【お知らせ】C7グローバルヘルス・ワーキンググループによるG7に向けた保健分野の提言書に署名(2026年3月30日)
日付:2026年5月1日
タグ: グローバルヘルス, グローバルヘルス戦略
日本医療政策機構(HGPI)は、Civil 7(C7)グローバルヘルス・ワーキンググループが取りまとめた保健分野の提言書「グローバルヘルスの公平性の実現―連帯・レジリエンス・包摂を求めるC7の提言―(Achieving Global Health Equity: A C7 Call to Solidarity, Resilience and Inclusion)」に署名いたしました。
C7は、G7に政策提言を行う公式エンゲージメント・グループの一つであり、G7各国およびそれ以外の国・地域の市民社会組織の声を集約し、首脳会合や関係閣僚会合に向けて提言を発信する枠組みです。健康は国際社会の安定や経済的繁栄、持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)の達成に不可欠である一方、近年はG7において保健の優先度が十分に確保されていないことが課題となっています。こうした背景のもと、2026年はフランスが議長国を務めるC7の下でグローバルヘルス・ワーキンググループが設置され、保健を他の政策分野にも関わる横断的な優先課題として位置づけ直すことが目指されています。 本提言書は、そのような問題意識を踏まえて取りまとめられた、G7に向けた保健分野の提言書です。
本提言書は、依然として深刻な健康格差が存在すること、また保健財政が厳しい圧力にさらされていることへの懸念を示しています。さらに、気候変動、生物多様性の喪失、汚染からなる「三重の地球危機(Triple Planetary Crisis)」が健康への脅威を増幅させていることを明記し、パンデミック予防・備え・対応(PPPR: Pandemic Prevention, Preparedness and Response)の強化を含む、強靭で公正な保健システムの必要性を訴えています。
■ 提言の主なポイント
本提言書では、以下の3つの柱に基づき提言が示されています。
- 誰一人取り残さないユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC: Universal Health Coverage)の推進
- プライマリ・ヘルス・ケアを基盤に、予防、治療、リハビリテーション、緩和ケアを含む包括的な保健医療サービスを、ライフコース全体にわたり提供すること。
- 栄養、非感染性疾患(NCDs: Non-Communicable Diseases)、メンタルヘルス、性と生殖に関する健康と権利(SRHR: Sexual and Reproductive Health and Rights)等を保健システムに統合すること。
- 医薬品・ワクチン・診断技術への公平なアクセスを確保するとともに、市民社会や当事者の参画を制度的に位置づけること。
- 保健財政の強化
- 保健支出を短期的なコストではなく、人的資本、経済の安定、持続可能な開発への長期的な投資として位置づけること。
- 政府開発援助(ODA: Official Development Assistance)の拡充や、税制改革・補助金見直し等を通じて、各国が保健に必要な財政余地を確保できるようにすること。
- 国際保健財政アーキテクチャを改革し、各国の優先課題に沿った支援と、世界保健機関(WHO: World Health Organization)の持続的かつ柔軟な資金基盤の強化を進めること。
- ワンヘルス・アプローチの推進
- 気候変動、生物多様性の喪失、汚染からなる「三重の地球危機(Triple Planetary Crisis)」に対応し、気候・環境・健康を統合的に扱うこと。
- 気候レジリエントで低炭素な保健・食料システムへの移行や、保健医療システムおよびサプライチェーンの脱炭素化を進めること。
- 生物多様性の保全と回復、PPPRの強化を通じて、強靭で持続可能な保健システムを構築すること。
今回の提言書には、HGPIが提案した重要なグローバルヘルスの観点が反映されています。主な反映点として、「三重の地球危機(Triple Planetary Crisis)」の明記、保健医療システムやサプライチェーンの脱炭素化や医療廃棄物削減に向けたサーキュラーエコノミーの推進、生物多様性の「回復」の明記などが挙げられます。さらに、財務当局と保健当局の連携や、低・中所得国における急速な人口高齢化をUHC達成上の課題として位置づける視点も盛り込まれています。
HGPIは今後も、C7をはじめとする国際的な政策対話への参画や、グローバルパートナーとの連携を通じて、グローバルな保健課題への対応の強化と、持続可能かつ包摂的な保健医療システムの実現に貢献してまいります。
提言書の全文は、下部掲載のPDFよりご覧いただけます(英語のみ)。
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