日本医療政策機構（HGPI: Health and Global Policy Institute）は、2025年6月30日に大阪・関西万博にて開催された、PHSSRサミット2025「より強靭な保健医療システムの共創―すべての人のためのトランスフォーム・ケア」に、保健医療システムの持続可能性と強靭性を向上のためのパートナーシップ（PHSSR: Partnership for Health System Sustainability and Resilience）の日本事務局として協力しました。また、HGPIの代表理事・事務局長 乗竹亮治がモデレーターとして、「第1部 NCDsへの早期対応」に登壇しました。

PHSSRは、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス（LSE: London School of Economics）、世界経済フォーラム（WEF: World Economic Forum）、産業界の協働により立ち上がったパートナーシップに基づいたプロジェクトであり、新型コロナウイルス感染症（COVID-19: Coronavirus Disease 2019）を契機に各国の保健医療システムを見直す目的で、2020年にスタートしました。7つの共通ドメイン（ポピュレーションヘルス、ガバナンス、サービス提供、財政、医療人材、医薬品・技術、環境）に基づく分析と、それに即した提言を通じて、世界各国の保健医療システムにおける強み・弱み・機会・課題を可視化し、エビデンスに基づく行動を促進しています。

現在、PHSSRでは新たなフェーズとして、がん、循環器疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患、腎疾患など、NCDsの中でも世界の死亡原因の多くを占める疾患に着目し、各国における「早期対応（Acting Early）」のための実効的かつ測定可能な政策提言「政策ロードマップ（Policy Roadmaps）」について活動を開始しています。

本サミットでは、国内外の政策立案者・専門家・当事者が一堂に会し「政策ロードマップ（Policy Roadmaps）」の重要な中間成果の発信並びに、世界共通の優先課題であり、日本の超高齢社会に対応する新たな医療モデル構築の鍵を握るテーマである、NCDs早期対応および医療DX（デジタルトランスフォーメーション）の視点から医療システムのあるべき姿について多角的に議論を深めました。

【開催概要】

• 日時：2025年6月30日（月）14:00-19:05
• 形式：ハイブリッド
• 会場：EXPO2025 大阪・関西万博 テーマウィークスタジオ
• 言語：日本語・英語（同時通訳あり）
• 主催：日本国際博覧会協会（Better Co-Being）
  大阪・関西万博 テーマ事業 いのちを響き合わせる
• 共催：アストラゼネカ
• 協力：日本医療政策機構、フィリップス、IQVIA、ロッシュ・ダイアグノスティクス
• 後援：駐日英国大使館、英国総領事館、オランダ大使館、スウェーデン大使館、厚生労働省

【プログラム】（敬称略・肩書は開催当時・順不同）

14:00-14:25	開会の辞
	Michel Demaré（アストラゼネカPLC取締役会長）
	武見 敬三（参議院議員／前厚生労働大臣）*ビデオメッセージ
	Elias Mossialos（ロンドンスクールオブエコノミクス チェン・ユー・トン グローバルヘルス学科長／LSEヘルスディレクター）
	宮田 裕章（慶應義塾大学 医学部医療政策・管理学教室 教授）
第一部　NCDsへの早期対応
14:25-14:35	導入
	Elias Mossialos（ロンドンスクールオブエコノミクス チェン・ユー・トン グローバルヘルス学科長／LSEヘルスディレクター）
14:35-15:30	パネル1：PHSSR Policy Road Map 日本版の発表
	プレゼンテーション 野村 周平（慶應義塾大学 グローバルリサーチインスティテュート 特任教授） パネルディスカッション モデレーター： 乗竹 亮治（日本医療政策機構 代表理事・事務局長） パネリスト： 古元 重和（北海道大学大学院医学研究院社会医学分野医療政策評価学教室教授／元厚生労働省がん・疾病対策課長） 鈴木 康裕（国際医療福祉大学 学長／元厚生労働省 医務技監） 野村 周平（慶應義塾大学 グローバルリサーチインスティテュート 特任教授） 林 玲子（国立社会保障・人口問題研究所 所長）
15:30-15:45	海外事例の発表
	Elias Mossialos（ロンドンスクールオブエコノミクス チェン・ユー・トン グローバルヘルス学科長／LSEヘルスディレクター） Chris Licskai（ウェスタン大学シューリック医学歯学部）*ビデオメッセージ Heinrich Worth（呼吸器内科および心臓病学診療科医）*ビデオメッセージ Stephen Holt（SEHA Kidney Care ディレクター兼CEO）*ビデオメッセージ
15:45-16:30	パネル2：海外のベスト・プラクティスからの学び、課題と機会
	モデレーター： 乗竹 亮治（日本医療政策機構 代表理事・事務局長） パネリスト： 轟 浩美（全国がん患者団体連合会 理事／希望の会 理事長） 佐々木 淳（悠翔会 理事長・診療部長／規制改革推進会議 専門委員） 津金 昌一郎（国際医療福祉大学大学院 医学研究科 公衆衛生学専攻 教授／元国立がん研究センター 社会と健康研究センター長） 福永 興壱（慶應義塾大学 医学部呼吸器内科 教授）
16:30-16:45	休憩
第2部 医療DXをどのように加速させるか
16:45-17:15	パネル1：デジタル化を通じた医療提供体制の向上 – 各国の視点から
	モデレーター： Elias Mossialos（ロンドンスクールオブエコノミクス チェン・ユー・トン グローバルヘルス学科長／LSEヘルスディレクター） パネリスト： Chang-Chuan Chan（国立台湾大学名誉教授、CAPRI理事） Jan-Willem Scheijgrond（フィリップス 政府・公共政策担当グローバルヘッド副社長） 宇賀神 史彦（IQVIAジャパン プレジデント） 小松 弘幸（ロシュ・ダイアグノスティクス ヘルスケアエクセレンス本部 本部長）
17:15-18:05	パネル2：日本における医療DXの活用と課題
	モデレーター： 市川 衛（医療の翻訳家／武蔵大学社会学部メディア社会学科 准教授／メディカルジャーナリズム勉強会 代表理事） パネリスト： 内山 博之（厚生労働省大臣官房 医薬産業振興・医療情報審議官） 津川 友介（カリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）医学部（内科）・公衆衛生大学院（医療政策学） 准教授／医師） 中室 牧子（慶應義塾大学総合政策学部 教授） 福原 斉（心臓弁膜症ネットワーク 代表理事） 堀井 貴史（アストラゼネカ 代表取締役社長）
17:15-18:20	閉会の辞
	平 将明（デジタル大臣）*ビデオメッセージ
	The Rt. Hon the Lord Lansley CBD（英国貴族院議員）*ビデオメッセージ
	Emil Levendoǧlu（駐日英国大使館 公使）
18:20-19:05	ネットワーキング