【申込終了】(オンライン開催)第131回HGPIセミナー「京都市ケアラー条例の政策過程」(2025年3月19日)

日本医療政策機構では、認知症・高齢化は重要な政策テーマとして長年にわたり取り組んでいます。国や自治体の取り組みに関わる点では、2023年に成立した共生社会の推進を実現するための認知症基本法や、各自治体で制定が進む認知症条例に対して、政策提言・アドボカシー活動を展開してまいりました。特に認知症条例に関しては、2024年12月に23自治体の認知症条例を調査した報告書「共生社会の実現に向けた認知症条例へ」を作成・公開いたしました。2024年12月には国レベルの認知症施策推進基本計画が閣議決定され、今後は自治体における認知症施策推進計画の策定が進んでいきます。
こうした自治体の動きの中で、昨今注目されているのがケアラー支援の動きです。2024年末時点で30を超える自治体が制定しており、今後も増加することが予想されます。例えば、全国で初めてケアラー支援条例を制定した埼玉県では、「ケアラー」を「高齢、身体上又は精神上の障害又は疾病等により援助を必要とする親族、友人その他の身近な人に対して、無償で介護、看護、日常生活上のその他の援助を提供する者」としており、援助対象者の属性を問わず無償での介護、看護、日常生活上の援助を行う人を広く「ケアラー」と定義しています。
こうした条例が誕生する背景にはケアラーは家庭内もしくは限られた人間関係の中での出来事として認識され、ケアラーが抱える様々な身体的、精神的、経済的な負担や孤立状況、さらには自身の人生を犠牲にしてしまう現状が明らかにされてこなかったことがあります。日本でも近年「ヤングケアラー」への注目が集まったことをきっかけに、「ケアラー」という言葉そのものへの認識も高まりつつあります。日本ケアラー連盟などの実態調査を通じて、ヤングケアラーに関する報道が増加、全国各地で実態調査が進んできました。2024年には子ども・若者育成支援推進法が改正され、「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」として、国・地方公共団体等が各種支援に努めるべき対象にヤングケアラーが明記されています。
今回はこうしたケアラー支援を取り巻く状況や課題について、実際の条例制定を事例として考えるべく、立命館大学名誉教授である津止正敏氏にお話しいただきます。津止氏は、京都ケアラーネット代表世話人を務め、2024年11月に制定された「京都市ケアラーに対する支援の推進に関する条例」に対し、当事者・市民の立場から様々な提言を行ってきました。全議員の共同提案、全会一致により可決し、制定したこの条例は、ケアラーを社会全体で支え、全てのケアラーが健康で文化的な生活を営み、自己実現が可能な社会の実現を目指し、ケアラー支援を行うに当たっての理念や役割、基本的施策を盛り込んでいます。京都市の条例の政策過程を通じて、ケアラーを取り巻く現状や課題、あるべき社会の姿を考える機会としたいと思います。
【開催概要】
- 登壇者:
津止 正敏 氏(立命館大学 名誉教授) - 日時:2025年3月19日(水)17:30-19:00
- 形式:オンライン(Zoomウェビナー)
- 言語:日本語
- 参加費:無料
- 定員:500名
■登壇者プロフィール
津止 正敏 氏(立命館大学 名誉教授)
1953年、鹿児島県生まれ。立命館大学名誉教授。立命館大学大学院社会学研究科修士課程修了。京都市社会福祉協議会(地域福祉部長、ボランティア情報センター長)を経て2001年4月より立命館大教授、そして2019年4月より現職。2009年3月に「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」を発足させ、事務局長を務める。著書に『男が介護する-家族のケアの実態と支援の取り組み-』『ケアメンを生きる-男性介護者100万人へのエール-』『男性介護者白書―家族介護者支援への提言-』、『ボランティアの臨床社会学―あいまいさに潜む「未来」-』、『しあわせの社会運動-人がささえあうということ-』など。
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