【申込受付中】(オンライン開催)第140回HGPIセミナー「COPDの疾病負担軽減を目指した早期発見の重要性:臨床現場と政策をつなぐ呼吸器医療の展望」(2026年1月27日)
慢性閉塞性肺疾患(COPD: Chronic Obstructive Pulmonary Disease) は、国内外において疾病負担が大きい疾患として位置づけられており、医療費においても負荷の大きい疾病と考えられています。COPDの発症リスクは、喫煙や大気汚染など日常的な有害物質の吸入が大半を占める一方で、発症の初期段階では臨床症状が出にくいことが特徴としてあげられます。そのため、罹患しているにもかかわらず未受診あるいは診断されていない潜在患者が多くいることが示唆されています。
COPDは、診断に必要なスパイロメトリー(呼吸機能検査)が普及していないうえに、日常で緩徐に変化する症状を自覚しづらく、早期発見や継続的な治療に繋がりにくいという課題があります。このような特性により、国民のCOPD等呼吸器疾患に対する正確な理解や予防行動、定期的な診療の必要性への認識は十分とはいえません。一方で、呼吸機能低下への介入が遅れることは、心機能、骨密度、栄養状態、精神健康など全身の健康に影響を与える可能性があります。また、COPDは心臓病、肺癌などの死亡原因として上位にある疾患にしばしば合併し、それらの悪化因子となったり、治療の妨げになることもあります。よって、COPDへの関心と理解を深めることは、国民の呼吸器症状に関する関心を高め、呼吸器疾患への理解を向上させることにもつながります。このような関連から、COPDの早期発見は人々の健康に大きく関与する課題であり、保健医療体制の整備拡充が求められています。
診断に必要な努力依存性の呼吸機能によらない早期発見方法の開発も模索されていますが、推計されている患者数に対して専門家の数も不足しているなど、医療提供体制や医療アクセスへの課題も指摘されています。これらを推進していくためには、他領域に比べて法制度面での支援が不足しており、政策面での対応も求められています。
本セミナーでは、日本の医療環境や生活習慣の特徴上、潜在患者が多いとされるCOPDに焦点を当て、奈良県立医科大学の室繁郎氏をお招きし、国民・患者に求められる受療行動や自治体・国で取り組むべき政策上の課題まで幅広くご講演いただきます。
臨床現場と研究分野での豊富な経験を基に、科学的な知見と政策的観点の両面から、呼吸器内科が保健医療システムにおいて果たすべき役割と可能性について具体的にお話しいただきます。COPDを切り口に、保健医療システム全体の課題と可能性を再認識し、個人レベルから政策レベルまでの改善アクションにつなげていくきっかけとなることを期待しています。
【開催概要】
- 登壇者:
室 繁郎氏(奈良県立医科大学 呼吸器内科学講座 教授/奈良県立医科大学附属病院 副病院長(兼務)) - 日時:2026年1月27日(火) 18:00-19:15
- 形式:オンライン(Zoomウェビナー)
- 言語:日本語
- 参加費:無料
- 定員:500名
■登壇者プロフィール
室 繁郎(奈良県立医科大学呼吸器内科学講座教授/奈良県立医科大学附属病院副病院長(兼務))
1989年京都大学医学部卒業後、田附興風会北野病院勤務を経て、1998年京都大学大学院博士課程修了(医学博士)。マギル大学ミーキンス・クリスティー研究所研究員、京都大学講師・准教授を経て、2018年より現職。日本呼吸器学会常務理事・保険委員会委員長を務めるほか、同学会の「COPD診断と治療のためのガイドライン」第5~7版では責任編集委員・副委員長を歴任し、「喘息とCOPDのオーバーラップ診断と治療の手引き」第2版(2024年発行)では委員長。同学会のCOPD死亡率の低減を目指すプロジェクト「木洩れ陽2032」の活動にも積極的に関わっている。第42回ベルツ賞1等賞(2005年)、日本呼吸器学会熊谷賞(2014年)受賞。
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