【開催報告】認知症研究における当事者参画の推進に向けて「車座対話」~研究について話そう~(2025年3月17日)
日付:2025年3月27日
タグ: 認知症
日本医療政策機構では、共生社会の実現を推進するための認知症基本法(以下、認知症基本法)にて明記されている、認知症の人と家族等の研究への参画促進に向けた取り組みの一つとして、認知症の本人や家族等と研究者が対話する場として「車座対話~研究について話そう~」を開催しました。
認知症プロジェクトでは、近年急速に関心が高まっている研究への「患者・市民参画(PPI: Patient and Public Involvement)」について、被験者として研究に参加をする「参加(Participation)」、研究の一部へ関与する「エンゲージメント(Engagement)」、患者・市民が研究チームの一人として研究者とリーダーシップを共有しながら積極的に関与する「参画(Involvement)」の三段階に大きく分類できると考えています。研究者は、「研究は当事者(本人、家族等)や市民その結果を享受する人達のためにあるものである」ということを理解し、研究の種類や内容に応じて適切に患者・市民参画を推進することが求められます。

現状日本の認知症研究においては、「参加(Participation)」も決して円滑とは言えず、特に医学研究などでは研究者や大学・研究機関が、それぞれ地道に被験者をリクルートするなど研究遂行の観点からも課題が多い状況です。認知症基本法が掲げる共生社会の実現に向けては、各研究分野において特に「参画(Involvement)」への底上げが期待されています。認知症の医学的な研究においても当事者参画の推進によって、これまでになかった新しい気づき・視点・アプローチが生まれ、それらは市民社会のみならずアカデミアにも新たな価値をもたらすことが期待されています。
車座対話を開催するにあたり、アルツハイマー病領域の研究者である新美芳樹氏(東京大学医学部附属病院 特任准教授)および、当事者団体である「おれんじドア三鷹」の皆様にご協力をいただきました。
当日は、新美氏より、「研究とはなにか」「医学研究とはどのようなものか」をご自身の経験や研究をふまえて、当事者が分かりやすい簡単な言葉を用いながら概説いただきました。ご講演後、参加者からは日常生活での疑問や研究に対する質問などが挙げられ、活発な対話が繰り広げられました。
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