【論点整理】NCDs関連プロジェクト「地方自治体における生活習慣病対策の教訓と課題、未来への展望」(2024年6月17日)
※英語版を公開しました。(2024年8月19日)
この度、日本医療政策機構は論点整理「地方自治体における生活習慣病対策における教訓と課題、未来への展望」を公表いたしました。
当機構では、地域・職域で一体となって横断的に介入・管理が求められる非感染性疾患(NCDs: Non-Communicable Diseases)・生活習慣病について、地域の実態とその特性に即した対策の在り方を検討し、政策の横展開を推進することを目的とし、2023年12月に「第1回NCDs会合 九州地方開催」、2024年3月に「第2回生活習慣病対策に関する意見交換会 北海道・東北地方開催」を開催いたしました。
本会合にご参加いただいた有識者・行政関係者の方々による議論をもとに、地方自治体における生活習慣病対策の論点を抽出いたしました。詳細は末尾のPDFをご覧ください。
論点1:心腎代謝性疾患、肥満症及び関連するリスクファクターに関して互いに関連する病態として捉る。とりわけ、地域においてこれらを個別疾患対策として推進するのではなく、より統合的なアプローチで予防、治療からリハビリまでのアプローチを実施できる体制を構築する
論点2:定期健診・特定健診の受診率向上を図るには、対象者の背景を踏まえた勧奨方法や結果説明が望まれる
論点3:健診で要再検査・要精密検査となった対象者には、個人のライフスタイルに合わせた対話を通じて医療機関への受診を促すとともに(二次検査)、受診に対する障壁を除去することが重要である
論点4:健診後のフォローアップの質を担保し、適切なタイミングでかかりつけ医から専門医への紹介・連携を実現するには、診断・紹介基準の周知を含めた医療の標準化や円滑な診療連携のためのネットワーク構築が求められる
論点5:専門医の偏在により早期発見のタイミングを逃すケースがあり、医療DXの推進による専門医へのアクセスの向上が望まれる
論点6:生活習慣病対策においては、都道府県と市町村相互の職員の能力強化及び両者の連携を促すことが必要である(都道府県―市区町村連携の推進)
論点7:各自治体内での疾病横断連携には保健所が重要な役割を果たしており、その機能強化が望まれる
論点8:保健所と都道府県、市町村との連携の円滑化を図ることが重要である(保健所を核とした地域ステークホルダーの連携体制の構築)
論点9:公的セクターのみならず、産業界が協力したことでより有用な生活習慣病対策を推進できた事例があり、産官学の連携が重要である
論点10:地域保健と職域保健の連携強化によるポピュレーションアプローチが期待される
論点11:他疾患の重症化を予防する観点から肥満症対策が重要視されつつあるが、各自治体では主にメタボリックシンドローム対策に留まっており、肥満症の認知拡大が求められる
論点12:各疾患の政策段階に応じて患者が適切な治療や支援を受けられる体制を整える必要がある。さらに、疾患間の連携を意識した地域内連携体制の構築が望まれる
論点13:生活習慣病対策においては、ライフコースアプローチの視点や社会経済的・福祉的側面を考慮した、多様なステークホルダーとの連携が必要である
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