【論点整理】専門家会合「少子化時代における持続可能な周産期医療提供体制の確立に向けて」(2024年11月11日)
日付:2024年11月11日
タグ: 女性の健康
日本医療政策機構 女性の健康プロジェクトはこの度、2024年7月17日(水)に開催した、専門家会合「少子化時代における持続可能な周産期医療提供体制の確立に向けて」での議論を踏まえて作成した今後の周産期医療提供体制を検討する上での論点整理を公表いたします。
本会合では、少子化時代においても安心かつ安全な周産期医療提供体制を維持していくべく、有識者の方々にご参集いただき、現行の施策に加え求められる方策について議論しました。
論点整理の詳細は末尾のPDFをご覧ください。
なお、本会合に関する詳細は、関連の投稿より開催報告をご覧ください。
5つの論点
論点1:分娩数の減少、分娩を担うとりわけ地方での医師不足と医師の高齢化、物価高騰や人件費の上昇による出産コストの上昇、医師の働き方改革等の要因により、現行の周産期医療制度では安心、安全な周産期医療を提供できる体制の維持が困難である。現在実施されている出産育児一時金の増額や出産費用の保険適用など考えうるあらゆる選択肢を検討することが求められる。
論点2:出産に係る財源については、妊産婦とその家族の負担を軽減し、かつ、地域における周産期医療機関の体制維持が実現できるという2点を担保することが求められる。そのために、保険・公費・自費の3つの財源を組み合わせて、幅のある財源支援体制の検討が必要である。
論点3:夜間分娩が全体数の約半数を占めていることから、安心で安全な分娩体制を保持するためには、現行制度の下で分娩に携わる産科医の当直回数を減らすことは非常に困難である。産科の特殊性を鑑みて、医師の働き方改革で提示された時間外労働の水準時間をどのように達成可能か、再検討が求められる。
論点4:少子化に伴い、中長期的な産科医療機関の集約化が検討されている。しかし、集約化による妊産婦と家族の負担の増加は、地方になればなるほど大きな課題となる。機能分化をしながらどのような集約化をすれば医療水準を守りつつ体制整備ができるか、慎重な検討が必要である。
論点5:分娩前後では、分娩への立ち合いや出産前のペリネイタルビジット等、小児科医が担う役割も大きい。それだけでなく、少子化による小児の医療提供体制の持続可能性については、財源確保の課題やなり手不足等周産期と同様の課題がある。胎児から子どもまで切れ目のない医療体制の実現についても検討が必要である。
なお、論点整理の内容はあくまでも日本医療政策機構の組織としての見解であり、会合に参加した個々の参加者の見解や、参加者の属性・所属団体の見解を反映したものではありません。
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