【申込終了】(ハイブリッド開催)長崎プラネタリーヘルス専門家会合「COP27およびCOP15からG7広島サミットへ:地球規模で生じている気候変動、環境、生物多様性と 人間の健康に関する課題解決に向けた新しいパートナーシップ」(2023年5月12日)
日付:2023年4月7日
タグ: グローバルヘルス戦略, プラネタリーヘルス

2015年にロックフェラー財団とランセット誌が設立したプラネタリーヘルス委員会では、人間の健康と地球の健康は表裏一体であり、我々の文明は人間の健康、豊かな自然システム、天然資源の賢明な管理によって成り立っていることが確認されました。また、ウェルカム・トラスト(Wellcome Trust)とランセット誌によるランセット・カウントダウン(Lancet Countdown)などによる調査では、気候変動や地球環境問題による様々な人間の健康被害がすでに国内外で多数報告されています。地球規模で生じている気候変動、環境および生物多様性の変化は、すでに人々の生活や仕事の環境、健康、そして社会の福利に影響を及ぼすようになっており、世界規模の緊急事態にそれぞれの地域において対処するための調査研究およびそれに基づいた行動が求められています。
先進国首脳会議(G7)や国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)など国際会議の場においても、地球環境の変化の中でも特に気候と健康に関連する議題が大きく取り上げられています。2022年5月にドイツで開催されたG7における保健大臣会合のコミュニケ(共同声明)では「気候の保護は健康の保護に等しい」ことが強調されました。また、外務大臣、開発大臣、気候・エネルギー・環境大臣などの会合コミュニケでも、気候変動と健康に関する議論がなされています。COP27では、健康を気候変動対策の中心に据えることが訴えられ、世界保健機関(WHO: World Health Organization)を中心にCOP27ヘルス・パビリオンが設置されました。また、COP27に向けて、世界の保健医療に関わる団体からも「COP27に向けたヘルスコミュニティからの提言」が発表されるなど、大きな動きとなりつつあります。COP27は議論が難航し、2日間の延長を経て閉幕しました。合意文書の中には、「クリーンで健康的かつ持続可能な環境に対する権利」という記載が追加されるなど、気候と健康に関する課題提議に一定の成果が見られました。また、2021年にイギリスのグラスゴーで開催されたCOP26で立ち上げられた「COP26ヘルスプログラム」では、気候変動に強い保健医療システム、持続可能な低炭素保健医療システム、そしてネットゼロに向けたコミットメントなどがなされました。その流れは、「気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス(ATACH: Alliance for Transformative Action on Climate and Health)」という形に発展しコミットメントなどを、ロードマップや国家戦略の策定などの行動に移す流れが生まれています。そして、国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2030年ミッションとして、「人と地球の利益のために自然を回復軌道に乗せる」ことが掲げられました。「生物多様性と健康」について決定書案が作業部会から提出されており、特に「ワンヘルス」という文脈において対策の必要性や、前述の「クリーンで健康的かつ持続可能な環境に対する権利」に関する記載が行われています。
このように、気候変動を中心として、プラネタリーヘルスの推進に向けた国際的な機運が高まっています。しかし、世界各国で温暖化を含む気候変動や環境負荷などに対する影響が異なることもあり、本分野において解決すべきゴールやそれに対する解決策は多種多様です。そのため、環境・健康・経済の問題を切り離して考えるのではなく、分野横断的・包括的に産官学民が連携することが問題解決のために重要です。
本会合では、気候変動を含む地球環境と人間の健康の結びつきについて、COP27やCOP15における議論を国内外の専門家から共有していただき、その問題意識の認識や理解を促進します。また、2023年に開催されるG7広島サミットや関連したハイレベル会合に向けた議論のための環境を醸成することを目的に、産官学民のステークホルダーを結集し、論点を整理し、次の打ち手を社会に提供します。
【開催概要】
- 日時:2023年5月12日(金)15:00-18:00(開場:14:45)
- 形式:ハイブリッド(会場とオンラインでの登壇・参加)
- 会場:長崎大学 文教スカイホール(長崎県長崎市文教町1-14)
- 言語:日本語および英語(同時通訳あり)
- 参加費:無料
- 共同主催:日本医療政策機構、長崎大学
- 後援:東京大学、国立環境研究所、地球環境戦略研究機関(IGES)、日本医師会、環境省、厚生労働省(申請中)、長崎県、長崎市
- 協賛:ウェルカム・トラスト、アストラゼネカ株式会社、武田薬品工業株式会社
【プログラム】(敬称略・順不同)
14:45 開場
15:00-15:05 開会の辞
- 黒川 清(日本医療政策機構 代表理事)
15:05-15:25 基調講演1:気候変動対策において健康を主流化するための新たなパートナーシップづくり
- Alan Dangour(ウェルカム・トラスト 気候と健康担当ディレクター)
15:25-15:30 ビデオメッセージ1:持続可能な市場のためのイニシアティブ(SMI)の取り組み
- Pam Cheng(アストラゼネカ社 グローバルオペレーション&IT担当 エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフサステナビリティオフィサー)
15:30-16:25 パネルディスカッション1:現代の喫緊の健康課題を解決するために、国際社会は気候変動にどのように対処すべきなのか
パネリスト:
- Alan Dangour(ウェルカム・トラスト 気候と健康担当ディレクター)
- 橋爪 真弘(東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 国際保健政策学分野 教授)
- 南齋 規介(国立環境研究所 国際資源持続性研究室 室長)
- Maria Neira(世界保健機関(WHO) 環境・気候変動・健康局 ディレクター)
- Juliette White CBE(アストラゼネカ社 グローバルSHE&サステナビリティ担当 バイスプレジデント)
モデレーター:菅原 丈二(日本医療政策機構 副事務局長)
16:30-16:50 基調講演2:プラネタリーヘルスに貢献する学問領域を超えた取り組み
- 河野 茂(長崎大学 学長)
16:50-16:55 ビデオメッセージ2:生物多様性・環境汚染分野における取り組み
- 武内 和彦(公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES) 理事長)
16:55-17:50 パネルディスカッション2:プラネタリーヘルス 包括的な視点で日本社会が取るべき対策
パネリスト:
- 春日 文子(フューチャー・アース 国際本部事務局日本ハブ事務局長)
- 原口 真(MS&ADインターリスク総研 フェロー/MS&ADインシュアランスグループホールディングス TNFD専任SVP)
- Tony Capon(モナッシュ大学 持続可能な開発研究所 教授)
- 山野 博哉(国立環境研究所 生物多様性領域 領域長)
- 吉富 萌子(厚生労働省 国際課国際保健・協力室 専門官/医薬・生活衛生局水道課 課長補佐/新型コロナウイルス感染症対策本部 国際班)
モデレーター:渡辺 知保(長崎大学 プラネタリーヘルス学環長/熱帯医学・グローバルヘルス研究科 教授)
17:55-18:00 閉会の辞
- Margaret Tongue(駐日英国大使館 経済担当 公使参事官)
- 秋野 公造(参議院議員/財務副大臣)
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