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【政策提言】「予防接種・ワクチン政策の推進に向けたステークホルダー間の協力関係の強化を目指すための提言」(2022年9月13日)

【政策提言】「予防接種・ワクチン政策の推進に向けたステークホルダー間の協力関係の強化を目指すための提言」(2022年9月13日)

日本医療政策機構は、「予防接種・ワクチン政策の推進に向けたステークホルダー間の協力関係の強化を目指すための提言」を公表しました。

当機構では、20216月に公表した政策提言「ライフコースアプローチに基づいた予防接種・ワクチン政策 5つの視点と具体策」において重要な論点とされた、ステークホルダー間の協力関係の強化について、その必要性を共有する有志の専門家による議論を取りまとめ、今後求められる取り組みについて論点を整理しました。今後の予防接種・ワクチン政策において、本提言が活かされ、ステークホルダー間の協力がさらに深化していくことを期待しています。

 

エグゼクティブサマリー:

わが国の予防接種・ワクチン政策の現状をみると、国民の間でワクチン接種の必要性やメリットは相応に理解されており、小児を対象としたワクチン接種等、公衆衛生上必要とされる接種は比較的高い比率で実施されてきている。もっとも、風疹ワクチン(主に中年男性)や成人肺炎球菌ワクチン(主に高齢者)など、長年にわたって接種率が目標水準に達していないものも少なからずみられている。

接種率を効果的に引き上げていくためには、接種対象者に対して、(1)情報提供を多方面から積極的に行って、「認知度」を向上させること、(2)風評や非科学的な言説によってワクチン忌避が起こらないように、正しい情報を積極的に提供して「受容、納得感」を高めること、の二つがとくに重要となる。

今回の新型コロナ対応という有事を通じて、自治体・政府、医療従事者はもちろんのこと、研究者、職域・学校、マスコミ、NPO、市民等の幅広い関係者が、それぞれの立場で協力することの重要性は再認識されたが、平時にも、多くのステークホルダーの協力を得ていくことが重要であることは言うまでもない。

こうした現状認識を踏まえ、日本医療政策機構では、様々なステークホルダーの協力によって、(平時における)予防接種・ワクチン政策が一層効果的に推進されるように、以下の3点について提言する。

  1. 政府(ないしNPOなど)が、自治体別のワクチン接種の実績について、比較可能なデータを収集・整備し、定期的に公表すること
  2. 厚生労働省が文部科学省・自治体等と連携し、教育現場や職場が、予防接種・ワクチン政策について積極的に啓発活動等を行えるよう、環境を整備すること
  3. 学会・行政・マスコミが協力し、「有害事象」「副反応」「接種勧奨」「努力義務」という用語の定義や使い方を含めて、誤解や不安を減らすための情報発信を積極的・継続的に行うこと

 

今後の予防接種・ワクチン政策において、本提言が活かされ、ステークホルダー間の協力がさらに深化していくことを強く望んでいる。

 

ワーキンググループ4「マルチステークホルダーエンゲージメント」メンバー(敬称略、五十音順(2021年度時点)):

ワーキンググループメンバー

  • 阿真 京子(「子どもと医療」プロジェクト代表)
  • 岡部 信彦(川崎市健康安全研究所 所長)
  • 可児 佳代(風疹をなくそうの会『hand in hand』共同代表)
  • 齋藤 昭彦(新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野 教授/新潟大学医学部 副学部長)
  • 鈴木 康裕(国際医療福祉大学 副学長)
  • 中井 麻子(特定非営利活動法人 VPDを知って、子どもを守ろうの会 事務局)
  • 藤本 陽子(ファイザー株式会社 取締役 執行役員 ワクチン部門長)
  • 森内 浩幸(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 教授/長崎大学 熱帯医学&グローバルヘルス研究科 教授)

 

スペシャル・アドバイザー

  • 武見 敬三(参議院議員/ワクチンを活用して疾病の予防、罹患率の減少を目指し、国民の健康増進を推進する議員の会(ワクチン予防議連) 会長)
  • 古屋 範子(衆議院議員/ワクチンを活用して疾病の予防、罹患率の減少を目指し、国民の健康増進を推進する議員の会(ワクチン予防議連) 会長代理)

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