【開催報告】国際対話「地域に根付いた市民主体のAMR対策の展開に向けて-Antibiotic Smart Swedenの取組に学ぶ-」(2024年10月25日)
日付:2024年11月11日
タグ: AMR
薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)は公衆衛生・国際保健の課題として、EUやG7等の国際的な議論の場でも大きな注目を浴びています。2019年には495万人もの命がAMRの影響で失われており、このままAMR対策を実行しなければ、今後25年の間に世界で3900万人が命を落とすと予測されています。
さらに、AMRは人間、動物、食品、環境にまたがる複雑な課題であり、国や地域、世界全体が一丸となって、医療機関、高齢者施設、教育機関、上下水道施設、農蓄水産業施設等の分野横断的な連携を推し進めることが重要です。一方で、各施設は市民の日々の生活と不可分であり、活動内容も人口動態、歴史、地場産業等の地域の特性を反映しています。その中で、効果的かつ実効性の高いAMR対策を進めるには、多様な関係者の賛同と協力を得ながら、地域に根付いた形でAMR対策を展開する必要性があります。
スウェーデンでは、「Antibiotic Smart Sweden」という取り組みが省庁横断的に立ち上がり、複数の自治体や地域が参画して、AMR対策における分野横断的な連携を推し進めています。多様な関係者の賛同を得ながら、下水道施設や高齢者施設でのAMRの動向把握調査事業、教育機関での普及啓発等を展開しており、地域に根付いた市民主体のAMR対策が進んでいるところです。
日本でも地域に根付いたAMR対策の重要性は認識されていますが、具体的な施策や予算措置は自治体の裁量も大きく、各地域のAMR対策には濃淡があります。一方で、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」が全面改定され、AMR対策を含む感染症対策において地域が果たす役割への期待は増しています。
加えて、2024年9月26日には国連総会ハイレベル会合でAMRに関する政治宣言が採択されました。国際社会が目指すビジョンを具体的な実践にまで落とし込み、各地域に指針を提示していく必要性はどの国でも求められています。
そこで、本会合では2023年にEU議長国(上半期)、G7議長国として世界のAMR対策を先導してきたスウェーデンと日本に焦点を当てました。まず「Antibiotic Smart Sweden」をはじめとするスウェーデンの取り組みを概説いただきました。そのうえで、両国の自治体からAMR対策の地域展開事例をご紹介いただき、つづくディスカッションを通じて、地域に根付いた市民主体のAMR対策を各地で展開するための方法や課題を整理し、今後の展望について議論を深めました。
【開催概要】
- 日時:2024年10月25日(金)18:00-20:00
- 形式:対面
- 会場:Global Business Hub Tokyo
(〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ3階) - 言語:日本語・英語(同時通訳有り)
- 参加費:無料
- 主催:日本医療政策機構、AMRアライアンス・ジャパン
- 助成:スカンジナビア・ニッポン ササカワ財団
【プログラム】(敬称略・順不同)
18:00-18:10 開会挨拶
乗竹 亮治(日本医療政策機構 代表理事・事務局長)
18:10-18:20 趣旨説明
河野 結(日本医療政策機構 マネージャー)
18:20-18:40 講演1「ヨーロッパにおけるAMR対策」
Patriq Fagerstedt(スウェーデン研究会議(Vetenskapsrådet)シニアリサーチポリシーオフィサー/薬剤耐性に関するプログラム連携イニシアチブ(JPIAMR)事務局長代理)
18:40-19:00 講演2「Antibiotic Smart Sweden」
Camilla Björn(Antibiotic Smart Sweden プロジェクトリーダー/スウェーデン国立研究所)
Gunilla Skoog Ståhlgren(Antibiotic Smart Sweden プロジェクトリーダー/スウェーデン公衆衛生庁)
19:00-19:50 ディスカッション「地域に根付いた市民主体のAMR対策の展開に向けて」
パネリスト:
大崎 正悟(姫路市 健康福祉局 保健医療部 地域医療課 課長)
平山 裕章(福岡県 保健医療介護部 ワンヘルス総合推進課 課長)
Lillan Fahlstedt(タヌム市 公衆衛生戦略官)
Camilla Björn(Antibiotic Smart Sweden プロジェクトリーダー/スウェーデン国立研究所)
Patriq Fagerstedt(スウェーデン研究会議(Vetenskapsrådet)シニアリサーチポリシーオフィサー/薬剤耐性に関するプログラム連携イニシアチブ(JPIAMR)事務局長代理)
Gunilla Skoog Ståhlgren(Antibiotic Smart Sweden プロジェクトリーダー/スウェーデン公衆衛生庁)
モデレーター:
塚本 正太郎(日本医療政策機構 シニアアソシエイト)
19:50-20:00 閉会挨拶
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