【講演報告】グローバルヘルス研修2025パネルディスカッション―気候変動時代における保健医療政策の形成 ―(AMSAインターナショナル、2025年10月24日、オンライン)
日付:2025年10月25日
タグ: グローバルヘルス人材, プラネタリーヘルス
2025年10月24日、アジア太平洋地域を中心とした医学生ネットワークであるアジア医学生連絡協議会(AMSA: Asian Medical Students’ Association)の国際事務局が主催するAMSAインターナショナル グローバルヘルス研修2025(AMSA International Global Health Training 2025)において、日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)副事務局長の菅原丈二が、パネルディスカッション「気候変動時代における保健医療政策の形成(Shaping Health Policy in the Era of Climate Change)」にパネリストとして登壇しました。
AMSAは、アジアにおける医学・公衆衛生の向上を目的に、医療系学生同士の人的ネットワーク構築を重視して活動している国際的な学生団体です。「未来のために 今繋がろう(Let’s connect now for the future)」をスローガンに掲げ、各国・地域の支部を通じて、次世代の医療人材育成に取り組んでいます。
日本においてはAMSA Japanが、ワークショップや合宿型医療研修、論文執筆、日英併記の広報誌 eNewsletter の発行などを通じて、国内の医療系学生の連携を促進しています。国際的にも、アジア諸国との短期交換留学、国際会議への参加、各国支部との共同イベントの開催などを通じ、学生主体の国際交流を推進しています。
今回のグローバルヘルス・トレーニング2025(Global Health Training 2025)は、「政策ブリーフ作成ワークショップを通じた医学生の政策参画力の強化(Empowering Medical Students in Policy through Policy Brief Workshop)」をテーマに、将来の医療専門職を担う医学生が、臨床にとどまらず、政策形成やアドボカシーに主体的に関与するための能力を養うことを目的として開催されました。2日間にわたるプログラムでは、気候変動と健康を主要なテーマとし、エビデンスに基づく政策ブリーフ(Policy Brief)の作成と発表が行われました。
パネルディスカッションでは、気候変動が健康に及ぼす影響と、それに対応する保健医療政策の在り方について、グローバルな視点から議論が行われました。
パネリスト
- Jeni Miller(グローバル・クライメイト・ヘルス・アライアンス(GCHA) エグゼクティブ・ディレクター)
- 菅原 丈二(日本医療政策機構 副事務局長)
- Ayunda Dewi Jayanti Jilan Putri(医師/公衆衛生研究者)
特に、
- 気候変動と健康をめぐる国際的な政策動向
- 科学的エビデンスをいかに政治的意思決定につなげるか
- 医学生・若手医療専門職が政策やアドボカシーに果たし得る役割
といった点が共有されました。
菅原は、日本における政策形成や国際保健分野での経験を踏まえ、「気候変動と健康は、保健医療分野にとどまらず、環境、経済、エネルギー、外交などを横断する課題であり、医療専門職が政策議論に関与する重要性は今後さらに高まる」と述べました。また、エビデンスを政策に反映させるためには、研究成果そのものに加え、政策決定者や社会に分かりやすく伝えるための相手に対する理解とコミュニケーションの重要性を強調しました。
こうした議論は、当機構が推進するプラネタリーヘルスプロジェクトの考え方とも深く関係しています。当機構では、気候変動の健康影響を最小化し、気候変動対策による健康上の共便益(コベネフィット)を最大化することを目指すグローバル・クライメイト・ヘルス・アライアンス(GCHA: Global Climate and Health Alliance)に加盟し、国際社会と連携しながら、健康を軸とした気候政策の推進に取り組んできました。本セッションは、こうした国際的な政策議論と、次世代を担う医学生の実践的学びを結び付ける機会となりました。
セッション後半では、参加した医学生による政策ブリーフ案の発表が行われ、菅原を含むパネリストが、エビデンスの活用方法、政策提言の焦点設定、実行可能性といった観点から建設的なフィードバックを提供しました。
当機構としても、AMSA Japanをはじめとする学生団体や若手専門職と連携し、次世代の医療・公衆衛生人材が、国内外の政策形成や国際的議論に主体的に参画できる環境づくりに、今後も継続して取り組んでまいります。
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