活動報告 調査・提言

【お知らせ】C7グローバルヘルス・ワーキンググループによるG7に向けた栄養テーマ別ブリーフに署名(2026年5月27日)

【お知らせ】C7グローバルヘルス・ワーキンググループによるG7に向けた栄養テーマ別ブリーフに署名(2026年5月27日)

日本医療政策機構(HGPI)は、Civil 7(C7)グローバルヘルス・ワーキンググループが取りまとめた栄養テーマ別ブリーフ「栄養:グローバルヘルスと公平性の礎―G7加盟国およびパートナーへの行動要請―(Nutrition, the cornerstone of global health and equity: A call to action to G7 members and partners)」の作成過程に参画し、これに署名いたしました。

C7は、G7に政策提言を行う公式エンゲージメント・グループの一つであり、G7各国およびそれ以外の国・地域の市民社会組織の声を集約し、首脳会合や関係閣僚会合に向けて提言を発信する枠組みです。当機構はこれまでもC7グローバルヘルス・ワーキンググループによる保健分野の提言書への署名および気候変動と健康に関するテーマ別ブリーフへのインプットの提出を通じて、C7の活動に貢献してきました。本テーマ別ブリーフは、同ワーキンググループのもとで策定された複数のテーマ別政策文書のうちの一つであり、2026年のG7サミットに向けて、栄養をグローバルヘルスおよび開発に関するG7の取り組みの中心に据え、持続可能な資金と連携した対応を求めるものです。

本ブリーフは、栄養の過小評価が、予防可能な子どもの死亡、妊産婦死亡、持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)の達成の遅れを引き起こすグローバルな保健危機の一因となっているとの問題意識を示しています。さらに、栄養プログラムへのグローバルな開発援助が2022年比で44%減少していることを指摘し、こうした傾向を反転させるための緊急かつ協調的な行動をG7首脳に求めています。本ブリーフは、低栄養、微量栄養素欠乏、過体重・肥満、食事関連の非感染性疾患(NCDs: Non-Communicable Diseases)を含む「あらゆる形態の栄養不良(malnutrition in all its forms)」に対処するものであり、国主導システムの強化をG7のあらゆる行動の指針とすべき優先事項として位置づけています。

本ブリーフの作成にあたっては、Nutrition Internationalが調整役を担い、C7グローバルヘルス・ワーキンググループのメンバーからのインプットを基に取りまとめられました。

提言の主なポイント

提言は、以下の4つの柱に基づき構成されています。

  1. 栄養への資金強化・最適化
    • 成長のための栄養(N4G: Nutrition for Growth)コミットメントの実施・説明責任およびN4Gパリ宣言2025の履行を含め、栄養のための既存資金の効率化・最適化を図ること
    • 国別計画・優先課題に沿った実施・資金メカニズムに裏付けられた、栄養および子どもの生存に関する明確な成果目標を、G7コミットメントに組み込むこと
    • グローバル・ファイナンシング・ファシリティ(GFF: Global Financing Facility)や子ども栄養基金(Child Nutrition Fund)等の国際的メカニズムへの支援を含め、必須の子どもの生存・栄養介入に向けた新たな資金を動員すること

  2. 必須栄養アクション(ENA: Essential Nutrition Actions)への普遍的アクセスの確保
    • プライマリ・ヘルス・ケア(PHC: Primary Health Care)およびユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC: Universal Health Coverage)プラットフォームを通じた統合的な栄養サービスの提供に向けて保健医療システムを強化し、保健人材、サプライチェーン、資金、情報システム等のボトルネックに対処すること
    • 特に生後最初の1,000日における、持続可能で栄養配慮型(nutrition-sensitive)な保健・食料・社会保護システムへ投資すること
    • パンデミック予防・備え・対応(PPPR: Pandemic Prevention, Preparedness and Response)に栄養を統合し、紛争・避難・気候関連ショックの影響を受ける状況での必須栄養サービスの継続を優先すること

  3. ワンヘルス・アプローチによる栄養強化
    • 気候レジリエントで栄養配慮型な保健医療システムへ投資し、国が定める貢献(NDCs: Nationally Determined Contributions)および国家適応計画(NAPs: National Adaptation Plans)に栄養関連の行動を統合すること
    • 国家政策・戦略において、水・衛生・衛生管理(WASH: Water, Sanitation and Hygiene)と栄養の統合を強化すること
    • 顧みられない熱帯病(NTDs: Neglected Tropical Diseases)と栄養不良の相互連関に対処する統合的アプローチを強化しつつ、協調的なサービス提供を通じて栄養とNTD対策を統合すること
    • 手頃で安全かつ栄養価の高い食事を提供する、持続可能で栄養配慮型な食料システムを推進すること

  4. 国主導システムの強化と説明責任の向上
    • 国別目標、実施計画、複数分野をまたぐ強固なデータ・モニタリング体制を含め、子どもの生存に向けた国主導のリーダーシップと行動を推進すること
    • 税制改革、デット・スワップ、予算優先順位付けの改善等を通じた財政余地の拡大支援を含め、持続可能で国内に根ざした資金調達の仕組みを後押しすること
    • 持続可能な国内マルチステークホルダー・プラットフォームへの資金支援を含め、栄養に向けた国家の協調的マルチセクター行動を推進すること

 

■ HGPIのインプットについて

本ブリーフには、当機構が作成過程で提出した複数の観点が反映されています。主な反映点として、低栄養にとどまらず過体重・肥満・食事関連NCDsを含む「あらゆる形態の栄養不良(malnutrition in all its forms)」への対応が明記されたことが挙げられます。これは、栄養課題を低栄養のみならず、過栄養や食事関連NCDsも含む包括的な課題として捉える重要性を示すものであり、2021年の東京N4Gサミットにおいて栄養の二重負荷(double burden of malnutrition)が正式に議題化されたことを含め、日本が国際的な栄養アジェンダの中で重視してきた問題意識とも整合するものです。また、資金に関する提言において、N4Gパリ宣言2025への言及が盛り込まれたことで、N4Gコミットメントの実施と説明責任の重要性が示されました。さらに、国主導システムの強化と説明責任の向上が提言の独立した柱として位置づけられ、国別目標、実施計画、進捗レビュー、マルチセクターのデータ・モニタリング体制の強化が盛り込まれました。これは、栄養政策を持続可能に推進するうえで、ガバナンス、国内の実施体制、マルチセクター連携を重視すべきであるという当機構の提案と整合するものです。

当機構は今後も、C7をはじめとする国際的な政策対話への参画や、グローバルパートナーとの連携を通じて、栄養を含むグローバルな保健課題への対応の強化に貢献してまいります。

ブリーフの全文は、下部掲載のPDFよりご覧いただけます(英語のみ)。

調査・提言一覧に戻る
PageTop