【開催報告】シンポジウム 女性の健康プロジェクト「現代日本における子どもをもつことに関する世論調査 ~妊娠を望む人が妊娠できる社会の実現を目指して~」(2022年3月4日)
日付:2022年3月28日
タグ: 女性の健康

日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)女性の健康プロジェクトでは、女性の健康週間(3月1日~8日)である3月4日に「現代日本における子どもをもつことに関する世論調査」の最終報告書を公表しました。また、本公表に併せて同日にシンポジウムを会場(グローバルビジネスハブ東京)とオンラインによるハイブリッド形式にて開催いたしました。
1990年に記録した過去最低の合計特殊出生率「1.57ショック」以降、日本政府は少子化対策として様々な法整備や施策を実施してきました。希望出生率1.8の実現に向け、2020年5月閣議決定された少子化社会対策大綱では、「児童手当の見直しや待機児童の解消」、「若者の雇用環境の改善」、「男性の育児休暇の取得」等が盛り込まれ、具体的な数値目標が設定されています 。しかしながら、同年6月に発表された2020年の合計特殊出生率は、1.34と前年を0.02ポイント下回り、5年連続で低下しています 。そこで新たな少子化対策として、不妊治療の助成拡大が実施され、保険適用の対象拡大に向けた議論が進められていますが、妊娠を希望する世代のニーズをまだ十分には反映しきれていないとする声も少なくありません。
当機構が2018年に実施した働く女性2,000名を対象とした調査(働く女性の健康増進に関する調査2018)では、妊娠を希望したことがある738名の女性のうち、自身が希望するタイミングで妊娠することができた女性は46.7%にとどまるという結果が得られました。さらに、望んだ時期に妊娠することができなかった393名の女性たちからは、望んだ時期に妊娠するためにあれば良かったと思う施策や制度として、「職場における有給休暇制度の柔軟性」、「職場環境の改善」に次いで、「学校における妊娠に適した時期や妊孕性に関する授業の実施」といった意見が多く挙がりました。当該調査結果においては、解決へ向けたいくつかの打ち手が挙げられたものの、妊娠を希望し、望んだ時期に妊娠することができなかった群のみを対象とした設問であったことや女性側だけの意見が主となっていたことから、さらに関連要素を細分化した検証の重要性が強調されました。
以上を踏まえて、当機構では、2021年度、妊娠を望む⼈が妊娠できる社会の実現に向けて、必要かつ効果的な対策を具体的に⽰し、提⾔することを⽬的として、全国25歳〜49歳までの男⼥10,000名を対象にインターネットでアンケート調査を実施いたしました。
本シンポジウムでは、本調査結果のご報告に加え、産官学民のマルチステークホルダーによるパネルディスカッションを行い、子どもをもちたいと望む人たちを取り巻く現状の課題や女性の健康対策、少子化対策における今後の展望について議論を深めました。本会合での議論を元に、とりまとめ資料を作成し、今後のより良い女性の健康対策、少子化対策に還元してまいります。
【開催概要】
- 日時:2022年3⽉4⽇(⾦)18:30-20:00
- 会場:ハイブリッド形式(グローバルビジネスハブ東京 Field / Zoomウェビナー)
- 言語:日本語
- 主催:日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)
【プログラム】(敬称略・五十音順)
18:30-18:35 開会挨拶
- 乗竹 亮治 (日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO)
18:35-18:50 調査報告
- 今村 優子 (日本医療政策機構 マネージャー)
18:50-19:55 パネルディスカッション「妊娠を望む人が妊娠できる社会の実現に向けた現状の課題と今後の展望」
パネリスト
- 大須賀 穣(東京大学 大学院医学系研究科 産婦人科学講座 教授)
- 佐藤 摩利子(国連人口基金駐日事務所 所長)
- 林 伴⼦(内閣府 男⼥共同参画局⻑)
- 藤本 宏樹(住友生命保険相互会社 上席執行役員兼新規ビジネス企画部長/ SUMISEI INNOVATION FUND事業共創責任者)
モデレーター:
- 今村 優子(日本医療政策機構 マネージャー)
19:55-20:00 閉会挨拶
- 野田 聖子(内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画))
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