【お知らせ】「健康と命を守るための交渉:COP30に向けた提言」に賛同(2025年10月29日)
2025年10月29日、日本医療政策機構(HGPI)は、「健康と命を守るための交渉:COP30に向けた提言(Negotiating to Protect Health and Lives: Recommendations for COP30)」への正式な支持を表明しました。本提言書は、グローバル・クライメート・ヘルス・アライアンス(GCHA: Global Climate and Health Alliance)が、世界の保健および気候関連コミュニティとの協議を経て作成したもので、2025年に開催される国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)に向けた包括的な提言をまとめています。本提言書は、UNFCCCのすべての交渉において健康の観点を考慮するよう関係各国に呼びかけています。
COP30は2025年11月10日から21日にかけて、ブラジル・ベレンで開催されます。アマゾン地域で初めて開催されるCOPとして、生態系の保全、先住民のリーダーシップ、人間の幸福の重要な相互関係に焦点が当たることが期待されています。近年、気候変動枠組条約(UNFCCC: United Nations Framework Convention on Climate Change)のプロセスにおいても、気候と健康の密接な関連性がますます認識されつつあります。たとえば、気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス(ATACH: Alliance for Transformative Action on Climate and Health)や、120を超える国による「気候に強靭で持続可能な保健医療システム」構築へのコミットメントなどの取り組みにより、健康は地球規模の気候アジェンダにおける重要な柱として位置づけられるようになりました。こうした流れを踏まえ、COP30はこれらの取り組みを統合・拡大し、健康を気候交渉および実施の中心に据える重要な機会となります。
本提言は、気候変動が世界の保健・開発分野における数十年の進展を脅かし、既存の不平等を悪化させるおそれがあると強調しています。そのため、人間の身体的および精神的健康を守り促進し、生態系の劣化を防ぎ、豊かな社会と生産的な経済を実現するためには、野心的な気候政策の決定が不可欠であるとしています。健康の観点をすべての交渉に組み込むことで、COP30は気候危機と人々の日常生活を直接結びつけ、健康を共有の目標として活用し、より野心的な成果を導くことができるとしています。
提言書では、以下の重要分野ごとに具体的な勧告を提示しています。
- 適応(Adaptation)
- 緩和(Mitigation)
- 公正な移行(Just Transition)
- 損失と被害(Loss and Damage)
- 気候資金(Finance)
- 農業(Agriculture)
- ジェンダー(Gender)
- 利益相反(Conflict of Interest)
HGPIのプラネタリーヘルスプロジェクト、薬剤耐性(AMR)プロジェクト、メンタルヘルスプロジェクトは、本提言書の協議過程において意見を提供し、いくつかの重要分野で提言内容の強化に貢献しました。具体的には、生態系の劣化と薬剤耐性との関連、少数派を含む包摂性と公平性の確保、身体的・精神的健康指標の導入、そして気候資金において最も脆弱な人々を優先する必要性などの観点を強調しました。
HGPIは、気候変動対策に健康の視点を統合する世界的な動きを持続的な行動へと結びつけるためには、継続的な努力が不可欠であると認識しています。今後も、国際的な気候・健康コミュニティとともにCOP30関連の取り組みを支援し、人々の健康と福祉を守るための具体的な成果の実現に尽力してまいります。
本提言書の全文は、GCHAの公式ウェブサイトでご覧いただけます。
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