【パブリックコメント提出】2030年SDGs目標年に向けての我が国のグローバルヘルス戦略中間とりまとめ(2022年2月25日)
日付:2022年3月17日
タグ: AMR

2022年2月25日に、日本医療政策機構は内閣府 健康・医療戦略推進事務局に対して、「2030年SDGs目標年に向けての我が国のグローバルヘルス戦略中間とりまとめ」に対する意⾒(パブリックコメント)を提出いたしました。なお、既に意見(パブリックコメント)の募集は終了しています。
意見(パブリックコメント)の概要は以下の通りです。詳細はPDFファイルをご確認ください。
グローバルヘルス戦略中間とりまとめにおけるAMR対策推進の明確な記載に感謝申し上げる。一方、2022年1月公表のLancet誌等でも、AMRという感染症による健康危機の深刻さと遅滞ない対策の必要性(後述)が明らかになっており、ポスト・コロナ時代における「誰も取り残さない」と「人間の安全保障」の達成を考えたとき、AMR対策はUHCと共に我が国のグローバルヘルス戦略の柱として認識すべきである。
- 2019年のAMR菌感染症による死亡者は世界で127万人にものぼる。これはマラリアやHIV/AIDSによる同年の死亡者数より多い。AMRに関連する感染症による死亡者まで含めるとその数は495万人にものぼる。
- パートナーシップ国に想定されている国々においてもAMRは主要な死亡原因である。AMRによる死者はアフリカのサハラ砂漠以南と南アジアで最も多く、10万人あたり24人が死亡している。
- このまま有効なAMR対策が講じられなければ、2050年には世界で1000万人がAMR菌感染症によって死亡し、世界の年間GDPも2017年比で3.8%減少する可能性がある。この数値は2008年の金融危機と同程度である。
- AMR対策の根幹にある抗菌薬は、がん治療(年間980万人が化学療法を受療)、臓器移植(年間15万件以上)、透析(年間4億人以上が透析や腎移植を受療)等、世界の現代医療の基盤を支えている。また、ある特定の菌種の薬剤耐性率が50%減少すると、日本の入院医療費削減効果は10年間で228億円から588億円に及ぶと期待される。
上記の通り、抗菌薬は市民の健康と国家の安全保障の基盤となる公益性の高い「社会インフラ」であり、AMR対策は我が国のグローバルヘルス戦略のもう一つの柱として、政策目標の基本的考え方内の強靱性の項目において、以下のように特に強調されるべきだ。
Ⅱ 我が国の基本方針
2 政策目標の基本的考え方
(3)強靭性
強靱性とは、各国の保健システム及び国際社会が危機に対し効果的に対応でき、必須サービスを危機時にも継続的に供給できることである。平時だけでなく有事においても人々の生命を守り、よりよい健康を達成するという強靱性の重要性はCOVID-19を受けてさらなる高まりをみせており、「AMR対策をはじめとする」公衆衛生・感染症対策、保健システムへの平時からの継続的・長期的な投資が必要となっている。強靱な保健システム構築のためには、「AMR対策などの感染症治療薬を含めた」診断・治療・ワクチンなどの技術の開発及び、それらへの公平なアクセスの確保も不可欠である。
■関連する活動
調査・提言ランキング
- 【当事者の声】薬剤耐性 伊東幸子氏 非結核性抗酸菌症(2022年3月18日)
- 【緊急提言】「認知症観を変革する認知症基本法の成立を」(2022年9月27日)
- 【出版報告】プラネタリーヘルスプロジェクト「プラネタリーヘルスに関する課題とヘルスケアセクターの役割」(2023年5月10日)
- 【調査報告】「がんゲノム医療」に関するインターネット調査結果(概要)(2023年5月11日)
- 【政策提言】2023年G7広島サミットに向けた提言~薬剤耐性(AMR)対策の促進に向けて 求められる政治的リーダーシップと国際連携(2022年12月19日)
- 【政策提言】C7グローバルヘルス・ワーキンググループによるG7に向けた提言書(2023年4月20日)
- 【調査報告】「働く女性の健康増進に関する調査2018(最終報告)」
- 【調査報告】「社会経済的要因と女性の健康に関する調査提言」(2023年3月6日)
- 【政策提言】2023年G7広島サミットに向けて~国際社会と歩調を合わせたプラネタリーヘルス対策の推進~(2022年11月10日)
- 【政策提言】G7広島サミットおよび関係閣僚会合に向けて~国際社会と歩調を合わせた気候変動・プラネタリーヘルス対策の推進~(2022年12月19日)
注目の投稿
-
2023-05-19
【申込受付中】医療政策アカデミー第12期 Advance「医療政策を視る眼を養う」(2023年8月開講 ※申込締切:2023年6月29日)
-
2023-05-26
HGPI 提言・報告書リスト
-
2023-06-07
【政策提言】骨太の方針2023策定に対する提言 薬剤耐性(AMR)対策の促進に向けて(2023年5月24日)
-
2023-06-07
【開催報告】長崎プラネタリーヘルス専門家会合「COP27およびCOP15からG7広島サミットへ:地球規模で生じている気候変動、環境、生物多様性と 人間の健康に関する課題解決に向けた新しいパートナーシップ」(2023年5月12日)
-
2023-06-07
【開催報告】2023 G7広島サミットレガシーイベント「認知症を考える~共生社会とイノベーションを日本から~」(2023年5月28日)