療と大学教育・研究の橋渡しにも取り組む。近年は、従来のCKD・透析領域の臨床研究に加え、グリーン・ネフロロジー(Green Nephrology)やグリーン・ダイアリシス(Green Dialysis))として知られている環境配慮型の腎臓医療をキーワードに、透析医療の水使用・エネルギー消費・廃棄物等の環境負荷評価と改善策の検討を進めている。日本透析医会 腎不全対策委員会CKD対策部会 Green Dialysis WG 委員長として、現場実装を見据えた議論をリード。また、2024年8月より国立環境研究所 資源循環領域 客員研究員として、医療と資源循環・環境負荷低減をつなぐ学際的研究にも従事。診療指針づくりの面では、日本腎臓学会のCKD診療ガイドライン関連委員としても活動している。

 


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