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【開催報告】HGPIサロン2025:日本の社会保障の未来を見据えて 第3回「医療システムの持続可能性と財源確保」(2025年10月7日)

【開催報告】HGPIサロン2025:日本の社会保障の未来を見据えて 第3回「医療システムの持続可能性と財源確保」(2025年10月7日)

日本医療政策機構(HGPI)は、非営利・独立・超党派の民間シンクタンクとして、医療・社会保障の課題に取り組んできました。当機構は多様なステークホルダーの集合知を活かして、社会に新たな選択肢を提示することで市民主体の医療政策の実現を目指しています。

現在、日本の社会保障制度は急速な高齢化と生産年齢人口の減少という構造的な課題に直面しています。後期高齢者の増加に伴う医療介護サービスの需要拡大により、社会保障給付費は2040年までに190兆円に達すると予測され、これに生産年齢人口の減少による労働力不足が重なり、現役世代の負担増大と制度の持続可能性の危機をもたらしています。一方で、政府や民間の有識者の中では、これらの課題を克服するための前向きな取り組みが進展しています。医療・介護分野では技術革新が加速しており、新たなサービスやシステムイノベーションが生まれつつあります。また、共生社会の実現を目指した政策や活動が全国各地で展開されるなど、希望ある動きが広がっています。こうした取り組みは、日本の医療介護産業を成長産業としてさらなる発展に導くとともに、地域社会の活性化にも寄与する可能性を秘めています。

過去には社会保障制度改革国民会議が2012年に設置され、長期的な視点で社会保障制度の持続可能性や成長の方向性を議論しました。この議論は、「自助・共助・公助」の最適なバランスを探りつつ、社会保障制度の充実と効率化を追求する中で、日本の社会保障政策の土台を築きました。現在は、その流れを受け継ぎ、全世代型社会保障構築会議が開催され、さらに前進する議論が行われています。さらに、厚生労働省は2024年に「近未来健康活躍社会戦略」を公表し、持続可能な社会保障制度の構築に向けた具体的なビジョンを示しています。この戦略では、「医療・介護産業の成長促進」「国民への還元を目指したイノベーション活用」「健康活躍社会の実現」を主要目標として掲げています。

このような変化の兆しを背景に、当機構では「HGPIサロン2025」のテーマを「日本の社会保障の未来を見据えて」として、未来に向けた議論の場を2025年を通じて提供いたします。本サロンは、チャタムハウスルールの下、参加者同士が自由かつ率直に対話を行い、政策形成のための洞察やアイデアを生み出すプラットフォームとして機能します。ICTの活用による医療・介護の効率化や予防医療の強化、女性や高齢者の活躍促進など、具体的な課題に焦点を当て、理事や参加者とともに建設的な議論を進めてまいります。

HGPIサロンは、医療・社会保障における課題を共有しながら、未来を見据えた解決策を共に探求する場です。本企画は、運営費を賄うための会場費や運営費に限定して使用されておりますが、個人賛助会員の皆様には無料でご参加いただけます。ぜひこの機会にご参加いただき、私たちとともに日本の社会保障の明るい未来を描いていただければ幸いです。

第3回となる今回は、当機構理事の小野崎耕平と同マネージャーの河田友紀子が参加者の皆様とともに議論いたしました。小野崎耕平より、がん疾患を例に日本の医療システムの持続可能性を医療費の観点から、特に財源確保についてプレゼンテーションを行った後、現行の社会保障制度における負担の様々な背景を前提に、社会構造の変化や労働環境の変化等全体像を捉えた具体的な執行面に関する議論、高額療養費制度の見直しを例に政策形成過程における政策オプションの進め方・合意形成方法など、会場一体となった議論が交わされました。


【開催概要】

  • 第3回登壇者

ゲスト:小野崎 耕平(日本医療政策機構 理事)
モデレーター:河田 友紀子
(日本医療政策機構 マネージャー)

  • 日時:2025年10月7日(火)18:30-20:00(受付開始:18:15)
  • 形式:対面のみ
  • 会場:Global Business Hub Tokyo(〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-2大手町フィナンシャルシティ グランキューブ3階 GBHT)
  • ルール:チャタムハウスルール
    (話し手に匿名性を提供し、情報の公開と共有を促進することを目的に、英国におけるChatham Houseが起源となり始まったルールです。現在では、自由な議論を促す助けとして世界中で使用されています。)
  • 言語:日本語のみ

  • 参加費:
    個人賛助会員:無料
     >> 個人賛助会員のお申込みはこちら
    一般:4,000円
    学生(学部生のみ):3,000円
    ※会場では軽食を提供させていただき、参加費は軽食・会場運営費に当てられました。

 

【プログラム】

18:30-18:35 趣旨・ルール説明

河田 友紀子(日本医療政策機構 マネージャー)

18:35-19:30 対談セッション テーマ:医療システムの持続可能性と財源確保

ゲスト:小野崎 耕平(日本医療政策機構 理事)
モデレーター:河田 友紀子(日本医療政策機構 マネージャー)

19:30-19:55 参加者との対話

19:55-20:00 クロージング

 

■プロフィール

小野崎 耕平(日本医療政策機構 理事)

一般社団法人サステナヘルス代表理事。医療品企業ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)にて営業・マーケティング等に従事した後、米国留学を経て2007年に日本医療政策機構に参画、医療政策担当ディレクター、事務局長などを経て2014年より理事。英医薬品企業アストラゼネカにて執行役員(法務・広報・政策担当)、エゴンゼンダー東京オフィスにてコーポレートガバナンスや経営人材の評価・育成・採用等のコンサルティングに従事。厚生労働省保健医療政策担当参与、厚生労働大臣の私的懇談会「保健医療2035」事務局長、厚労省「データヘルス・審査支払い基金改革アドバイザリーグループ」のほか、世界経済フォーラム第4次産業革命日本センターアドバイザリーボードなどを務めた。法政大学法学部法律学科卒業。ハーバード公衆衛生大学院理学修士課程修了(医療政策管理学)。医療政策、ヘルスケア産業、非営利組織の経営に関する記事・講演等多数。聖路加国際大学公衆衛生大学院客員教授(医療政策管理学)。

河田 友紀子(日本医療政策機構 マネージャー)

帝京大学薬学部卒業後、大手調剤薬局チェーンにて薬剤師として勤務。広域な薬剤知識に加えて、採用薬選定や地域包括ケアシステムにおける薬局の機能拡大、認知症キャラバンメイト活動など、調剤薬局のマネジメント全般に携わる。その後、慶應義塾大学大学院にて公衆衛生学修士課程修了(MPH: Master of Public Health)。大学院では高齢者における運動疫学分野の研究、およびそれに伴うWPRO(WHO西太平洋地域事務局)との共同プロジェクトに従事。在学中に医療系ベンチャー企業にて勤務し、複数のビジネスデータコンテストにて受賞歴をもつ(Digital Innovators Grand Prix8、マクロミル主催データに基づいたマーケティング戦略立案コンテスト2018)。2018年12月より日本医療政策機構に参画。女性の健康、こどもの健康、認知症、薬剤耐性(AMR: Antimicrobial resistance )に関するプロジェクトを中心に、国内外のマルチステークホルダーを集結したグローバル会合の企画実行、調査研究、政策提言に取り組む。

 


■今後の開催予定

(終了)第1回 2025年2月14日「医療・介護サービスの効率化とICT活用による生産性向上」武藤 真祐(日本医療政策機構 理事)
(終了)第2回 2025年6月27日「日本の医療費と皆保険制度の持続可能性」津川 友介(日本医療政策機構 理事)
(終了)第3回 2025年10月7日「医療システムの持続可能性と財源確保」小野崎 耕平(日本医療政策機構 理事)
第4回 2025年11月11日「認知症の人の多様な社会参加の促進と共生社会の実現」堀田 聰子(日本医療政策機構 理事)

 


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