【開催報告】「目標から実践へ:日本の医療をグリーン化する」ツール公表オンラインセミナー「気候変動と健康入門」(2025年9月13日)
日付:2025年11月11日
タグ: プラネタリーヘルス
日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)は、ヘルス・ケア・ウィズアウト・ハーム東南アジア(HCWH: Health Care Without Harm Southeast Asia)およびみどりのドクターズと共催で、日本の医療機関を対象としたオンラインセミナー「気候変動と健康入門(Introduction to Climate and Health)」を2025年9月13日に開催しました。本セミナーでは、日本語版「カーボンフットプリント計算ツール」の正式リリースを発表しました。
■セミナーの概要
本セミナーでは、気候変動が人々の健康に及ぼす影響、医療分野が果たすべき責任と可能性、そして脱炭素社会の実現に向けて医療機関がどのように取り組むことができるかについて、多方面から議論が行われました。
セミナーでは、厚生労働省による気候変動と健康の領域に関する動きを共有いただき、実際に脱炭素化に取り組む医療従事者、そして国内外の専門家など、さまざまな立場の登壇者が集い、気候変動が人々の健康に与える影響や、医療分野が果たすべき責任と可能性について議論が交わされました。気候と健康の関係に関する最新の知見が紹介されたほか、日本の医療機関における脱炭素化の取り組みや、医療現場で活用できる「カーボンフットプリント計算ツール」の活用方法など、実践的な内容も共有されました。また、実際に現場で取り組む医療機関の事例紹介を通じて、気候変動への対応が医療の質や地域社会にどのように貢献できるのかについての紹介が行われました。
セミナーの録画は以下よりご覧いただけます。
パスコード:7$.#ci&u
■「カーボンフットプリント計算ツール」について
カーボンフットプリント計算ツール(CICツールキット)」は、医療機関が自らの温室効果ガス(GHG)排出量を把握・管理するために開発されたツールです。 HCWH東南アジア、HGPI、みどりのドクターズは約1年間にわたり、日本の医療機関がより使いやすく活用できるよう、連携して日本語版の開発を進めてきました。
医療分野が世界全体の温室効果ガス排出量の約4%を占めるとされる中、このツールは医療機関が脱炭素化や気候変動への強靭化に向けて具体的な行動を起こすことを支援するものです。このツールはオンライン版とダウンロード可能なスプレッドシート版の両方で提供されており、すでに世界70か国以上で活用され、累計1,370件を超えるデータが提出されています。
ツールの利用方法
- HCWHが提供する「Climate Checkup Online Course(英語)」を受講することで、スプレッドシート版を利用できます。
- HCWHが事務局を務める「GGHHネットワーク(Global Green and Healthy Hospitals)」のメンバーになることで、オンライン版(英語)とスプレッドシート版の両方を利用できます。メンバーになると、2,000を超えるメンバーと情報共有や他団体の脱炭素化事例を参照することも可能です。
■今後の展開
2026年度には、ツールの使用方法を学ぶ対面形式のトレーニングセッションの開催も予定しています。今後のアップデートを希望される方は、以下のリンクより仮登録をお願いいたします。
仮登録はこちら
【開催概要】
- 日時:2025年9月13日(土)15:00-17:00
- 形式:オンライン(Zoomウェビナー)
- 言語:日本語および英語(同時通訳あり)
- 参加費:無料
【プログラム】
15:00-15:05 開会・セミナーの趣旨説明
15:05-15:10 開催挨拶
井筒 将斗(厚生労働省 大臣官房 国際課 国際保健管理官)
15:10-15:25 気候と健康のつながり
Melody Mel-Rijk(ヘルスケア・ウィズアウト・ハーム東南アジア 地域気候マネージャー)
15:25-15:40 日本の医療分野の脱炭素化:進捗状況、課題、そして2030年への道
菅原 丈二(日本医療政策機構 副事務局長)
15:40-15:55 オープンフォーラム・質疑応答
15:55-16:10 医療機関向けカーボンフットプリント計算ツール(日本語版)紹介
Sanskrithi Takur(ヘルスケア・ウィズアウト・ハーム東南アジア データサイエンティスト)
16:10-16:25 ベースラインの経験と施設ベースの取り組み
佐々木 隆文(こうせい駅前診療所 所長/みどりのドクターズ 代表理事)
16:25-16:40 ヘルスケアは日本におけるグリーン・イニシアチブを促進する
古城 資久(日本ゼロカーボン・ウェルフェア協議会 代表理事/伯鳳会グループ 理事長)
16:40-16:50 次のステップ
16:50-17:00 閉会挨拶
横田 啓(岡山協立病院/一般社団法人みどりのドクターズ 理事)
ヘルスケア・ウィズアウト・ハーム東南アジア
医療が環境フットプリントを削減し、持続可能性のためのコミュニティ・アンカーとなるよう、医療を変革することを目指している。「Do No Harm(害をなすことなかれ)」の原則を遵守することで、医療が及ぼす影響を軽減し、より広範な社会変革を促進し、地域社会の健康と回復力を生み出すことを構想している。当組織は特に以下のことを目指している:公衆衛生問題として気候変動に取り組むために医療セクターを動員し、気候変動に賢く持続可能な医療を提供するための医療移行を加速させる解決策を提唱することにより、気候変動に強い医療システムを推進する。持続可能な調達基準を確立しグローバル化し、医療の購買力を活用して、倫理的に生産され、健康的で持続可能な製品やサービスのための政策や市場を推進する。
一般社団法人みどりのドクターズ
日本の医療従事者やクリニック経営者らで構成される団体。みどりのドクターズの使命は、日本における医療行為と医療提供の方法において、環境に配慮した実践と持続可能なイニシアチブを推進することである。グリーン・イニシアチブの推進を使命とし、日本全国における医療の実践と医療提供の方法に変革をもたらそうとしている。医療活動が環境に与える影響の大きさを認識し、二酸化炭素排出量を削減し、廃棄物の発生を最小限に抑え、医療施設内の日常業務に環境に優しい慣行を取り入れる努力を率先して行っている。
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