2025年1月5日に発売された「INDUST」447号において、日本医療政策機構（HGPI）副事務局長の菅原丈二が寄稿した記事「循環型社会とプラネタリーヘルス：持続可能な未来への提言」が特集として掲載されました。

本稿では、循環型社会の形成が環境と健康の双方に与える影響と、プラネタリーヘルスの理念を取り入れた政策と実践の必要性について提言しています。以下、記事の主な内容をまとめました。

環境と健康の相互依存性：循環型社会がもたらす可能性

• 「第五次循環型社会形成推進基本計画」
  循環型社会の推進は、廃棄物削減や資源効率化だけでなく、地域活性化やウェルビーイングの向上にも寄与。地球環境と人間の健康が密接に関連する「プラネタリーヘルス」の視点が不可欠です
• グローバルな視点からの提言
  国連環境計画（UNEP）や世界保健機関（WHO）のレポートを引用し、循環経済がもたらす健康リスクとその対策について議論。特に、適切なリサイクル技術の必要性や政策の役割が強調されています
• 健康と気候変動への相乗効果
  循環型経済への移行により、資源採取時の大気汚染が削減され、心血管疾患や呼吸器疾患のリスクが低下する効果も期待されています。一方で、有害物質のリサイクルなどに伴う健康リスクに対する対策が求められます
  
  

医療分野における循環型社会の推進

• 医療廃棄物問題とその課題
  新型コロナウイルス感染症により、医療廃棄物の管理が世界的な課題となりました。非焼却型処理技術や再製造の活用が注目されています
• ヘルスケア産業とプラネタリーヘルス
  医療セクターが世界の温室効果ガス排出量の約5％を占める中で、環境負荷を削減する取り組みが求められています。本稿では、国内のヘルスケア産業が国際社会に貢献する役割についても触れています
  
  

循環型社会の課題と未来への提言

• 規制と技術革新の重要性
  有害物質を含む製品のリサイクルや廃棄物管理には技術革新が不可欠。特に、プラスチック汚染への対応が喫緊の課題とされています
• 市民意識と国際協力
  持続可能な社会の実現には、市民や企業が循環型経済の理念を理解し、行動に移すための啓発活動が必要です。また、発展途上国への技術移転や国際的な協力が鍵を握っています
• 日本のモデルケースとしての役割
  「第五次循環型社会形成推進基本計画」を通じて、日本が循環経済先進国としてのモデルを世界に示すことが期待されています

本稿は、当機構が発表した、【政策提言】環境と医療の融合で実現する持続可能な健康長寿社会～プラネタリーヘルスの視点を取り入れた第3期健康・医療戦略への提言～（2024年12月20日）、【パブリックコメント提出】「第五次循環型社会形成推進基本計画（案）」 （2024年5月22日）、【開催報告】プラネタリーヘルス専門家会合「持続可能な保健医療を目指して：パンデミック下における環境汚染と医療廃棄物の影響からの学び」（2024年2月16日）などの視点も反映しております。該当する箇所は、INDUST（いんだすと）のご厚意によりページ下部のPDFファイルよりご覧いただけます。また、他の記事など、全文は「INDUST」447号でご覧いただけます。