活動報告 調査・提言

【活動報告】C7グローバルヘルス・ワーキンググループによるG7に向けた気候変動と健康テーマ別ブリーフの作成過程に参画(2026年6月25日)

【活動報告】C7グローバルヘルス・ワーキンググループによるG7に向けた気候変動と健康テーマ別ブリーフの作成過程に参画(2026年6月25日)

日本医療政策機構(HGPI)は、Civil 7(C7)グローバルヘルス・ワーキンググループが取りまとめた気候変動と健康に関するテーマ別ブリーフ「温暖化する世界における健康の保護(Protecting health in a warming world)」の作成過程において、インプットを提出しました。

C7は、G7に政策提言を行う公式エンゲージメント・グループの一つであり、G7各国およびそれ以外の国・地域の市民社会組織の声を集約し、首脳会合や関係閣僚会合に向けて提言を発信する枠組みです。当機構はこれまでも、C7グローバルヘルス・ワーキンググループによる保健分野の提言書栄養に関するテーマ別ブリーフへのインプットの提出および署名を通じて、C7の活動に貢献してきました。本テーマ別ブリーフは、同ワーキンググループのもとで策定された複数のテーマ別政策文書のうちの一つであり、2026年のG7サミットに向けて、気候変動を健康危機として捉え、気候政策と保健政策を一体的に推進することをG7各国に求めるものです。

本ブリーフは、気候変動が世界の人々の健康に対する重大なリスクとなっており、異常気象の激化・増加や感染症リスクの拡大等を通じて、人々の生命や健康に深刻な影響を及ぼしていることを指摘しています。そのうえで、気候変動への対応を、公衆衛生の保護および保健医療システムの強靭化に不可欠な課題として位置づけています。また、気候変動の影響はすべての人々に等しく及ぶわけではなく、高齢者を含む脆弱な人々への影響を踏まえ、気候と健康に関する政策の設計・実施において公平性を中心に据える必要性を強調しています。

本ブリーフの作成にあたっては、C7グローバルヘルス・ワーキンググループのメンバーからのインプットを基に取りまとめられました。


提言の主なポイント

提言は、以下の2つの柱に基づき構成されています。

  1. 気候政策と保健政策の連携強化
    • 温室効果ガス排出削減を、人々の健康を守り、改善するための中核的な戦略として位置づけること。
    • 気候政策の健康上の便益を可視化するため、健康影響評価を活用し、環境影響評価と健康影響評価の統合を進めること。
    • 医療セクターおよび医療サプライチェーンの脱炭素化を、公正かつ公平な移行の一環として推進し、医療システムにとってのコスト削減にもつながる取り組みとして位置づけること。
    • 環境、気象、保健データの統合を進めるとともに、ワンヘルス・アプローチや早期警戒システムを通じて、気候関連の健康リスクやデング熱、コレラ、マラリア等の気候感受性疾患への対応を強化すること。
    • 科学的根拠に基づく意思決定を、公衆衛生および気候政策の基盤として再確認すること。

  2. 保健医療システムの適応と持続可能な資金確保
    • 気候変動に伴う健康影響に対応するため、各国の気候政策において保健医療システムの適応を中心に位置づけること。
    • 気候危機、感染症流行、自然災害、紛争等の状況下においても、プライマリ・ヘルス・ケア、診断、医薬品供給、性と生殖に関する健康サービスを含む必要不可欠な保健医療サービスの継続性を確保すること。
    • 気候変動に強い医療インフラ、医療施設におけるオンサイト(施設内・敷地内)再生可能エネルギーへの投資、気候レジリエントな診断・治療技術への投資を進めること。
    • 医療従事者の研修に、熱中症の認識と対応、気候感受性疾患のパターン、災害への備え等を含む気候・健康リテラシーを組み込むこと。
    • 気候関連危機に伴う不安、トラウマ、長期的な心理的ストレスに対応するため、メンタルヘルスサービスを拡充すること。
    • 保健医療システムの気候適応に向けた資金を拡充し、気候予算、炭素価格収入、化石燃料補助金の再配分、新たな資金メカニズム等を通じて、持続可能で強靭な保健医療システムへの投資を進めること。

 

■ HGPIのインプットについて

本ブリーフには、当機構が作成過程で提出した複数の観点が反映されています。具体的には、高齢者が熱ストレス、大気汚染、気候関連感染症に対して特に脆弱であり、複合的なリスクに直面していることが盛り込まれました。また、各セクターにおける気候変動の影響を、公衆衛生および健康安全保障と接続して捉えることが、今後の環境・公衆衛生政策の方向付けにおいて重要であるという論点も反映されました。

さらに、保健医療システムの脱炭素化を、単なる排出削減義務ではなく、保健医療システムにとってのコスト削減にもつながる取り組みとして捉える視点が盛り込まれました。加えて、医療施設におけるオンサイト(施設内・敷地内)再生可能エネルギーへの投資、医療従事者の研修における気候・健康リテラシーの強化、化石燃料補助金を気候レジリエントなインフラおよび保健医療システムへの投資に再配分するという論点も反映されています。

これらの論点は、気候変動対策が保健医療分野の外側にある課題ではなく、保健医療システムの持続可能性・強靭性と密接に関わる課題であることを示しています。

当機構は今後も、C7をはじめとする国際的な政策対話への参画や、グローバルパートナーとの連携を通じて、気候変動と健康を含むグローバルな保健課題への対応の強化に貢献してまいります。

ブリーフの全文は、下部掲載のPDFよりご覧いただけます(英語のみ)。

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