活動報告 調査・提言

【政策提言】腎疾患対策推進プロジェクト 2023「患者・市民・地域が参画し、協働する腎疾患対策に向けて」政策提言・地方自治体における慢性腎臓病(CKD)対策好事例集(2024年2月14日)

【政策提言】腎疾患対策推進プロジェクト 2023「患者・市民・地域が参画し、協働する腎疾患対策に向けて」政策提言・地方自治体における慢性腎臓病(CKD)対策好事例集(2024年2月14日)

日本医療政策機構 腎疾患対策推進プロジェクトは、世界腎臓デー 2024(3月14日)に向けて、「腎疾患対策推進プロジェクト 2023『患者・市民・地域が参画し、協働する腎疾患対策に向けて』政策提言・地方自治体における慢性腎臓病(CKD)対策好事例集」を公表します。

本提言書、好事例集の作成にあたり、2022年 緊急提言:「腎疾患対策」現状の課題と論点の内容を踏まえ、関連のアカデミアや医療者、患者団体との連携を強化し、さらにCKD対策における議論の深化を目指しました。

実装を担う地方自治体においては、一部好事例が生まれ展開されつつあるものの、多くが手探り状態であり、具体的かつ実効的なCKD対策が全国に波及しているとは言い難い状況でした。そこで、CKD対策の好事例をもつ全国の自治体からヒアリングを2023年8月~9月に実施し、CKD対策推進における成功の背景やプロセスを調査するとともに、これまでに得た教訓と今後さらなるCKD対策の充実に向けた地方自治体のニーズを把握すべく、8の地方自治体および4名の専門家へのヒアリングを実施しました。

その後、ヒアリングで浮かび上がった課題をHGPIがとりまとめ、それらの課題に対して考えうる解決策や地域に根付いた形でのCKD対策(早期発見、診断、重症化予防)の実装に向けた専門家の貢献の在り方について、2023年9月20日に産官学民の腎疾患領域を中心とする専門家で構成されるアドバイザリーボード会合を開催し、議論を行いました。

これらの「地方自治体における好事例収集ヒアリング」および、「アドバイザリーボード会合」から得た論点より、6つの提言を取りまとめました。

 

■6つの提言

  • 提言1:より多くのCKD疑いの人を早期発見するために、健診受診率向上を目指すとともに、健診におけるCKDスクリーニングおよび、保険者におけるCKD対策をさらに強化すべきである
  • 提言2:健診結果を踏まえてCKD疑いの人をより確実に医療機関受診・治療に繋げるべく、受診勧奨方法の工夫および説明方法の改善、さらに社会一般への啓発を通じたCKDの認知度向上を行うべきである
  • 提言3:健診後の受診勧奨で医療機関を受診したCKD患者が、症状や検査値に応じたタイミングでの適切な医療介入や食生活及び生活習慣改善指導を継続的に受けられるよう、かかりつけ医への疾患啓発、診療ガイドラインや紹介基準の浸透、CKDステージ別評価導入、治療へのインセンティブ付与が検討されるべきであり、腎臓専門医不足・偏在解消に向けた対策も併せて進めるべきである
  • 提言4:中核病院・拠点医療機関において、腎臓、糖尿病、他診療科の専門医の連携を通じた包括的な治療の実現と、他診療科受診中の患者からCKD患者を早期発見する仕組み作りを検討すべきである
  • 提言5:地域におけるCKD対策推進に向けて、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、保健師等の各専門職の役割を果たすと共に、自治体や患者当事者コミュニティを含めた多職種連携体制を構築した上で、CKDに留まらず疾患横断的な視点での包括的な生活習慣病対策を推進すべきである
  • 提言6:都道府県と市区町村の役割を明確にし、各自治体内では糖尿病等の他生活習慣病対策と合わせたCKD対策の推進を行うべきであり、さらに新規透析導入患者数以外の中間評価指標を導入しCKD対策のPDCA(Plan Do Check Action)サイクルを効果的に回していくべきである

 

本提言が政策立案者や関係者の一助となり、患者・市民・地域が参画し、協働する腎疾患対策に向けて、政策の進展が図られることを期待しています。

詳細は末尾のPDFファイルをご覧ください。

 

ヒアリングにご協力いただいた自治体及び専門家(敬称略・県と市ごとに五十音順・ご所属・肩書はご参画当時)

岐阜県
千葉県
長崎県
山梨県
岡山県岡山市
熊本県熊本市
群馬県高崎市
千葉県旭市:吉村 健佑(千葉大学医学部附属病院 次世代医療構想センター長 特任教授/こびナビ 幹事)、飯田 英和(千葉大学医学部附属病院 次世代医療構想センター 特任講師)
東京都港区:福井 亮(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 講師)
長崎県長崎市
長野県松本市:上條 裕司(信州大学 医学部腎臓内科 診療教授)
新潟県佐渡市:富永 佳子(新潟薬科大学 薬学部薬学科 教授)

 

「腎疾患対策推進プロジェクト」アドバイザリーボードメンバー(敬称略・五十音順・ご所属・肩書はご参画当時)

石川 祐一(茨城キリスト教大学 生活科学部 食物健康科学科 教授)
植木 浩二郎(国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター長/国立高度専門医療研究センター 医療連携推進本部長)
内田 明子(聖隷佐倉市民病院 総看護部長)
柏原 直樹(日本腎臓病協会 理事長/川崎医科大学高齢者医療センター病院長・特任教授)
黒瀨 巌(日本医師会 常任理事)
宿野部 武志(ピーペック 代表理事/腎疾患当事者)
田村 功一(横浜市立大学医学部医学科 循環器・腎臓・高血圧内科学 主任教授)
福井 亮(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 講師)
向山 政志(熊本大学大学院生命科学研究部 腎臓内科学分野 教授)
守山 敏樹(大阪大学 キャンパスライフ健康支援・相談センター 特任教授)
吉村 健佑(千葉大学医学部附属病院 次世代医療構想センター長・特任教授/こびナビ 幹事)

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