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【パブリックコメント提出】「気候変動影響評価報告書(総説)(案)」(2025年12月24日)

【パブリックコメント提出】「気候変動影響評価報告書(総説)(案)」(2025年12月24日)

日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)は、環境省が公表した「気候変動影響評価報告書(総説)(案)」に対して、パブリックコメントを提出しました。

気候変動影響評価報告書は、気候変動適応法10条に基づき、概ね5年ごとに環境大臣がとりまとめる日本における気候変動影響の総合評価についての報告書です。最新の科学的知見に基づき、影響の程度、可能性等(重大性)、影響の発現時期や適応の着手・重要な意思決定が必要な時期(緊急性)、予測の確からしさ(確信度)を整理・評価し、今後の気候変動適応計画や地方公共団体・事業者による適応策の検討等に資することを目的としています。また、本報告書案では、農業・林業・水産業、水環境・水資源、自然生態系、自然災害・沿岸域、健康、産業・経済活動、国民生活・都市生活、連鎖的・複合的影響といった分野ごとに、日本における気候変動の影響の現状と将来予測が整理されています。

気候変動は、極端な高温や豪雨、干ばつ、自然災害の頻発化を通じて、食料・水・住環境・生態系・経済活動・医療提供体制など、人間の健康と生活基盤に広範かつ複合的な影響を及ぼします。第六次環境基本計画が掲げるように、地球の健康と人の健康を一体的に捉えるプラネタリーヘルスの観点から、気候変動影響の評価と適応策の検討を進めることは、今後のわが国の環境政策、保健医療政策の両面にとって重要な課題です。


当機構からは、このような背景を踏まえ、以下の視点を提案しました。

パブリックコメントのポイント

  • 農業・林業・水産業:栄養格差の拡大、農山漁村の過疎化や生計不安などに伴うメンタルヘルス悪化、地域コミュニティの弱体化といった健康・社会的影響について記載すること
  • 水環境・水資源分野:気候変動による水環境・水資源の変化が、安全な飲料水の確保や公衆衛生上への影響に結びつくことを明記すること
  • 自然生態系分野(1):生態系サービスの質的・量的変化と人間の健康・レジリエンスとの関係を追記すること
  • 自然生態系分野(2):分布変化や外来種の評価において、感染症を媒介する節足動物やアレルギー疾患の原因植物等の分布拡大を通じた健康リスクを補足すること
  • 健康分野:暑熱による健康影響が脆弱集団(高齢者、乳幼児・子ども、基礎疾患を有する人、屋外労働者など)に偏在しやすく、既存の健康格差を拡大し得ることを明示し、気候変動影響評価に健康格差、公平性の観点を組み込むこと
  • 産業・経済活動分野:建設業、運輸業、農林水産業等の屋外作業や高温環境下での作業が多い産業において、労働者の熱中症や労働災害リスクの増大が生産性の低下や人材確保の困難化を通じて、企業の人的資本や事業継続性に影響し得ることを明示し、気候変動リスクを「人的資本リスク」として捉える視点を評価に反映すること

 

当機構では今後も、知見の提供や対話の促進を通じて、プラネタリーヘルスの推進に貢献すべく、政策提言および関係団体との連携を進めてまいります。

本件に関するパブリックコメントの募集はすでに終了しています。なお、「気候変動影響評価報告書(総説)(案)」のPDFはこちらから参照可能です。

 

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