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【開催報告】グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP)2021-2022-最終発表会・プログラム総括(2021年2月10日~2022年9月14日)

【開催報告】グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP)2021-2022-最終発表会・プログラム総括(2021年2月10日~2022年9月14日)

日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)とタイ・マヒドン大学公衆衛生学部は、グローバルヘルス・エデュケーションプログラム(G-HEP: Global Health Education Program)を終了しました。約1年半にわたり行われた本プログラムは、「COVID-19と都市移民の健康課題解決」をテーマに、グローバルヘルス若手人材育成を目的として、公益財団法人トヨタ財団による国際助成プログラムの支援のもとで実施しました。

5カ国から24名の参加者が選ばれ、講義、調査、バンコクと東京でのフィールドワーク研修、アドボカシー活動などのプログラムに参加しました。プログラムの最後には、参加者がプログラム中に実施した研究の最終プレゼンテーションが行われました。発表会には、グローバルヘルス分野で活躍する専門家が出席し、研究デザイン、結果、政策提言の全体像について貴重な意見を述べました。 また、この分野で活躍している関係者に向けて、アドボカシー活動を行いました。

 

参加者は4つの研究グループに分かれ、自分たちでグループ名と研究テーマを考えました。

グループA: アジアンアベンジャーズ
研究テーマ: 「タイと日本における移民労働者のCOVID-19ワクチン接種へのためらいと受容の理解」

 

グループB: ヤバイサバイ
研究テーマ: 「COVID-19パンデミック時の日本とタイにおける移民介護労働者の健康状態と労働環境について」

 

グループC: チャ・チャ・チャ
研究テーマ: 「COVID-19パンデミック時の医療サービス利用における主な障壁:日本とタイにおける移民労働者と医療サービス提供者の経験」

 

 

グループD: ジョイフル・スワン
研究テーマ: 「タイと日本の移民におけるCOVID-19ワクチンの公平性と正義感」

 

調査から得られた主な結果は、タイと日本の移住者が直面する、言語、COVID-19やワクチンの情報への理解、システムへのアクセス、パンデミック時の仕事量の増加による休業など、多くの障壁を浮き彫りにするものでした。さらに、一人暮らしの移住者の多くは、社会的なサポートネットワークを持っていませんでした。医療サービス提供者は、このような人々に公平なサービスを提供するための政策や資金の制限という課題も抱えていました。

また、日本とタイの両政府が検討すべきいくつかの提言がグループから提言されました。

  1. 医療提供側と患者側の両方の負担を減らすために、施設に医療通訳/ボランティアを配置し、より外国人に優しい医療サービスのための資金を増やすこと
  2. COVID-19、将来のパンデミック、ワクチンについて、多言語で、最も弱い立場の移民にも届くような、よりよい教育とよりわかりやすいコミュニケーション・キャンペーンを実施すること
  3. 各国が余剰の医療従事者(ヘルスワーカー)を動員し、流行中にすべての人々をサポートできるよう、ヘルスワーカーの迅速な移動のためのシステムを構築すること
  4. 現在のCOVID-19対応戦略の経験に基づき、他の疾患(メンタルヘルス、非感染性疾患、慢性疾患など)にも拡張可能な移民労働者のための健康給付パッケージモデルを作成すること
  5. 移住者の健康を改善し、次の大流行に備えるために、統合的に実施される組織間の方針と仕組みを確立すること

タイや日本のように、移民労働者に経済がますます依存している国は、今後、移民労働者のために、より公平で支援的なシステムを構築する努力をする必要があります。

G-HEPを通じて、分野を超えた若い専門家のコラボレーションを可能にし、彼らの成長を促し、将来のグローバルヘルスリーダーたちのネットワークを構築することで、参加者がポジティブな変化をもたらすことを期待しています。また、参加者に時間を提供し、知識を共有してくださった協力者の方々にも感謝いたします。

 

<プログラムにご協力いただいた主な方々>(敬称略・順不同)

  • Tanarak Plipat(タイ 公衆衛生省 疾病対策部 副局長)
  • 藤田 雅美(国立国際医療研究センター国際医療協力局)
  • 清原 宏之(国立国際医療研究センター国際医療協力局)
  • Myo Nyein Aung(順天堂大学 准教授)
  • 前田 祐二郎(東京大学ジャパンバイオデザイン 共同ディレクター)
  • 中谷 比呂樹慶應義塾大学 特任教授
  • 林 玲子(国立社会保障・人口問題研究所 副所長)
  • Don-Eliseo Lucero-Prisno III(フィリピン大学国際保健学部教授講師/ハーバード大学医学部客員研究員)
  • Aprichat Chamratrithirong(マヒドン大学人口社会研究所(IPSR) 顧問)
  • Rapeepong Suphanchaimat(公衆衛生省政策戦略局の国際保健政策プログラム(IHPP) ダイレクター)
  • Sureeporn Punpuing(マヒドン大学 人口社会研究所(IPSR) 准教授)
  • Walunchai Juengsamranphong(タイ 公衆衛生省 保健経済・健康安全局)
  • 沢田 貴志(港町医療センター 医師)
  • 仲佐 保(シェア=国際保健協力市民の会 共同代表理事)
  • 大川 昭博(移住者と連帯するネットワーク(移住連) 理事)
  • Pop Prach Pongkijvorasin(特定非営利活動法人CHARM)
  • 岩元 陽子(特定非営利活動法人多言語社会リソースかながわ(MICかながわ))
  • 高田 有佳子(国際活動市民中心(CINGA)
  • 新倉 久乃(カラバオの会)
  • 望月 大平(国際移住機関(IOM) 駐日事務所 代表)
  • 高橋 香(国際移住機関(IOM) 駐日事務所 Migration Health Coordinator)
  • 梶 藍子(国際移住機関(IOM) ベトナム事務所移住健康プロジェクト開発・実施オフィサー)
  • 中西 浩之(厚生労働省 医政局総務課 医療国際展開推進室長)
  • 髙松 優光(世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務所 ワクチンで防げる病気と予防接種ユニット コンサルタント)
  • 加藤 琢真(グローバルヘルスとユニバーサルヘルスカバレッジのためのパートナーシッププロジェクト フェーズ2 チーフアドバイザー)

 


■プログラム(講義):

第1回 タイのヘルスシステムとCOVID-19
第2回 日本のヘルスシステムとCOVID-19
第3回 コミュニティヘルス
第4回 ヘルステクノロジー
第5回 グローバルヘルス
第6回 移民のヘルス
第7回 政策提言とアドボカシー
第8回 量的質的研究手法


■フィールドワーク:

2022年6月27日~7月2日 タイ・バンコク
2022年8月7日~8月13日 日本・東京

グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP: Global Health Education Program)は、日本医療政策機構とタイ・マヒドン大学公衆衛生学部の共同プログラムです。


■マヒドン大学について

マヒドン大学は、タイにおける医学教育を牽引する大学であり、公衆衛生学について国内で初めて専門的に取り組み始めた学術機関です。

ビジョン:
 2021年までにヘルスリテラシーに精通した専門家をASEAN諸国に輩出し、各国の人々の健康を促進する

ミッション:
 1. ヘルスリテラシーに精通した専門家になることにより、成果に基づく公衆衛生教育を提供する
 2. 公衆衛生教育、統合的かつ革新的な研究、健康と長寿および人類の発展を促進し、優れた意思決定に基づく専門的な学術に基づく知見を提供するリーダーを育成する

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