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【メディア掲載】「暑熱対策を健康安保の柱に」(日本経済新聞 私見卓見、2026年7月1日)

【メディア掲載】「暑熱対策を健康安保の柱に」(日本経済新聞 私見卓見、2026年7月1日)

2026年7月1日付の日本経済新聞「私見卓見」に、日本医療政策機構 副事務局長、菅原丈二が寄稿した「暑熱対策を健康安保の柱に」が掲載されました。

この記事では、暑熱対策を健康安全保障の中核に位置づける必要性について、以下のポイントをまとめました。


  1. 暑熱リスクの恒常化と日本の直面する危機
    2025年夏、日本では熱中症による救急搬送者数が調査開始以来初めて10万人を突破し、暑熱が国民の命と健康を脅かす喫緊のリスクとして顕在化しました。2026年4月に気象庁が40℃以上を「酷暑日」と予報用語として命名したことは、極端高温が恒常的に備えるべきリスクへと変質したことを象徴しています。

  2. 国際社会の健康安全保障としての暑熱対策
    英国では気象庁と健康安全保障庁が連携した4段階警報システムが制度化され、フランスでは断熱基準を満たさない住宅の賃貸禁止や建物への緑化義務化が都市の暑熱リスク軽減に寄与しています。国際社会はすでに暑熱対策を、労働生産性・保健医療システム・社会安定を守る健康安全保障の実践として位置づけています。

  3. 日本における構造的課題と統合的対応の必要性
    日本でもクーリングシェルターの創設や職場における暑熱対策の義務化など、制度的な基盤は整いつつあります。一方で、独居高齢者の屋内熱中症や都市ヒートアイランドといった社会的・構造的な脆弱性への対応、また環境省・厚生労働省・国土交通省を横断し、地方自治体と連携した統合的な対応体制の構築には依然として課題が残っています。こうした課題は気象・医療・福祉・労働・都市計画が交差する分野横断的な性質を持ち、特定の省庁や専門分野の縦割りでは根本的解決が困難であるとともに、単年度の予算サイクルを超えた中長期的な視点で継続的に取り組む必要があります。

この点で、高市早苗政権が掲げる「健康医療安全保障」は、省庁横断の横ぐしとして機能し、単年度対応が難しい中長期的な課題に対して骨太の方針や成長戦略よりも踏み込んだ方向性を示していける重要な枠組みです。暑熱対策を危機管理投資の柱として同政策に明確に位置づけることで、省庁の壁を越えた統合的な対策と、複数年度にわたる安定した投資の実現が期待されます。

次期気候変動適応計画への期待

具体的な短期的動きとして特に重要なのが、2026年度内の閣議決定を目指して改定議論が本格化している次期気候変動適応計画です。暑熱をはじめとする気候変動の健康影響が、あらゆる施策の基盤となる「健康」への危機として、省庁・分野を超えて広く認識・共有されること、そして適応のための具体的な方向性が次期計画に実質的に組み込まれることが強く期待されます。断熱住宅などの既存技術やAIを活用した継続的なモニタリングと複合的なリスク評価を組み合わせれば、脆弱層への影響や健康格差を最小化することができます。さらに、サーキュラーエコノミーに対応した医薬品・医療機器の開発や、高齢化社会が求める介護関連製品への戦略的投資は、国際競争力を高める成長の萌芽でもあります。気候変動への対応は単なるコストや負担ではなく、21世紀における健康・経済・社会を同時に向上させる最大の「機会」と捉え直すことが、社会全体を動かす上で不可欠な視点の転換です。人間の生物学的な健康と、それを支える自然システム・経済・政治・社会といった文明の健康の相互接続を追求する「プラネタリーヘルス(人と地球の健康)」の概念は、こうした分野横断・組織横断の国家戦略を設計する際の基本的な軸となります。

プラネタリーヘルスプロジェクト 共同声明のご紹介

日本医療政策機構では、プラネタリーヘルスプロジェクト アドバイザリーボードメンバー(有志一同)とともに、「地球と人の健康を同時に守る~気候危機を健康・経済・成長の『機会』に変える日本型プラネタリーヘルス戦略~」と題した共同声明を2026年6月24日に公表いたしました。暑熱対策を含む気候変動と健康に関わる包括的な政策提言の全文はこちらです。

全文はこちらよりご覧ください。(日本経済新聞社アカウント会員登録等が必要です)

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