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【開催報告】グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP)2024 日本におけるフィールドワーク(2024年11月25日~11月29日)

【開催報告】グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP)2024 日本におけるフィールドワーク(2024年11月25日~11月29日)

グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP: Global Health Education Program)は、11月25日~11月29日に日本・広島県および東京都において、アメリカ、タイ、日本からのG-HEPの12人の参加者が一堂に会し、5日間のプログラムを実施いたしました。

本プログラムは「プラネタリーヘルスの課題に取り組む若手リーダーの国際交流プログラム」と題し、約6ヶ月間に渡り、オンライン講義、ケーススタディをテーマとしたグループワーク、タイおよび日本でのフィールドワークを実施しています。

日本のフィールドワークでは、広島大学IDEC国際連携機構 プラネタリーヘルスイノベーションサイエンスセンター(PHIS: Center for the Planetary Health & Innovation Science)センター長 で 同大学院先進理工系科学研究科 環境保健科学研究室 准教授 鹿嶋小緒里氏、同大学院PHIS准教授 で 同大学院先進理工系科学研究科 准教授である渡邊園子氏の協力のもと、広島県内で3日間のフィールドワークを実施いたしました。その後、東京へ移動しグループワーク、最終発表会および国際キャリアシンポジウムを行いました。

1日目

はじめに、鹿嶋氏と渡邊氏より、自然環境、社会システム、人の健康、そして平和の4つの重要概念に焦点を当てたフィールドワークの計画について講義をいただきました。

その後、第二次世界大戦での広島への原爆投下を記録した広島平和記念資料館と、戦争の代償と平和の重要性を象徴する広島平和都市記念碑を訪問しました。また、参加者は古くからの信仰の場であり自然豊かな宮島を訪れました。

 

2日目

前 芸北 高原の自然館 学芸員で、登別市観光交流センター 学芸員兼 副館長である 白川勝信氏から「芸北せどやま再生プロジェクト」について講義をいただきました。芸北せどやま再生プロジェクトとは、持続可能な生物資源の生産、町の活性化、そして広島県芸北地域の循環型経済を生み出すための参加型森林資源管理の取り組みです。講義のあと、八幡湿原自然再生プロジェクトサイトや芸北オークガーデンホテルなど、プロジェクトの現場や施設を訪れ、地元の人々や企業による実施状況を視察しました。

また、北広島町雄鹿原診療所を訪れ、同診療所所長の東條環樹氏から芸北地域の健康と高齢化、地域包括ケアシステムについての講義を受けました。

 

3日目

1975年に日米共同研究機関として設立された、公益社団法人 放射線影響研究所(RERF: Radiation Effects Research Foundation)を訪問しました。同研究所 広報室長 ジェフリー・ハート氏が、研究所の歴史やこれまでの研究内容についてレクチャーを行い、施設内を案内しました。

また、参加者は、1日目に提示された4つの重要概念をプラネタリーヘルスの文脈でどのように統合し、これらの課題に取り組むための次のアクションステップは何かについて考察し、発表を行いました。広島での3日間のプログラムを通して、気候変動に関連する生物多様性の課題や、それらの課題と急速に高齢化が進む地域の人々の健康に直接的・間接的の関係性、そして平和構築について学びました。

 

4日目
参加者は、これまでのプログラムを踏まえ、各グループでケーススタディの結果や政策提言をまとめ、最終成果発表に向けて準備をしました。

 

5日目

東京都にある浅草文化観光センターで、最終発表会と国際キャリアシンポジウムを開催しました。プログラムの参加者は、日本、米国、タイのアカデミア、政策、産業界の関係者を前に、ケーススタディから得られた全体的な知見と、課題解決策、政策提言について発表しました。最終発表会は、以下の4つのテーマについて行われました。

1. 気候変動下における食料安全保障 郊外コミュニティにおけるタイの高齢者と介護者の適応戦略の模索
2. タイの自然と動物種を守るための生物多様性と健全な生態系の保全
3. サムットプラカーンにおける水質改善のための水資源管理と持続可能な開発
4. タイの管理不行き届きな固形・プラスチック廃棄物問題への取り組み



 3名の登壇者による国際キャリアシンポジウムが行われました。サステイナビリティとグローバルヘルスの専門家である登壇者らは、より健康的で持続可能な地球環境の実現に向けた、国際的なキャリア形成について講演をしました。

紀ノ岡トーバ(Enteleco ディレクター/共同創始者)

池上 京(Planet Savers株式会社 CEO)

髙松 優光(国立感染症研究所 研究員)

国際キャリアシンポジウムの後、ネットワーキング・レセプションを行いました。参加者、ゲスト・スピーカー、本プログラムの講師、過去のG-HEP卒業生らが今後の協力関係を育むために交流を深めました。

今年のG-HEPは、多国間の協働や、革新的思考により実行可能な解決策を考えることを通じて、プラネタリーヘルスの重要な課題に取り組む若手リーダーの育成を行いました。本プログラムによってもたらされた分野と国境を超えたグローバルなネットワークおよび経験を活かし、今後も参加者がプラネタリーヘルスおよびグローバルヘルスの課題解決へ貢献することを期待しています。



■グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP: Global Health Education Program)

G-HEPは、協働してグローバルヘルスのアジェンダを推進する若手リーダーのグローバルコミュニティを確立し、将来に向けた人材育成を行うことを目的とする若手育成プログラムです。2018年から始まったマヒドン大学公衆衛生学部とのパートナーシップにより、日本だけでなくASEAN地域の若手同士の交流が促進されてきました。今年は、エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院を迎え、アメリカの視点を取り入れるとともに、多様な職業や背景を持つ参加者たちと共にプログラムを実施します。プログラムを通じて、参加者たちは実践的な知識を身につけるだけでなく、将来のグローバルヘルスリーダーとして成長し、世界中で公衆衛生の向上に貢献することが期待されます。


■エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院について

エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院は、全米の公認公衆衛生大学院の中で第3位にランクしている。「世界の公衆衛生の首都」として知られるアトランタに位置するエモリー大学は、いくつかのユニークな地域資源を活用している。例えば、米国疾病管理予防センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、当校の非常勤講師約200人を提供しており、カーター・センター(Carter Center)は学生の実習機会を提供する国際保健介入プログラムに関与している。学生は教室内の学びと現場でのインターンシップの両方から知識を得ることができる。全米50州および海外40カ国以上から学生が集まり、健康増進と疾病予防のための知識を実践している。


■マヒドン大学公衆衛生学部について

1948年に設立されたマヒドン大学公衆衛生学部は、タイで最初の公衆衛生の学術機関である。現在、公衆衛生学部は学士、修士、博士課程で毎年約1,400名の卒業生を輩出している。同学部は、アジア太平洋地域におけるアカデミック・リーダーとして不可欠な役割を果たしており、学術研究、実践的な研修を通して、国内外の公衆衛生領域の発展に貢献している。1976年以来、同学部は公衆衛生学修士-国際プログラムを運営し、42カ国から1250人以上の卒業生を輩出している。



本事業は、独立行政法人国際交流基金の助成を受けて実施しております。

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