【政策提言】「認知行動療法及び認知行動療法の考え方に基づいた支援方法の普及に向けた提言」(2021年4月16日)
日付:2021年4月16日
タグ: メンタルヘルス

日本医療政策機構では、厚生労働省令和2年度障害者総合福祉推進事業として採択された「認知行動療法及び認知行動療法の考え方に基づいた支援方法に係る実態把握及び今後の普及と体制整備に資する検討」を実施し、事業報告書を公表致しました。
本報告書の第6章では、今後の認知行動療法及び認知行動療法の考え方に基づいた支援方法の普及に向けた提言を取りまとめましたので、抜粋しご紹介いたします。
本事業では、実装科学の考え方に基づき、今後の認知行動療法の普及に向けた要件を「エビデンス」「政策指針」「人材育成」「提供体制」「患者・当事者視点」「評価・モニタリング」の6つに分類し、これらの分類に基づいて提言を作成しました。
■提言の概要
(出典:「認知行動療法及び認知行動療法の考え方に基づいた支援方法に係る実態把握及び今後の普及と体制整備に資する検討」事業報告書 p.118)
1. エビデンス
「認知行動療法」及び「認知行動療法の考え方に基づいた支援方法」に共通の提言
- 社会におけるニーズ調査・医療経済評価の必要性
- 各領域における現場での実装可能性を検証する必要性
「疾患治療としての認知行動療法」に関する提言
- 臨床現場の課題に応えることのできるエビデンスの必要性
- 適切な認知行動療法の実施回数に関するエビデンスの構築の必要性
「認知行動療法の考え方に基づいた支援」に関する提言
- 各種プログラムのメンタルヘルス・ウェルビーイングの向上への効果を検証する必要性
2. 政策指針
「認知行動療法」及び「認知行動療法の考え方に基づいた支援方法」に共通の提言
- メンタルヘルスの包括的な支援に向けた政策指針の必要性
- 地域における認知行動療法の活用に向けた多様な施策の必要性
- 入院医療・地域移行支援・精神科訪問看護等における活用促進施策
- 集団やデジタルテクノロジーの活用も含めたセルフヘルプ等強度を下げた実施形式によるプログラムの提供促進施策
- 多種多様な支援機関におけるプログラムの提供促進施策
「疾患治療としての認知行動療法」に関する提言
- 重症度・複雑性や必要性に応じた診療報酬点数の傾斜設定の必要性
- 重症度・複雑性に応じた傾斜設定
- 必要性を踏まえた傾斜設定
- 治療トータルで点数増加となるようなパッケージ化
- 看護師が認知行動療法により参画しやすい体制を構築する必要性
- 医師から公認心理師等の多様な専門職へのタスクシフティング・タスクシェアリングに向けた論点整理の必要性
「認知行動療法の考え方に基づいた支援方法」に関する提言
- 各領域における普及の促進に向けたインセンティブ設計の必要性
- 地域保健や福祉領域における加算算定のための研修プログラムに認知行動療法の考え方に基づいた支援方法を含める
- 健康経営優良法人認定制度や保険者インセンティブにおける評価指標への追加
- 学習指導要領で、認知行動療法の考え方に基づいた支援に関する記述の検討
3. 人材育成
「認知行動療法」及び「認知行動療法の考え方に基づいた支援方法」に共通の提言
- 段階的な認知行動療法研修システムの整備の必要性
- 継続的なスキルアップや情報提供のためのネットワーク構築の必要性
- 認知行動療法の基礎を医師・看護師等のメンタルヘルスに関わる専門職のベーシックスキルとして位置付ける必要性
4. 提供体制
「疾患治療として認知行動療法」に関する提言
- 他診療科やかかりつけ医との連携体制の構築の必要性
- ICTやアプリケーションを活用した提供体制整備の必要性
「認知行動療法の考え方に基づいた支援方法」に関する提言
- 支援者の介入を前提としないセルフケアを促すプログラム開発の必要性
- 医療との役割分担に向けて、各領域で当事者のリスク・重症度に応じた対応及び実施主体を規定したフローチャートを整理する必要性
- ハイリスク群特定のための仕組みの導入
5. 患者・当事者視点
「認知行動療法」及び「認知行動療法の考え方に基づいた支援方法」に共通の提言
- 患者・当事者視点の情報発信の必要性
- 患者・当事者が支援を継続的に受けるための体制づくりの必要性
- 実施継続率を考慮したインセンティブ設計
- 地域において低負担で利用できる支援プログラムの提供
- カウンセリング等のセルフケアに対する所得控除制度を活用した経済的支援
6. 評価・モニタリング
「認知行動療法」及び「認知行動療法の考え方に基づいた支援方法」に共通の提言
- 実施状況と質についてモニタリングする必要性
- 厚生労働省認知行動療法研修事業の効果検証を継続的に実施する必要性
■関連項目