【開催報告】超党派国会議員向け医療政策勉強会「30分で伝える医療政策最前線:気候変動対策と健康増進策の統合~「気候変動と健康の国家戦略」策定の必要性について~」(2024年5月16日)
日本医療政策機構は、超党派国会議員向け医療政策勉強会「30分で伝える医療政策最前線:気候変動対策と健康増進策の統合~「気候変動と健康の国家戦略」策定の必要性について~」を開催いたしました。
今回は、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教授の橋爪真弘氏と、国立環境研究所資源循環領域領域長の南齋規介氏が講演を行い、日本における既存の気候変動対策と健康増進策を統合させて、「気候変動と健康の国家戦略」を策定し、運用していく上での政策課題と必要とされる取組についてご説明いただきました。
講演後の質疑応答では、出席議員から多くの質問や意見が相次ぎ、活発な意見交換の機会となりました。
■ポイント
気候変動の健康影響
- 気候変動の影響により、熱中症による救急搬送数は、厳しく温暖化対策を実施した場合でも、今世紀半ばに1.7倍(1981-2000年⽐)に達すると見込まれる。また、熱ストレスによる死亡は今世紀半ばに2.4倍になると見込まれる
- 加えて、感染症(デング熱等)流⾏の潜在的リスクや非感染性疾患(NCDs: Non-Communicable Diseases)、メンタルヘルスへの影響も懸念される。例えば、NCDsに関し、肥満症や糖尿病の患者は暑熱に対して脆弱である
保健医療分野の脱炭素化
- ⽇本のヘルスケアサービスのサプライチェーンにおいて、温室効果ガス(GHG: Green House Gas)排出量(2015年でCO2換算約7,300万トン)に⼤きく変化はないが、その⽇本全体のGHG排出量に対する⽐率は2020年には6%程度まで上昇した
- また、ヘルスケアサービスは現場の排出と電⼒消費以外の排出も多く、現場でのアクションと再⽣可能エネルギーの導⼊だけでは脱炭素化はできない
- ⽇本が2050年にカーボンニュートラル社会を達成する場合、ヘルスケアサービス全体のGHG排出(カーボンフットプリント)はネット・ゼロ化される必要がある。残り26年のため、英国や豪州のように明確なヘルスケアサービスの脱炭素化ロードマップ、推進・⽀援策、進捗確認が不可⽋である
【プログラム】(敬称略)
趣旨説明・政策提言の紹介
菅原 丈二(日本医療政策機構 副事務局長)
ご講演「気候変動の健康影響」
橋爪 真弘(東京大学大学院 医学系研究科 国際保健政策学 教授)
ご講演「保健医療分野の脱炭素化」
南齋 規介(国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環領域 領域長)
質疑応答

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