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【政策提言】「ライフコースアプローチに基づいた予防接種・ワクチン政策」5つの視点と具体策(2021年6月15日)

【政策提言】「ライフコースアプローチに基づいた予防接種・ワクチン政策」5つの視点と具体策(2021年6月15日)

日本医療政策機構は、政策提言「ライフコースアプローチに基づいた予防接種・ワクチン政策」5つの視点と具体策を公表しました。

当機構では、小児から高齢者まで、全世代が適切なワクチンを接種できる体制を目指し、国内外の当分野における産官学民のオピニオンリーダーをアドバイザリーボードとして結集し、ワクチンが平時そして有事にもたらす価値やそのために求められるコミュニケーションのあり方、個人が人生を通し、あらゆる年齢(ライフコース)にわたるワクチン接種の重要性や、ワクチン未接種世代へのアプローチ方法などの課題について議論を重ねてまいりました。

本提言は、これまでのアドバイザリーボードおよびグローバル専門家会合でのマルチステークホルダーによる議論の論点を当機構が抽出し、5つの視点と具体策にとりまとめたものです。今後当機構では、本提言をベースにより多くのステークホルダーと意見交換を重ねることで、本分野における議論をさらに深化させ、本領域での政策進展を目指してまいります。


■ 5つの視点と具体策


視点1:ライフコースアプローチに基づいた予防接種・ワクチン政策の推進をすべきである

    1. 定期接種の接種対象区分を基礎疾患や特定リスクを含むように拡充、ハイリスクに分類される人々が予防接種の利益を享受できるようにすべきである
    2. 接種漏れや海外在住歴がある者などに対するキャッチアップに対して特例措置を広拡充し、接種者の費用負担を軽減すべきである
    3. 予防接種に対するアクセスを高めるために、予防接種が受けられる場所を増やすべきである
    4. 予防接種の負担費用に対して、所得区分に応じた自己負担割合の設定、または公的医療保険および診療報酬制度変更による適用を検討すべきである
    5. 予防接種歴の管理方法を見直し、個人のライフコースにわたる予防接種歴を可視化し自治体間で共有すべきである


視点2:医療従事者と市民を対象にした普及・啓発活動やコミュニケーション戦略を構築すべきである

    1. サイエンスコミュニケーションおよびリスクコミュニケーションを担当する部署を設け、適切なタイミングで適切な情報を発信することで、予防接種・ワクチンの普及・啓発を促進すべきである
    2. 医療従事者の意識・気づき(アウェアネス)、リテラシー向上のための研修制度導入や成功事例の共有を目指すべきである


視点3:科学的根拠に基づいた政策決定や評価に向けて、予防接種の実施と対象疾患の発生に関する情報システムを連携し、疫学的な効果を分析および共有できる体制づくりを推進すべきである

    1. 情報収集や予防接種台帳管理の体制を見直し、情報入力者となる医療従事者や自治体にとって有用な共通のプラットフォームを構築すべきである
    2. 医療用IDなどを利活用し、個人の接種歴を正確に記録できる情報記録システムを構築すべきである
    3. 予防接種の有効性や安全性を評価する副反応に関する情報活用体制の見直しによる情報の可視化を行うべきである
    4. 有害事象の収集と分析において統一された評価システムを構築すべきである


視点4:マルチステークホルダーでワクチン政策に関する議論を継続的に行える体制づくりを進めるべきである

    1. 市民や専門職団体の参画により社会的コンセンサスを醸成すべきである
    2. 偏向的で不安を煽る偽情報(Disinformation)や医学的な誤情報(Misinformation)に対しする防御策を構築すべきである


視点5:平時や有事を考慮し、未来のワクチン需要を見据えた予防接種政策への投資を促進すべきである

    1. 公衆衛生的危機におけるワクチンの意義を検討し、特例認可のプロセスやワクチンの分配、接種対象選定や優先順位付けを平時から行う体制構築が求められる
    2. 自国におけるワクチンの研究開発および供給体制の確立が求められる

 

提言書全文と、視点1~5の詳細は下部のPDFファイルをご覧ください。

 

■ アドバイザリーボード(敬称略、五十音順)

阿真 京子(一般社団法人 知ろう小児医療守ろう子ども達の会 前代表 / 一般社団法人 日本医療受診支援研究機構(JPSO)理事)
荒井 秀典(国立長寿医療研究センター 理事長 / 日本老年医学会 副理事長)
岩田 敏(国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 感染症部長 / 慶應義塾大学医学部 客員教授 / 予防接種推進専門協議会 委員長)
氏家 無限(国際感染症センター トラベルクリニック医長 / 予防接種支援センター長)
岡部 信彦(川崎市健康安全研究所 所長)
落合 利穏(サノフィ株式会社渉外本部・ワクチン担当ヘッド)
齋藤 昭彦(新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野 教授)
菅谷 明則(すがやこどもクリニック / 特定非営利活動法人VPDを知って、子どもを守ろうの会 理事長)
中山 久仁子(医療法人メファ仁愛会 マイファミリークリニック蒲郡 理事長・院長)
宮入 烈(国立成育医療研究センター 生体防御系 内科部 感染症科 診療部長)


■ スペシャル・アドバイザー(敬称略、順不同)

鴨下 一郎(衆議院議員 / 国民の健康増進を推進する議員の会(ワクチン予防議員連盟) 会長)
武見 敬三(参議院議員 / 世界保健機関(WHO) UHC 親善大使)
古屋 範子(衆議院議員 / 国民の健康増進を推進する議員の会(ワクチン予防議員連盟) 会長代行)
黒川 清(特定非営利活動法人 日本医療政策機構 代表理事)


■ 関連イベント

2020年12月18日 グローバル専門家会合

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