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【政策提言】「ワクチンの研究開発・生産体制の真の強化に向けた提言」(2022年4月26日)

【政策提言】「ワクチンの研究開発・生産体制の真の強化に向けた提言」(2022年4月26日)

日本医療政策機構は、政策提言「ワクチンの研究開発・生産体制の真の強化に向けた提言」を公表しました。

当機構では、2021年度、2021年6月に公表した政策提言「ライフコースアプローチに基づいた予防接種・ワクチン政策 5つの視点と具体策」において重要な論点とされた、ワクチンの研究開発・生産体制の強化について、危機感を共有する有志の専門家を集結したワーキンググループを組成し、議論を行ってまいりました。その議論から、コロナ禍において国内外での日本や世界での対応を踏まえ、ワクチン研究開発・生産体制強化の実現に向けた課題やその解決策について、提言に取りまとめました。本提言では、コロナ禍の有事に早急な対応が求められる取り組みと、有事への備えや対策(プリペアドネス)を念頭におきながら平時から対応が求められる取り組みについて、「ワクチン研究開発・生産体制の強化」「臨床試験環境の整備」「ワクチンの薬事制度の改革」の3つの視点に論点を整理しました。この提言を通じて、日本の予防接種・ワクチン政策が推進され、ワクチンによって防ぐことのできる疾患(VPD: Vaccine Preventable Diseases)から国民の健康と安全、さらには社会経済活動を守ることのできる体制の整備の構築のための議論が産官学民において広がり、具体的な対策が実践されることを目指しています。

なお、当機構では、ワクチンの研究開発・生産体制の強化の実現に向け、世界予防接種週間に合わせ、4月25日に超党派の議員勉強会を開催しました。

 

■エグゼクティブサマリー

1 ワクチンの研究開発・生産体制の強化
 1.1 ワクチン研究開発・生産の真の司令塔機能の必要性とその体制の迅速な整備

  • 平時からの感染症対策や有事におけるワクチンの研究開発・生産の即応体制整備に向けた、司令塔を中心とした産官学の連携体制の強化
  • リソースが逼迫する有事において、分野横断的な議論に基づいて、最も有望なワクチン候補にリソースを選択的に集中させる体制整備と、その際の透明性の向上
  • 薬事制度や治験における司令塔の明確化と戦略的な治験環境の整備

 1.2 平時からのワクチン研究開発・生産エコシステムの国内体制の強化と国際連携の促進

  • 平時からのプロトタイプワクチンの開発・生産を通じた有事の即応体制の強化
  • 現実的なデュアルユースに求められる条件の検討と、平時からの製造拠点の運用体制の整備
  • 有望な基礎研究シーズを有するアカデミアへの支援強化による研究環境の改善
  • 革新的な研究開発分野に取り組むベンチャー企業等への支援の強化
  • 国内ワクチン産業の基盤を強化する、平時におけるワクチンの定期接種化の予見可能性の向上や有事における国家によるワクチンの買い上げなどのプル型インセンティブの強化
  • 国際機関、各国政府、国際的なファンディング機関との連携の強化


2 ワクチンの臨床試験環境の整備
 2.1 平時からの国内の臨床試験環境の強化

  • 公的な大規模治験施設の整備等による質の高い治験の効率的な実施
  • 円滑な国際共同臨床試験への参画に向けた、実施体制の国際基準への調和
  • 小児をはじめとした特定の集団の治験の空洞化を防ぐ制度の構築
  • 革新的な科学技術を評価するための治験の必要性や、治験の倫理性・安全性に対する国民の理解の醸成に資する情報発信の強化

 2.2 国外での臨床試験の実施に向けた平時からの体制整備

  • 外交的な枠組みなどを活用した感染症に対する国際的な協力体制の強化
  • 国際的に調和された医薬品の臨床試験実施基準(GCP: Good Clinical Practice)や適正製造規範(GMP: Good Manufacturing Practice)に沿った運用体制の整備


3 ワクチンの薬事制度の改革
 3.1 有事の緊急的な薬事制度の迅速な確立

  • 国産ワクチンの日本版緊急使用許可の整備
  • 国内緊急使用許可を得たワクチンの国外使用許可取得に向けた支援
  • 特例承認や緊急使用許可後の安全性や有効性を継続的にモニタリングするシステムの構築

 3.2 有事の備えとしての平時のワクチン研究開発・生産体制と薬事制度の連携

  • 感染流行のない地域での代替エンドポイントを用いた薬事制度の検討
  • 日本発の国際共同治験と複数国同時申請に向けた国外の規制当局との連携強化

 3.3 平時からの審査承認機関の免責に関する制度の整備

  • ワクチン接種のリスクとベネフィットに関する国民的議論に基づく免責制度の検討

 


■ワーキンググループ5「ワクチンの研究開発・生産体制」メンバー
(敬称略、五十音順)

ワーキンググループメンバー

  • 石井 健(東京大学 医科学研究所 ワクチン科学分野 教授/同研究所 国際ワクチンデザインセンター センター長)
  • 今川 昌之(一般社団法人 日本ワクチン産業協会 理事長/武田薬品工業株式会社 グローバルワクチンビジネスユニット日本ワクチン事業部 事業部長(兼務)日本メディカル・渉外統括部長)
  • 笠貫 宏(早稲田大学 特命教授/早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所 顧問)
  • 園田 憲悟(KMバイオロジクス株式会社 研究開発本部製品開発部 部長)
  • 長谷川 秀樹(国立感染症研究所 インフルエンザ・呼吸器系ウイルス研究センター長)
  • 松浦 善治(大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)拠点長)
  • 松本 愼次(欧州製薬団体連合会(EFPIA)日本支部 ワクチン部会長)
  • 宮入 烈(浜松医科大学小児科学講座 教授)
  • 山岸 義晃(大阪大学医学部附属病院未来医療開発部未来医療センター 特任准教授)

オブザーバー

  • 荒木 康弘(医薬品医療機器総合機構 ワクチン等審査部長)

スペシャル・アドバイザー

  • 武見 敬三(参議院議員/ワクチンを活用して疾病の予防、罹患率の減少を目指し、国民の健康増進を推進する議員の会(ワクチン予防議連) 会長)
  • 古屋 範子(衆議院議員/ワクチンを活用して疾病の予防、罹患率の減少を目指し、国民の健康増進を推進する議員の会(ワクチン予防議連) 会長代理)

■関連する項目

2021年11月4日 「予防接種・ワクチン政策の確実な進展と実践に向けた次のアクション」ワーキンググループ5 ワクチン研究開発に関する 第1回会合
2022年1月17日 「予防接種・ワクチン政策の確実な進展と実践に向けた次のアクション」ワーキンググループ5 ワクチン研究開発に関する 第2回会合
2022年2月21日 専門家会合「予防接種・ワクチン制度に関するより良い政策立案に向けて―予防接種の長期的な安全性調査に資する情報の基盤整備と利活用の視点から―」 
2022年3月9日 「予防接種・ワクチン政策の確実な進展と実践に向けた次のアクション」ワーキンググループ1「ライフコースアプローチ」会合
2022年3月14日 「予防接種・ワクチン政策の確実な進展と実践に向けた次のアクション」ワーキンググループ2「コミュニケーション」会合
2022年3月16日 「予防接種・ワクチン政策の確実な進展と実践に向けた次のアクション」ワーキンググループ4「マルチステークホルダーエンゲージメント」会合
2022年3月24日 「予防接種・ワクチン政策の確実な進展と実践に向けた次のアクション」ワーキンググループ3 「予防接種・ワクチンの長期的な安全性に資する情報システムに関する会合」

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