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【開催報告】グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP)2024 タイ・バンクラチャオにおけるフィールドワーク(2024年8月5日~8月9日)

【開催報告】グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP)2024 タイ・バンクラチャオにおけるフィールドワーク(2024年8月5日~8月9日)

日本医療政策機構、エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院、マヒドン大学公衆衛生学部 共催 グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP: Global Health Education Program)は、8月5日~8月9日にタイ・バンクラチャオにおいて、アメリカ、タイ、日本からのG-HEPの12人の参加者が一堂に会し、タイでの1週間のフィールドワーク活動を行いました。

本プログラムは「プラネタリーヘルスの課題に取り組む若手リーダーの国際交流プログラム」と題し、5カ国からの参加者を迎え、約6ヶ月間に渡り、オンライン講義、ケーススタディをテーマとしたグループワーク、タイおよび日本でのフィールドワークを実施しています。



本プログラム開始時から、参加者は以下の4つのトピックで、各グループはケーススタディについて議論を深めてきました。

  1. 気候変動下における食料安全保障 郊外コミュニティにおけるタイの高齢者と介護者の適応戦略の模索
  2. タイの自然と動物種を守るための生物多様性と健全な生態系の保全
  3. サムットプラカーンにおける水質改善のための水資源管理と持続可能な開発
  4. タイの管理不行き届きな固形・プラスチック廃棄物問題への取り組み

この2か月間、各グループはマヒドン大学のスーパーバイザーと共に、それぞれのケーススタディ・トピックの背景調査を行い、研究質問を策定し、データ収集方法を明確化し、フィールドワークに向けて準備しました。

バンコク市の対岸、チャオプラヤ川に囲まれる様に位置するサムットプラカーン県のバン・クラチャオで、フィールドワークを行いました。バン・クラチャオは「緑の肺」と呼ばれる人工島で、豊かな自然と持続可能な地域経済活動で知られています。島内では自転車が主な交通手段となり、水の上に設置されている高架サイクリングロードを走行します。フィールドワーク中、各グループは自転車で島内を移動しました。

1日目
フィールドワーク初日には、バン・クラチャオの自治体事務所で、地元政府関係者から温かい歓迎を受けました。その後、地域で支援している多くの持続可能な取り組みについて説明を受けました。午後には、現在進行中のサステナビリティプロジェクトの現場を見学しました。

最初に訪れた農業用水利施設では、地域でどのように水適切に管理しているかを学びました。多くの地元農民が直面する課題の一つとして、海水の逆流等で塩分濃度が上昇したチャオプラヤ川の水の淡水化です。作物に影響を与えないようにするため、様々な技術が用いられており、地下水や雨水を川の水と混ぜて、塩分濃度を抑える方法などが紹介されました。

次に、ワット・チャク・デーン寺院の敷地内にあるプラスチックリサイクルセンターを訪問しました。約7割の地域住民の協力のもと、このリサイクルセンターでは、回収したプラスチックをハンガー・毛布・僧侶の袈裟などの製造に再利用しています。また、食品廃棄物を堆肥として再活用する事も行っていました。

最後に、これらの活動の歴史を祝うために設置された、80周年記念庭園を訪問しました。この公園は環境保全活動の教育の場として活用されており、生物多様性の維持や川の水質汚染を防ぐことへの重要性について、住民や訪問者の意識付けが行われています。

2日目
参加者が地元のコミュニティワーカーと会い、ケーススタディの対象となる住民について詳細な情報を入手しました。各グループは、データ収集のための計画も最終調整しました。通訳を介して行われた異文化コミュニケーションは、参加者にとっても非常に良いフィールド経験となりました。

午後には、コミュニティ内の対象住民に対するインタビュー(主に深層面接法)を行い、データ収集を開始しました。


3~4日目
各グループが自転車で様々なコミュニティを回り、データ収集を続けました。日中のフィールド活動の後には、収集したデータの整理や分析を行いました。

 

5日目
最終日には、1週間の経験を振り返ったグループ発表会が行われ、自治体関係者やコミュニティワーカーにも出席頂きました。各グループはインタビューした住民・関係者の詳細および研究トピックにおける課題を共有した上で、データ収集と中間分析の成果を提示し、コミュニティに対する提言の素案も発表しました。出席した自治体関係者は提言内容を高く評価し、各グループとの質疑応答も白熱化し、大変実りの多いセッションとなりました。発表の後、伝統的なタイ舞踊のパフォーマンスが用意されており、参加者も一緒に踊り、文化交流の機会ともなりました。

気候変動の影響は世界のあらゆる地域で散見されていますが、その程度は地域によって様々です。バン・クラチャオが遭遇している影響は、アメリカや日本からの参加者にとっては自国では経験しない事も多々あり、複雑な課題を他者視点で見る貴重な経験となりました。

9~10月は、各グループともオンラインでの作業を継続し、研究データの解析および政策提言の策定を行い、11月に日本で行われる最終発表会に備えます。

 


■グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP: Global Health Education Program)

G-HEPは、協働してグローバルヘルスのアジェンダを推進する若手リーダーのグローバルコミュニティを確立し、将来に向けた人材育成を行うことを目的とする若手育成プログラムです。2018年から始まったマヒドン大学公衆衛生学部とのパートナーシップにより、日本だけでなくASEAN地域の若手同士の交流が促進されてきました。今年は、エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院を迎え、アメリカの視点を取り入れるとともに、多様な職業や背景を持つ参加者たちと共にプログラムを実施します。プログラムを通じて、参加者たちは実践的な知識を身につけるだけでなく、将来のグローバルヘルスリーダーとして成長し、世界中で公衆衛生の向上に貢献することが期待されます。


■エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院について

エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院は、全米の公認公衆衛生大学院の中で第3位にランクしている。「世界の公衆衛生の首都」として知られるアトランタに位置するエモリー大学は、いくつかのユニークな地域資源を活用している。例えば、米国疾病管理予防センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、当校の非常勤講師約200人を提供しており、カーター・センター(Carter Center)は学生の実習機会を提供する国際保健介入プログラムに関与している。学生は教室内の学びと現場でのインターンシップの両方から知識を得ることができる。全米50州および海外40カ国以上から学生が集まり、健康増進と疾病予防のための知識を実践している。


■マヒドン大学公衆衛生学部について

1948年に設立されたマヒドン大学公衆衛生学部は、タイで最初の公衆衛生の学術機関である。現在、公衆衛生学部は学士、修士、博士課程で毎年約1,400名の卒業生を輩出している。同学部は、アジア太平洋地域におけるアカデミック・リーダーとして不可欠な役割を果たしており、学術研究、実践的な研修を通して、国内外の公衆衛生領域の発展に貢献している。1976年以来、同学部は公衆衛生学修士-国際プログラムを運営し、42カ国から1250人以上の卒業生を輩出している。



本事業は、独立行政法人国際交流基金の助成を受けて実施しております。

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