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【開催報告】第77回定例朝食会「NCDs(Non-communicable Diseases: 非感染性疾患)疾患横断の共通課題への理解促進に向けて」~2018年度市民社会のためのNCDグローバルフォーラムより~(2019年5月14日)

【開催報告】第77回定例朝食会「NCDs(Non-communicable Diseases: 非感染性疾患)疾患横断の共通課題への理解促進に向けて」~2018年度市民社会のためのNCDグローバルフォーラムより~(2019年5月14日)



今回の定例朝食会では、2018年に日本医療政策機構が開催した「市民社会のためのNCDグローバルフォーラム」*の全てにご登壇いただきました武田 飛呂城 氏(社会福祉法人はばたき福祉事業団 理事長補佐)と、患者・当事者団体向けのワークショップ・意見交換会にご参画いただきました宿野部 武志 氏(一般社団法人 ピーペック 代表理事・CEO)をお迎えし、会場の皆様と一緒に患者・当事者視点でのNCDs横断の共通課題への理解を深めました。



*「市民社会のためのNCDグローバルフォーラム」
NCDs 疾患領域毎において患者・当事者主体で政策課題を抽出し、政策を提言することを目的に、国内外の患者・当事者をはじめとした産官学民が結集する「市民社会のためのNCDグローバルフォーラム(ワークショップ・専門家会合)」を4度にわたり開催いたしました。
>> 糖尿病セッション 開催報告書はこちら
>> がんセッション 政策提言書はこちら
>> 認知症セッション 開催報告書はこちら
>> 脳卒中・心臓病その他の循環器病セッションの当日の様子はこちら

■「これまでの当事者活動の紹介と疾患横断的な取り組みの展望」
 宿野部 武志 氏
(一般社団法人ピーペック代表理事)

私は、3歳で慢性腎炎を発症し19歳で人工透析を導入。透析歴32年である。2008年に社会福祉士の国家試験に合格。社会福祉法人入職を経て、2010年に株式会社ペイシェントフッドを設立。2019年には一般社団法人ピーペックを設立した。
ペイシェントフッドでは、WEBサイト「じんラボ」を運営している。また、患者協働の医療の推進のためのPatient Partnership Programを実施。透析患者の就労支援にも携わっている。「患者協働の医療を推進する会(AMCOP: Association of Advancing Medical Collaboration with Patient)」では、年2回のイベントを開催している。今年立ち上げたピーペックでは、5月11日(土)に第1回PPeCCカフェを開催したところである。
PPeCCという名称の由来は「Power to the People with Chronic Conditions(病気をもつ人に力を)」であり、これがそのまま私たちのミッションとなっている。そして、以下の3点をビジョンとして掲げている。

 1. 病気をもつ人が望む生活に近づくための支援体制構築
 2. 患者会が充実した活動をするための支援体制構築
 3. 病気があっても大丈夫と言える社会の構築


■「疾患横断的な取り組みの実践紹介と当事者の声を医療政策に反映させるために」
 武田 飛呂城 氏(社会福祉法人はばたき福祉事業団 理事長補佐)

スタンフォード大学医学部患者教育研究センターの調査によると、病気をもつ人の課題は①症状・治療(痛みや疲労感、自分の病状を知ることなど)、②生活(仕事、家事、友人関係など)、③感情(不安、イライラなど)の3点に整理される。これら3つの課題を自己管理で解決できれば、日常で困ることを減らすことができる。
そこで「慢性疾患セルフマネジメントプログラム(CDSMP: Chronic Disease Self-management Program)」が開発された。私が所蔵するNPO法人日本慢性疾患セルフマネジメント協会では、このプログラムを採用している。日本での前後比較試験の結果、CDSMP受講6カ月後の時点において、受講者の主観的健康感や医師とのコミュニケーションの改善、健康上の悩みの減少、日常生活充実度や自己効力感の上昇などに有意差がみられた。

 

■ディスカッション
-NCD疾患横断の共通課題を当事者視点で集約し、社会に届けることの大切さ、意義とは?

武田:薬害エイズ事件は1996年に被告である国と製薬5社が加害責任を認め和解が成立し、被害者が国と協議しながら、当事者の声を医療政策等の恒久対策に反映させていくことが約束された。その結果として、海外で承認された抗HIV薬について「承認申請から承認まで概ね4カ月で処理する」という国内での迅速承認が認められたほか、1997年にナショナルセンターとしてエイズ治療・研究開発センター(ACC: AIDS Clinical Center)を設置し、全国に「ブロック拠点病院」が整備された。すると、薬害エイズ被害者の死者数は大きく減少した。患者の思い、信念が国を動かし、多くの命を救うことができた。

-疾患横断的な取り組みが今後期待される「当事者の就労・社会参加」を取り巻く現状とは?

宿野部:透析患者の平均年齢は70歳前後。就労年齢の人もいるが、うち働いていない人が3割程度を占める。企業が透析患者を受け入れる際に求められる配慮等、情報が広く周知されるよう私たちも努力していきたい。

また疾患を問わず、社会人として働く気持ちを支える役割が重要。無理せず、甘えず、バランスをとりながら働くことを意識すべきである。受入側と働く側のコミュニケーションが重要だと思う。

-当事者の声を医療政策に反映させるために必要なこととは?

武田:病気をもつ人・家族等が実際に直面している困難事例を集約すること(患者会・家族会・支援団体への支援)、行政の審議会・研究会等、医療政策決定プロセスに当事者が参加していくこと(当事者スピーカーの育成)、ステークホルダーの一員として、当事者セクターの地位を向上させること(当事者が力をつける+社会啓発)が挙げられる。これらは、まさにピーペックで実現したいことである。当事者に求められる力として、様々な力が求められるが、1人で全てを実施する必要はない。多くの患者・当事者が医療政策の決定プロセスに参加する中で、それぞれの強みを生かしていければいいと思う。プレーヤーの数を増やしていくことが大事であるとともに、多様なステークホルダーが協働できるプラットフォームの構築が必要とされる。

 


(写真:高橋 清)


■プロフィール
■宿野部 武志 氏
1968年生まれ。3歳時に慢性腎炎に罹患。18歳より慢性腎不全により透析導入、現在透析歴31年。2008年腎臓がんにより左腎臓を摘出。身体障害者。一般社団法人ペイシェントフッド代表理事、社会福祉士。2006年ソニー株式会社を退職、社会福祉士の資格を取得後2010年に起業。ほかに患者協働の医療を推進する会(AMCOP)代表、世田谷区身体障害者相談員などを兼務。

■武田 飛呂城 氏
1978年生まれ。早稲田大学社会科学部卒。生まれつき血友病をもち、非加熱血液製剤の投与によりHIVに感染(薬害エイズ事件)。2005年、日本慢性疾患セルフマネジメント協会設立より入職し、20193月まで職員として勤務。2007年スタンフォード大学医学部患者教育研究センターの慢性疾患セルフマネジメントマスタートレーナー研修を修了。現在、社会福祉法人はばたき福祉事業団理事長補佐を務めるほか、一般社団法人ピーペック理事(CKO)、NPO法人日本慢性疾患セルフマネジメント協会事務局長、NPO法人日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス監事、全国難病センター研究会運営委員、東京医科大学臨床研究審査委員などを兼務。

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