【政策提言】成長戦略としての「プラネタリーヘルス」の統合に向けて~新しい資本主義実行計画(2025年改訂版)への提案~(2025年6月9日)
日付:2025年6月9日
タグ: プラネタリーヘルス

日本医療政策機構プラネタリーヘルスプロジェクトは、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(2025年改訂版)」に対し、環境と健康の相互連関を重視した「プラネタリーヘルス」の視点を政策の中核に据えるべきとの提言を発表しました。
本提言は、「成長と分配の好循環」「社会課題の解決を通じた新たな市場の創出」「国民のウェルビーイングの向上」といった新しい資本主義の理念を具体化するにあたり、地球環境と人間の健康を一体不可分と捉える新たなアプローチ=プラネタリーヘルスを、GX戦略・保健医療政策・防災体制に横断的に統合する必要性を示すものです。
特に、気候変動の影響が医療体制や人々の健康に及ぼすリスクが拡大する中で、日本は「自然と共生する社会モデル」の構築をリードすることが期待されます。環境保全と健康増進を両立させるGX(グリーントランスフォーメーション)の推進、気候変動に強靭な保健・医療・介護制度整備への気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス(ATACH: Alliance for Transformative Action on Climate and Health)などの国際連携活用、高齢者や脆弱層を守る都市型ヒートリスク対策など、複数の政策分野にまたがる提案を通じて、持続可能な経済社会の実現に貢献する視点を提示しました。
■ 提言のポイント
1.GX戦略におけるプラネタリーヘルスの統合
気候変動対策と健康増進の共便益(コベネフィット)を重視し、循環型経済や自然再興(ネイチャーポジティブ)な地域づくりを成長戦略の中核に据える
2.国際連携を活用した保健・医療・介護制度改革
気候変動に対応した持続可能で低炭素な保健・医療・介護体制を構築し、国際的な枠組みと連携しながら保健医療の環境対応力を強化する
3.気候災害と健康をつなぐ防災政策の再設計
夜間熱中症など都市型ヒートリスクに対応する体制(CHO設置)や、自然資本を活かした防災インフラの整備を進める
4.地域主導のプラネタリーヘルスモデルの構築
医療・介護・環境・産業を統合した地域単位のプラネタリーヘルス施策を支援し、国内外のモデル都市の形成と展開を促進する
気候変動、生物多様性の喪失、高齢化、自然災害の激甚化といった複合危機に対し、「健康」と「地球環境」の両立は、もはや選択肢ではなく必然です。新しい資本主義の実現において、プラネタリーヘルスは未来を拓く“成長戦略”として不可欠な柱となります。
日本医療政策機構は、今後も政策提言と多様なステークホルダーとの対話を通じ、社会変革の実装を支援していきます。
詳しくは下部PDFをご覧ください。
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