【パブリックコメント提出】「持続可能な開発目標(SDGs)に関する自発的国家レビュー(VNR)」(2025年4月18日)
日本医療政策機構(HGPI)の薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)プロジェクトとプラネタリーヘルスプロジェクトは、外務省国際協力局地球規模課題総括課による「持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)に関する自発的国家レビュー(VNR: Voluntary National Review)」に対する意見募集に対して、パブリックコメントを提出いたしました。なお、既に意見(パブリックコメント)の募集は終了しております。
2015年9月に開催された国連サミットにおいて、国際社会の目標として、17の目標を掲げた「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。SDGsは、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に、統合的に取り組むこととしています。日本政府は、2025年7月の国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF: High-Level Political Forum)において、SDGsの進捗状況に関する自主的報告を行う国家主導の定期的レビューである「自発的国家レビュー(VNR)」を発表する予定です。日本はこれまで2017年及び2021年にVNRを実施しており、今回が3回目の報告となります。
SDGsは、17の目標と169のターゲットから成り立っており、その中でも保健医療分野においては、目標3「すべての人に健康と福祉を」が中心的なテーマとされています。しかし、AMRやプラネタリーヘルスの課題は、この目標にとどまらず、SDGsの他のさまざまな目標やターゲットとも深く関係しています。
たとえば、AMRは、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」のグローバル指標の1つとして「選択抗菌薬耐性菌による血流感染の割合」が明記されており、国際的にも深刻な保健課題とされています。また、プラネタリーヘルスやAMRの議論においても登場する「ワンヘルス」の考え方は、人間の健康が動物や環境の健康と密接に関係しているという視点に立ち、SDGs全体を俯瞰しながら、より持続可能な社会の実現を目指すアプローチです。
このような背景から、HGPIではAMR対策およびプラネタリーヘルスの観点を踏まえたうえで、以下のポイントを含めたパブリックコメントを提出しました。
パブリックコメントのポイント
AMR
- 2021年のVNR報告書に引き続き、今回の報告書でもAMR対策について記載すること
- ワンヘルス・アプローチによるAMR対策や新興・再興感染症対策を含む保健システム強化に農業分野等からも貢献している旨を追記すること
- 国際協力に関する項目に日本のAMR対策の実績と国際的リーダーシップを明記すること
プラネタリーヘルス
- 環境基本計画や、SDGs実施指針、循環型社会形成推進基本計画において「プラネタリーヘルス」の視点が政策に取り入れられていることを追記すること
- 気候変動や環境問題に対する健康への負の影響と、これらの影響に対して行われている施策として「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」や「気候変動による水系感染症リスク全球ビューワーAdaptwell」について記載すること
- 日本の取り組んでいる国際保健課題として気候変動と健康の関係性が明記されており、「気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス(ATACH: Alliance for Action on Climate Change and Health)」への参加を通して貢献をしていることを追記すること
本パブリックコメントに関する詳しい情報はこちらをご覧ください。
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