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【お知らせ】「人と地球のためのCOP29−国際的な健康と気候コミュニティからの提言」に署名(2024年11月11日)

【お知らせ】「人と地球のためのCOP29−国際的な健康と気候コミュニティからの提言」に署名(2024年11月11日)

日本医療政策機構プラネタリーヘルスプロジェクトは、2024年11月7日、「人と地球のためのCOP29−国際的な健康と気候コミュニティからの提言」に署名しました。

2023年に開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では、世界保健機関(WHO: World Health Organization)及び議長国であるアラブ首長国連邦(UAE: United Arab Emirates)が主導する「COP28UAE 気候・健康宣言(COP28 UAE Declaration on Climate and Health)」が採択され、日本を含む143カ国が署名しました。これらを具体的な行動に移すためにもアゼルバイジャンのバクーで開催されるCOP29では、気候危機への対応に向けた資金調達が重要な焦点となります。

多くの地域で適応の加速や損失と被害への対応はすでに不可欠となっていますが、積極的な緩和策がなければ適応の限界を超え、身体的および精神的な健康を含めた甚大な被害と損失が生じるリスクがあります。気候変動対策が人々の健康を守るためには、資金が不可欠です。

グローバル・クライメイト・ヘルス・アライアンス(GCHA: Global Climate and Health Alliance)の主導により、「人と地球のためのCOP29」が作成され、当機構からも日本の保健医療をめぐる状況を鑑みて提案をしました。この報告書は、世界中のヘルスと気候コミュニティからの提言をまとめ、COP29の締約国に対し、人々と地球の健康を守り、促進するのに高い野心を持った気候変動対策を約束し、実現するよう求めています。

主要な提言として以下の9つの項目を挙げています。

  1. 実施状況の報告:UAEのCOP28にて「気候と健康宣言」で合意された気候変動と健康に関する行動の優先事項のフォローアップと報告を可能にするメカニズムを定義する。
  2. 政策の一貫性:健康と気候に関する行動、目標、および経済的側面を、NDC(国別削減目標)やその他の国家政策に統合し、セクター間の協調を強化する。
  3. 資金の確保:必要な量と質を備えた新たな集団的定量化目標(NCQG)を設定し、健康を促進する気候行動が可能となる資金を確保する。
  4. 公正なエネルギー移行:化石燃料の迅速、公平、全面的かつ資金提供された段階的廃止を約束し、化石燃料の生産やインフラの拡大を直ちに停止し、公衆衛生の観点から迅速で公正な再生可能エネルギーへの移行を推進する。
  5. 包括的な適応策:身体的・精神的な健康とウェルビーイングの成果を反映する適応計画とモニタリングの基盤を築く。
  6. 損失と被害への対応:損失と被害に対処するためのファンドを資本化させ、影響を受けた地域社会の健康および広範なニーズに対応するとともに、損失と損害に関するサンティアゴ・ネットワークを位置づけ、健康損失と損害の定量化を支援する。
  7. レジリエントで持続可能な農業と生態系:生物多様性を保護し、栄養の安全性を促進する食料および農業システム、土地利用を優先し、手頃でアクセス可能な持続可能な健康的食生活を推進する。
  8. インテグリティ(高潔性)の強化:UNFCCCの政策決定において、健康と気候に害を与える汚染者による不当な影響を減らすための政策を強化することにより、利益相反を管理する。
  9. 最も影響を受ける地域社会との協力:影響を最も受ける地域社会が、安全かつ意義のある形で参加し、気候と健康のための行動を支援する環境を整える。

提言書と関する情報とレポートはこちら(GCHAウェブサイト・英語のみ)をご覧ください。

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