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【パブリックコメント提出】生物多様性条約締約国会議「生物多様性と健康に関するグローバル行動計画(案)に対するピアレビュー」(2024年2月12日)

【パブリックコメント提出】生物多様性条約締約国会議「生物多様性と健康に関するグローバル行動計画(案)に対するピアレビュー」(2024年2月12日)

日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)プラネタリーヘルスチームは、生物多様性条約の締約国会議(COP)「生物多様性と健康に関するグローバル行動計画(案)」についてパブリックコメントを提出いたしました。

生物多様性は人類の生存を支え、人類にさまざまな恵みをもたらすものです。他方、生物多様性の損失は、人間の健康を含めてさまざまな影響を及ぼします。生物多様性の問題に世界全体で取り組むため、1992年、「1.生物多様性の保全」「2.生物多様性の構成要素の持続可能な利用」「3.遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分」の3つを目的とする生物多様性条約(CBD: Convention on Biological Diversity)が採択されました。また、同条約に基づく取組を推進するため、最高意思決定機関である締約国会議(COP: Conference of the Parties)がおおむね2年に1回開催されています。

前回の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)は2021年及び2022年に行われ、生物多様性に関する2030年までの新たな世界目標(ポスト2020生物多様性枠組)である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。同時に、第14回締約国会議(COP14)以来議論されてきた、国の政策、戦略、プログラム、および国民経済計算に生物多様性と健康の関連性を主流化するグローバル行動計画(Global Action Plan)について、本年2024年にコロンビアで開催予定の第16回締約国会議(COP16)に向け、ドラフトを最終化する段階に移行しました。

ドラフトの最終化にあたっては、生物多様性条約の締約国及びその他の政府、先住民及び地域コミュニティ、並びに関連するステークホルダーのフィードバック(ピアレビュー)が求められています。ピアレビューを踏まえたドラフトは、条約の実施に関する科学的、技術的助言を適時に提供する補助機関(SBSTTA: the Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice)によってレビューされ、決定のプロセスを踏むことになります。

日本医療政策機構のプラネタリーヘルスチームは、このピアレビューに参加しており、グローバル行動計画のドラフトに関する意見書を提出しました。この貢献は、多様なステークホルダーからの視点と洞察が行動計画の最終化において考慮されることを確実にするための、より広範な取り組みの一部です。

パブリックコメントのポイント

  • 生物多様性の損失と感染症や非感染症の出現及び拡散、そして健康格差の増大との関連はよく知られており、生物多様性の保全と持続可能な利用が病気の予防、削減、そして積極的な管理に役立つとされている。しかし、この関係性を支持する証拠には具体的な裏付けが必要であると指摘されている
  • 持続可能な開発目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」という文脈で、環境の悪化が子どもや若者の身体的、精神的、感情的な脆弱性を高め、子どもたちの健康と全面的な発達ポテンシャルの実現に「主要な脅威」をもたらしていることが重要である。また、貧困層や社会的に脆弱な人々への配慮の重要性が強調されている
  • 生物多様性と健康の相互関係を国家の健康戦略や生物多様性戦略に統合し、精神衛生、栄養、非感染症及び感染症の管理、子どもの発達などの健康計画においても考慮することが推奨されている。これには、貧困層や脆弱な人口、女性、子どもの視点の組み込みや、健康格差の縮小も含まれる
  • 生物多様性と公衆衛生に関する国家的な焦点を設定し、国家間の調整、実施、および最良の実践の共有を強化すること、さらには生物多様性と健康の相互関係に関する国家的な調整メカニズムを開発・強化することが提案されている
  • 農業、養殖業、漁業、林業からの汚染を減らし、持続可能な農業実践を活用すること、また化学的な農薬や除草剤、抗生物質の必要性を減らすための統合的な害虫管理の使用などが推奨されている。これには、家畜への抗生物質の管理も含まれる

 

この生物多様性と健康に関するグローバル行動計画のドラフトに対するピアレビューに関しては、こちら(英語のみ)をご覧ください。

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