【開催報告】第2回 ラウンドテーブル・ディスカッション よりよい医療システム改革のための国民の参画に向けて(2021年2月17日)
日付:2021年3月12日
日本医療政策機は、医療システムの持続可能性を高める改革のための国民の政策参画について、産官学民で検討する、第2回ラウンドテーブル・ディスカッションを開催しました。
医療システムは国民の生活を安定させる社会基盤の1つです。日本が1961年に国民皆保険制度を確立しユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成して以来、日本の医療システムは、世界トップクラスの健康長寿社会を支えてきました。しかし、相対的に1人当たりの医療費が大きい高齢者人口の増加や少子化に伴う現役世代人口の減少、医療技術の進歩に伴う革新的ではあるが高額な医療の増加は、現在の医療システムの持続可能性を脅かしています。さらに、昨今の新型コロナウイルス感染症(Coronavirus Disease: COVID-19)によって、有事にも耐久性の高い医療システムへの期待が膨らんでいます。
医療システムの改革は全国民の生活に影響を与える課題であり、これらの改革を推進するためには、医療政策の策定過程において国民の声を十分に反映することが重要であると考えられます。しかし、当機構の2019年度世論調査によると、医療制度を作る過程で声の反映について不満を感じている国民が多いことが明らかになりました。
こうした中、全世代型社会保障に関する広報の在り方会議は、国民の納得感を得るために、国民一人一人が参画し、「選択」を支えるコミュニケーション型広報への転換を目指し、新たな国民参画のあり方を示しました。また、人々の生活を大きく変えたCOVID-19のパンデミックにより、保健医療への国民の関心やオーナーシップ意識が高まっていると考えられ、こうした状況は、国民的議論による政策の作成について再考する絶好の契機であると考えます。
本ラウンドテーブル・ディスカッションでは、国民的議論に関する課題を深掘りし、その推進に向けた具体策を提示することを目指しました。第2回では、第1回での議論を基に、国民的議論推進のために各ステークホルダーに期待される具体的な取り組みを取りまとめることを目的としました。
本ラウンドテーブルシリーズは、国民がより参画できる医療システムの政策決定プロセスに関する提言書を作成するために開催しています。提言書は後日公開します。
■概要
日時:2021年2月17日(水)16:00-17:30
会場:オンライン会議(Zoom)
主催:特定非営利活動法人 日本医療政策機構
■ プログラム:
開催趣旨説明
- マット・マカナニ(日本医療政策機構 シニアマネージャー)
ラウンドテーブル・ディスカッション
参加者:
- 阿真 京子(医療と子育て くらしと命 代表)
- 市川 衛(医療ジャーナリスト/READYFOR株式会社/広島大学医学部 客員准教授)
- 今村 聡(日本医師会 副会長)
- 大井 賢一(認定特定非営利活動法人がんサポートコミュニティー事務局長/プログラムディレクター)
- 香取 照幸(上智大学 総合人間科学部 社会福祉学科 教授)
- 金井 利之(東京大学法学部・大学院法学政治学研究科 教授)
- 佐野 雅宏(健康保険組合連合会 副会長・専務理事)
- 千正 康裕(株式会社千正組 代表取締役社長)
- 中西 哲帥(ヤンセンファーマ株式会社 ポリシーインテリジェンス部)
- 広井 良典(京都大学こころの未来研究センター 教授)
モデレーター
- 菅原 丈二(日本医療政策機構 シニアアソシエイト)
取りまとめ
- 黒川 清(日本医療政策機構 代表理事)
■「医療システムの持続可能性とイノベーションの両立」プロジェクト関連イベント(開催日順)
2019年10月16日 第1回「医療システムの持続可能性とイノベーションの両立」タスクフォース会合:支出の効率性を高める取り組み
2019年11月5日 専門家フォーラム 社会保障を問い直す:これからの公的医療サービスの給付と負担の在り方~マルチステークホルダーが目指す国民皆保険制度~
2019年11月18日 第2回「医療システムの持続可能性とイノベーションの両立」タスクフォース会合:研究開発にかかる経費を効率的に管理するとともに、市場アクセスを改善する取り組み
2019年12月12日 第3回「医療システムの持続可能性とイノベーションの両立」タスクフォース会合:イノベーションのさらなる促進ためのプッシュ型およびプル型インセンティブの開発・普及
2020年1月16日 第4回「医療システムの持続可能性とイノベーションの両立」タスクフォース会合:より良い政策討議のための情報基盤/データ基盤の強化
2020年2月17日 第5回「医療システムの持続可能性とイノベーションの両立」タスクフォース会合:医療システムを支える財源や支払いメカニズム
2020年3月16日 第6回「医療システムの持続可能性とイノベーションの両立」タスクフォース会合:Value Based Medicineの考え方と手法
2021年1月22日 「医療システムの持続可能性とイノベーションの両立」シンポジウム~「医療システムの在るべき姿」への期待 調査から見えてきた「医療の質・アクセス・負担・財源」における課題の探求~
調査・提言ランキング
- 【調査報告】メンタルヘルスに関する世論調査(2022年8月12日)
- 【調査報告】「働く女性の健康増進に関する調査2018(最終報告)」
- 【政策提言】保健医療分野における気候変動国家戦略(2024年6月26日)
- 【調査報告】日本の看護師を対象とした気候変動と健康に関する調査(速報版)(2024年9月11日)
- 【政策提言】共生社会の実現に向けた認知症政策2024 ~認知症施策推進基本計画(素案)及び基本的施策(素案)に対するHGPIからの提言~(2024年8月13日)
- 【政策提言】女性の健康推進プロジェクト「産官学民で考える社会課題としての更年期女性の健康推進政策提言書」(2024年7月31日)
- 【調査報告】「子どもを対象としたメンタルヘルス教育プログラムの構築と効果検証」報告書(2022年6月16日)
- 【翻訳公開】「薬剤耐性(AMR)の脅威の高まりに対応するための実践的な打ち手の要求」(2024年7月3日)
- 【調査報告】「2023年 日本の医療の満足度、および生成AIの医療応用に関する世論調査」(2024年1月11日)
- 【政策提言】「認知症施策推進基本計画策定へ、今必要な3つの視点」~誰もが、いつでも、「共に生きる」社会の実現を目指して~(2024年4月1日)
注目の投稿
-
2024-09-26
【申込受付中】HGPIサロン特別編「2024年米国大統領選が日本の医療とヘルスケア政策に与える影響:米中関係と日米連携の行方」(2024年10月28日)
-
2024-10-07
【申込受付中】国際対話「地域に根付いた市民主体のAMR対策の展開に向けて-Antibiotic Smart Swedenの取組に学ぶ-」(2024年10月25日)
-
2024-10-07
【申込受付中】プラネタリーヘルス専門家会合 未来の医療を築く:GGHHとともに考える持続可能で強靭なヘルスシステムのビジョン(2024年11月5日)
-
2024-10-09
【申込受付中】(オンライン開催)第128回HGPIセミナー「乳がん診療からみる、医療格差の捉え方」(2024年10月29日)
-
2024-10-10
【開催報告】HGPIセミナー特別編 認知症月間・世界アルツハイマー月間記念「認知症共生社会の実現に向けた企業の役割とは」(2024年9月19日)