【申込終了】(オンライン開催)第135回HGPIセミナー「命を守る『熱』の警鐘 ― 気候変動時代の熱中症対策を考える」(2025年7月1日)

地球温暖化が進む中で、身体が暑さに慣れることを指し、暑熱順化とも呼ばれる暑熱と人間の健康との関係は、差し迫った課題となっています。極端な暑さは、環境や職場における健康リスクの一つとして広く認識されて始めており、気象による死亡の主要な原因であるだけでなく、既存の病気を悪化させる要因ともなっています。
世界的医学誌「ランセット(The Lancet)」が主宰する気候変動と健康に関する国際共同研究事業である「ランセット・カウン トダウン(Lancet Countdown)」の2023年の報告書によると、2018年から2022年の間に、人々は健康を脅かす高温を年間平均86日経験したことが発表されました。また、世界保健機関(WHO: World Health Organization)などの主要な国際機関が、気候変動による健康への影響に対応するために、「気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス(ATACH: Alliance for Transformative Action on Climate and Health)」や、猛暑による健康リスクを軽減するための知識や戦略を共有するためのプラットフォームである「世界暑熱健康情報ネットワーク(GHHIN: Global Heat Health Information Network)」のような取り組みにおいても、暑熱と健康は重要な課題であり、喫緊の対応が求められています。
日本は2024年の熱波において、97,578件の緊急搬送と2,033件の死亡が発生し、熱中症による死亡者数はその年の地震や洪水、土砂崩れなどの自然災害による死亡者数を大きく上回っています。さらに、高齢化と人口構成の変化や単身世帯の増加は、直接・間接的に熱中症へのリスクをさらに悪化させています。2040年までに、65歳以上の高齢者は日本の人口の35.3%を占めることになり(1990年の12%から増加)、その結果、熱中症のリスクが高まると予測されており、東京では、人口増加と高齢化により、2040年までに熱中症の発生件数が360%増加すると予測されています。
年々リスクが高くなると予測される熱中症に対処するため、日本では2021年から「熱中症警戒アラート」を正式に開始し、2025年6月1日には職場における熱中症対策が義務づけられました。また、2023年5月30日に閣議決定された「熱中症対策実行計画」では、2030年までに熱中症による死亡者数を半減させることを目標に、国民への啓発や情報提供、高齢者や子どもなど脆弱な人々への熱中症対策、産業界との連携、熱中症対策に関する研究の推進などが盛り込まれています。
こうした背景を踏まえ、今回のHGPIセミナーでは、日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野大学院教授であり、熱関連疾患の分野における救急医学の専門家としてご活躍されている横堀將司氏をお迎えいたします。横堀氏は、現在、熱関連疾患の影響規模に関する包括的なデータの欠如という課題に取り組まれており、最も脆弱な人々を特定するための調査や、事前対策の検討、さらに一般市民と専門家双方に役立つツールの開発を推進されています。熱波による健康リスクが高まる中で、科学的根拠に基づいた備えと政策の必要性について、皆様とともに理解を深める機会にしたいと思います。
【開催概要】
- 登壇者:
横堀 將司氏(日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野 大学院教授/日本医科大学付属病院高度救命センター センター長) - 日時:2025年7月1日(火)14:30-15:45
- 形式:オンライン(Zoomウェビナー)
- 言語:日本語
- 参加費:無料
- 定員:500名
■登壇者プロフィール
横堀 將司(日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野 大学院 教授/日本医科大学付属病院 高度救命センター センター長)
1974年群馬県生まれ。1999年群馬大学医学部医学科卒業。2005年日本医科大学大学院修了。1999年より日本医科大学付属病院高度救命救急センター入職。国立病院機構災害医療センター脳神経外科医員、武蔵野赤十字病院脳神経外科医員、米国マイアミ大学医学部脳神経外科客員研究員などを経て、2013年より日本医科大学講師、2018年准教授、2020年大学院教授。専門は脳神経外科救急。神経再生、幹細胞移植、脳低温療法、熱中症の基礎実験および臨床に従事。
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