【政策提言】血液疾患領域における政策提言―患者・当事者中心の医療エコシステムの構築に向けて―(2026年4月13日)
日本医療政策機構(HGPI)は、政策提言「血液疾患領域における政策提言―患者・当事者中心の医療エコシステムの構築に向けて―」を公表しました。本提言は、すべての血液疾患患者が住み慣れた地域で、自分らしく安心して暮らし続けることのできる社会の実現を目指し、4つの柱・10の提言を示すものです。
血液疾患医療は今、歴史的な転換期を迎えています。分子標的薬、二重特異性抗体、CAR-T細胞療法といった画期的な治療法の実用化により、かつては予後不良とされた多くの血液疾患で長期生存が現実のものとなりました。この「治す医療」の成功により、多くの血液疾患は「急性期に集中的な治療を行う疾患」から「長期にわたり付き合っていく慢性疾患」へと性質を変えつつあります。今、この成功を土台に、患者が疾患と向き合いながら自分らしい生活を送ることを支える「ともに生きる医療」への発展が期待されています。
一方、現在の医療提供体制は急性期の入院治療を中心に設計されています。血液内科を標榜する医師の97.5%が病院勤務であり、地域間での診療水準の均てん化(地域格差の是正)や、地域医療機関との連携体制は、いまだ十分とはいえません。加えて、2040年に向けて、高齢化を主因に血液がんの新規罹患数は大幅な増加が見込まれます。生産年齢人口の減少が進む中、持続可能な患者・当事者中心の医療エコシステムの構築は喫緊の課題です。
当機構では2024年度に取りまとめた「論点整理:血液疾患対策の推進に向けた現状の課題と展望」を基に、産官学民のマルチステークホルダーとの対話やヒアリングを重ね、以下の4つの柱・10の提言を策定しました。
柱1:重層的な医療連携体制の構築
- 提言1-1:高度な専門医療と継続的なケアの役割分担を明確化し、患者の状態に応じた最適な医療提供体制を構築する。
- 提言1-2:専門医療機関と地域医療機関の連携により、患者が安心して治療を継続できる体制を構築する。
- 提言1-3:在宅輸血・在宅化学療法の推進により、患者が住み慣れた地域で安心して療養できる環境を整備する。
- 提言1-4:多職種の専門性を活かしたチーム医療の推進とコーディネート機能の強化により、患者を包括的に支援する体制を構築する。
柱2:患者中心の医療コミュニケーションと支援
- 提言2-1:患者が十分な情報を得た上で治療を選択できるよう、意思決定支援の環境を整備する。
- 提言2-2:患者の心理的・社会的な負担を軽減するため、相談支援体制の充実とピアサポートの推進を図る。
柱3:医療DXと情報連携
- 提言3-1:専門医療機関と地域医療機関の間で診療情報を効率的に共有できる仕組みを整備する。
- 提言3-2:患者自身が治療経過を把握し、医療者との双方向的な情報連携を実現する仕組みを整備する。
柱4:制度的支援と研究開発
- 提言4-1:血液疾患の特性を踏まえた制度基盤を整備し、医療提供体制の持続可能性と患者負担の公平性を確保する。
- 提言4-2:臨床研究・治験基盤の強化とイノベーション・エコシステムの構築により、血液疾患領域の国際競争力を高める。
本提言が、血液疾患対策のさらなる推進に向けた建設的な議論の出発点となり、関係者の協働を通じて、患者・当事者を中心とした持続可能な医療エコシステムの実現に寄与することを期待しています。
詳細については末尾PDFをご覧ください。
なお、英語版は後日公開予定です。
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