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【記事掲載】「2020年、今こそ認知症へのマルチステークホルダーの協働を」(世界認知症審議会、2020年2月25日)

【記事掲載】「2020年、今こそ認知症へのマルチステークホルダーの協働を」(世界認知症審議会、2020年2月25日)

日本医療政策機構代表理事の黒川清、シニアアソシエイトの栗田駿一郎が共著にてコラムを執筆し、世界認知症審議会(WDC: World Dementia Council)のwebサイトにて公開されました。

リンクはこちら (英語のみ)

 

 

 

 

 

■日本語版

「2020年、今こそ認知症へのマルチステークホルダーの協働を」(原題:”In 2020, the time for further international cooperation on dementia is now”)

G20を振り返って
日本が議長国として迎えたG20 2019が終了しました。岡山県で開かれたG20保健大臣会合(2019年10月19-20日)では、「UHCの達成」「高齢化への対応」「AMRを含む健康危機への対応」の3つをテーマに、議論が行われました。その会合のコミットメントでは、「高齢化の対応」の12項目のうち5項目で「認知症」について言及があり、改めて国際的に対峙すべき課題であることが共通認識として合意されました。
Okayama Declaration of the G20 Health Ministers
コミットメントでは、今後への期待として大きく2つのポイントが挙げられました。1つは、研究開発の促進です。認知症のリスクの低減、早期発見、診断、治療といったライフコースに沿って研究開発をさらに促進すべきといった点が合意されました。特に社会的にも関心の高いリスク低減の観点では、危険因子と社会的決定因子について、より科学的根拠に基づいた議論がなされることを求めています。もう1つは、認知症の人と共生する環境づくりです。啓発を進め、偏見を予防・克服し、国家レベルからコミュニティレベルまであらゆるステークホルダーが連携して、認知症の人の視点で、適切な環境づくりを進めることで合意しています。
これらは2018年3月に東京で開催したWDC会合で合意した「研究、ケア、リスク軽減、コミュニケーション」の強化とも通ずる点であり、WDCでの議論が国際潮流をリードできていることも確認できました。

またG20 2019保健大臣会合(2019年10月19-20日)に合わせて、東京ではWDC主催のサイドイベントとして”WDC Summit 2019 Tokyo -The legacy of the G20 Japanese presidency-”が開催されました。日本医療政策機構(HGPI)も企画協力団体として参画しました。会合では、治療に向けた研究開発の促進や、認知症の人や家族および介護者の生活の質を向上させるために何ができるかといった視点から議論が進められました。研究開発の促進に向けた新たなパートナーシップの発表や、WHOの新たなツールキットの紹介、各国政府主張が今後の認知症政策の展望について議論を交わす、貴重な機会となりました。

日本の近況
2019年は日本の認知症政策においても、エポックメイキングな年になりました。政府が認知症施策推進大綱を公表し、初めて省庁横断的な国家戦略となりました。またさらには継続的な国家戦略の策定と見直しを義務付けるための認知症基本法案も国会に提出され、今後法案に対する審議が進むことが期待されています。

G20 2020に期待すること
2020年のG20議長国はサウジアラビアです。サウジアラビアは、3つの大陸にまたがり、海運上の重要地点であるバブ・エル・マンデブ海峡、ホルムズ海峡、スエズ運河につながる地政学上も重要な国家です。欧州、さらには米中関係が不透明な中、サウジアラビアのリーダーシップに大きな期待が寄せられています。G20 2020のウェブサイトでは、すでに「Empowering People・Safeguarding the Planet・Shaping New Frontiers」が柱となるアジェンダとして公表されています。認知症の人や家族および介護者を中心に、持続可能かつイノベーティブな、研究開発・ケア・コミュニティの進展に向けて議論が進むことを期待しています。

WDCの今後の役割
下記のグラフは、ある単語がGoogleでどれだけ検索されているかというトレンドをグラフで見ることができる「Google Trend」で、AlzheimerとDementiaの2語について、日本と英国における推移を表したものです。私たちWDCが設立された2013年12月以降、大きく増加していることが分かります。世の中の関心を高めることも、私たちにとって重要な役割の1つでもあります。

WDCでは現在、「データ共有プラットフォームの検討」「認知症にやさしいコミュニティエビデンスの収集」の2つのプロジェクトが行われています。これらは上述した2019年G20保健大臣会合のコミットメントにも通ずる取り組みです。さらにいずれもマルチステークホルダーの協働が不可欠です。産業界、アカデミア、医療提供者、行政府、そして認知症の人と家族および介護者が連携し、共通の目標に向かって進むことが求められています。私たちはこれらのプロジェクト、さらにはWDCでの議論、様々なステークホルダーとの連携を通じて、こうしたグローバルな認知症課題の解決に向けた動きを後押ししていかなくてはなりません。

 

Kiyoshi Kurokawa, MD (WDC member/Health and Global Policy Institute (HGPI), Chairman)
Shunichiro Kurita, MPM (Health and Global Policy Institute (HGPI), Senior Associate)

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