【開催報告】「市民社会のためのNCDグローバルフォーラム 脳卒中・心臓病その他の循環器病セッション『ワークショップ』『グローバル専門家会合』」(2019年3月26日)
*****最終報告書を作成し、発表しました。(2019年11月13日)
詳しくは、本ページの末尾のPDFファイルをご覧ください。
2019年3月26日(火)、日本医療政策機構は、「市民社会のためのNCDグローバルフォーラム 脳卒中・心臓病その他の循環器病セッション『脳卒中・心臓病その他の循環器病 ワークショップ』『脳卒中・心臓病その他の循環器病 グローバル専門家会合』」を開催致しました。
■NCDs (Non-Communicable Diseases:非感染性疾患) に関する最近の動向と当機構の活動
心疾患、がん、糖尿病、慢性呼吸器疾患、メンタルヘルスなどに代表されるNCDsは世界最大の死因となっており、WHOの統計によると、2015年には、世界で3950万人がNCDsに起因し死亡し、その数は全死因の約70%にものぼります。国際的にもNCDsの予防や疾病管理を促進する動きは拡大しており、2018年には、国連総会でNCDsに関する第3回ハイレベル会合が開催され、加盟国により政治宣言書が採択されました。これを受けて、世界的な協働プラットフォームであるNCD Allianceをはじめとした各国のNGOや学術団体などにより、NCDs対策の推進を求める市民社会声明も発表され、日本医療政策機構も署名しました。
NCDsを取り巻く課題や現状に対峙すべく、日本医療政策機構では、NCDsの各疾病領域において、患者・当事者目線から各疾病における政策課題を抽出し、求められる政策を提言することを目的に、国内外の患者・当事者を含めた産官学民が結集するグローバルフォーラムを継続開催しています。2018年には、糖尿病とがんをテーマとした患者・当事者リーダーを対象としたワークショップとグローバル専門家会合をそれぞれ開催し、また認知症に焦点を当てたラウンドテーブル会合を実施いたしました。
* NCD Alliance: 約2000の市民団体・学術集団が約170か国で展開する協働プラットフォーム
■「市民社会のためのNCDグローバルフォーラム: 脳卒中・心臓病その他の循環器病セッション」概要
心疾患・脳卒中を合わせた日本の死亡者数は、第1位のがんに匹敵し、今後の高齢者人口の増加に伴いさらなる増加が予想されます。また、循環器病対策に使われる医療費は国民総医療費の中で大きな割合を占め、我が国にとって喫緊の重要課題となっています。当機構では、2007年に日本で初めての心疾患医療政策についての患者意識調査と、2009年に脳卒中患者を対象とした脳卒中政策に関する初の「脳卒中患者意識調査」を実施し、患者・当事者が抱える課題意識を国内外に向けて発信しました。また、2011年に、国会議員や脳卒中対策関係者を対象とした「脳卒中政策フォーラム」開催を通じて、市民主体の政策提言が生まれる場となりました。
2018年12月には、脳卒中、心臓病、その他の循環器病における総合的な対策を推進するための「健康寿命の延伸などを図る為の脳卒中、心臓病その他循環器病に係る対策に関する基本法」がついに成立しました。厚生労働省に患者団体含むマルチステークホルダーからなる脳卒中・循環器病対策推進協議会が設置され、政府と都道府県により脳卒中・循環器病対策推進基本計画が作成されることになります。このような脳卒中・循環器病対策におけるモメンタムの高まりを受けて、脳卒中・循環器対策推進基本計画に反映すべき当事者主体の政策課題を抽出するとともに、NCDs横断的な共通課題に対する理解を深めることを目的に、患者・当事者リーダーを対象としたワークショップと、事例紹介やパネルディスカッションを通じ今後の脳卒中・循環器病対策や、産官学民の連携の在り方について議論を深めるグローバル専門家会合を実施しました。
■脳卒中・心臓病その他の循環器病 ワークショップ
共催:
特定非営利活動法人 日本医療政策機構 (HGPI)
特定非営利活動法人 日本慢性疾患セルフマネジメント協会 (J-CDSMA)
協力:
一般社団法人ピーペック(PPeCC)
参加者:
国内外の患者・当事者リーダー、学術関係者、企業関係者、医療従事者、政策立案者など
ワークショップでは、冒頭に「脳卒中・循環器病対策基本法制定の経緯と今後の展望」のタイトルにて全体で先般成立した法律の制定までの道のりについて全体で学びました。その後「先行事例から学ぶ脳卒中・心臓病その他の循環器病における患者参画のあるべき姿~脳卒中・循環器病対策基本法制定を受けて~」と題したディスカッションを行い、がん対策推進基本計画の経験を踏まえて患者・当事者の声を反映した政策実現に向けて意見交換をしたほか、疾患や年代・立場の違いを超えて各々のアドボカシー強化に向けて必要な取り組みなどをテーマに、マルチステークホルダーによる活発な議論が行われました。
■脳卒中・心臓病その他の循環器病 グローバル専門家会合
グローバル専門家会合では、国内外を代表するマルチステークホルダーがワークショップでのディスカッションを振り返り、患者・当事者中心の医療提供体制に向けて議論が行われました。国内外の脳卒中・心疾患その他の循環器病対策に関する取り組みが多数紹介されたほか、2018年4回目のNCDフォーラムとして、これまでを踏まえた議論が展開されると共に、改めてNCD共通の疾患横断的課題の存在を認識する場となりました。
開会・趣旨説明
乗竹 亮治(日本医療政策機構 理事・事務局長)
基調講演「脳卒中・循環器病対策推進基本計画の策定に向けた取り組み」
佐々木 昌弘(厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課長)
ワークショップの報告
武田 飛呂城(特定非営利活動法人 日本慢性疾患セルフマネジメント協会 (J-CDSMA) 事務局長)
ラウンドテーブル ディスカッション
「脳卒中・心臓病その他の循環器病における患者・当事者中心の医療提供体制の実現に向けて」
ラウンドテーブル登壇者:
石井 みどり(参議院議員)
磯部 光章(公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院 専務理事・院長)
川勝 弘之(公益社団法人日本脳卒中協会 理事/三井住友海上あいおい生命保険株式会社)
山本 晴子(国立循環器病研究センター 理事長特任補佐・臨床試験推進センター長/公益社団法人日本脳卒中協会 副事務局長)
ウィル ウオーン(Heart Valve Voice, CEO)
ケイミン ワング(エドワーズライフサイエンス株式会社 代表取締役会長)
サラ ベルソン(World Stroke Organization/ Stroke Association UK, International Development Manager)
リサ デック(American Heart Association, Go Red for Women National Spokesperson)
モデレーター:
栗田 駿一郎(日本医療政策機構 シニアアソシエイト)
*「市民社会のためのNCDグローバルフォーラム」
NCDs 疾患領域毎において患者・当事者主体で政策課題を抽出し、政策を提言することを目的に、国内外の患者・当事者をはじめとした産官学民が結集する「市民社会のためのNCDグローバルフォーラム(ワークショップ・専門家会合)」を4度にわたり開催いたしました。
■これまでの開催報告
>> 糖尿病セッション 開催報告書はこちら
>> がんセッション 政策提言書はこちら
>> 認知症セッション 開催報告書はこちら
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