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【パブリックコメント提出】がんプロジェクト「ゲノム医療施策に関する基本的な計画(案)」(2025年8月1日)

【パブリックコメント提出】がんプロジェクト「ゲノム医療施策に関する基本的な計画(案)」(2025年8月1日)

日本医療政策機構(HGPI)は、がんプロジェクトの活動の一環として、厚生労働省医政局研究開発政策課が公表した「ゲノム医療施策に関する基本的な計画(案)」に対して、パブリックコメントを提出しました。なお、意見募集はすでに終了しています。

本計画(案)は、2023年に制定された「ゲノム医療推進法(正式名称:良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律)」に基づき、2025年度から5年間にわたり政府が取り組むべきゲノム医療政策の基本方針を示すものです。

ヒトゲノム解読の進展を背景に、がんや難病・希少疾患をはじめとする疾患の診断・治療において、個々の遺伝情報を活用する「ゲノム医療」が急速に広がりを見せています。中でも、がん遺伝子パネル検査の保険適用(2019年)は、ゲノム医療の本格的な臨床実装の起点となりました。


一方で、ゲノム医療の普及と持続的発展に向けては、以下のような課題が指摘されています:

  • 高度な専門性を要することから、提供可能な医療機関が限られている
  • ゲノム医療の研究成果を一層患者に還元するべき
  • ゲノム情報の特性に関して国民の理解をさらに深めるとともに、倫理的配慮が十分に浸透する必要がある

こうした課題を克服し、患者中心の安心できるゲノム医療体制を実現するには、「医療と研究の好循環」の構築が必要不可欠です。本計画案は、「提供体制の整備」「研究開発の推進」「人材育成」「倫理的課題への対応」などを柱に、多岐にわたる施策を総合的に提示しています。

当機構では、これまでのプロジェクトを通じた専門家・当事者との継続的な議論や調査の知見を踏まえ、本計画案の更なる充実を目指し、パブリックコメントを提出しました。提出した意見では、以下の観点を中心に提案を行っています。


パブリックコメントのポイント

  • ゲノム医療の意義や利点(予防・診断・治療の質向上、個別化医療、がん・難病等の克服)についても、国民へのわかりやすい情報発信を強化すべき。
  • 標準治療の一環として、ゲノム情報を適切に活用できるよう、がんゲノム医療中核拠点病院等だけではなく、がん診療連携拠点病院等も含めた教育体制・連携・相談支援の整備を進めるべき。
  • がん遺伝子パネル検査の「標準治療終了後(終了見込み)」に限定された制度を見直し、治療に結びつくタイミングで柔軟に検査を実施できる体制構築を検討すべき。あわせて、エキスパートパネルの簡素化等についても、検討を行うべき。
  • 拡大治験を1症例ごとに柔軟に対応できるようにすることや、Patient assistant programを実施しやすい環境の整備など、未承認薬・適用外薬へのアクセス向上を図るべき。
  • ゲノム研究の計画・デザイン段階から市民・患者が参画できるPPI(Patient and Public Involvement)の枠組みを整備し、協働・対話の場を構築すべき。
  • 相談支援の質と人材確保に向け、認定遺伝カウンセラーの国家資格化を含む制度整備を検討すべき。

本パブリックコメントに関する詳しい情報はこちらをご覧ください。

 

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