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(開催報告)超党派議員勉強会「呼吸器疾患の健康や社会への影響」

(開催報告)超党派議員勉強会「呼吸器疾患の健康や社会への影響」
日本医療政策機構は2013年11月28日(木)、参議院議員会館にて「超党派コングレッショナル・ブリーフィング(議員勉強会)」を開催いたしました。

先日世界保健機関(WHO)で微小粒子状物質PM2.5の発がんリスクが5段階の危険度のうち最高レベルに分類したと発表されました。これらに起因する肺がんや呼吸器疾患 (慢性閉塞性肺疾患:COPDなど)の患者数が急増しており、喫緊の対策が必要とされる中、本勉強会では、黒川清(日本医療政策機構代表理事)による開会の辞に続き、西村正治氏(北海道大学大学院呼吸器内科学分野教授/一般社団法人日本呼吸器学会理事長)、遠山和子氏(日本呼吸器障害者情報センター理事長)、宮田俊男(日本医療政策機構エグゼクティブディレクター)により、それぞれの立場から国内外における呼吸器疾患の健康や社会への影響と必要な対策について、お話を伺いました。

■高齢化社会の中、増加し続けるCOPDと深刻な呼吸器専門医の不足
西村氏は、COPDは世界の死因として第9位(2004年)から第3位(2030年)と増加し、日本においてもCOPDによる死亡が増加し続けていることを述べました。しかしながら、COPD推定患者500万人以上のうち、診断されて治療を受けているCOPD患者は25万人以下であり、氷山の一角であることを指摘しました。また日本呼吸器学会が2004年に行った調査では、呼吸器専門医が不足していることが明らかであると指摘しました。

■呼吸器専門医増加のための関連団体への要望

呼吸器専門医の増加のためには、国に対して呼吸器系疾患診療報酬の増加、国、自治体、医師会に対して、呼吸器系疾患診療病院の地域内適正配置の推進、医師会、マスコミに対して、呼吸器科医師不足、過重労働、無報酬勤務の現状に関する情報提供が必要と述べました。

■COPD患者の生活や困難の現状
遠山氏はCOPD患者の生活や困難について正しく認識されていなかったり、誤った情報の提供をされていることがあることを指摘しました。これらの現状を踏まえ、遠山氏は、日本呼吸器障害者情報センターを立ち上げ、啓発を主眼に活動をしています。

■患者の生活や困難にリンクした啓発や社会保障の必要性
COPD患者の生活や困難をふまえて、禁煙啓発の強化(たばこ警告の修正及びたばこ税の増税)、啓発活動の拡大(患者の発見に加えて、既に診断された患者への治療の提供)、社会保障の改善(身体障害認定基準や介護保険認定基準の適正化)の必要性を述べました。

■COPD患者のQOLへの影響及び費用負担の実態調査
宮田は、日本医療政策機構が行った調査結果から、スクリーニング尺度により分類されたCOPD非罹患者、潜在的COPD患者、COPD患者ごとに段階的にQOLが低下することを指摘しました。さらに、COPD患者の費用負担は、医療費や生産性損失を勘案して少なく見積もっても約2,000億円にのぼることを指摘しました。

■調査をふまえた政策上の課題および対策
調査結果をふまえ、COPDの早期発見体制を確立、適切な治療やケア提供体制を可能にする医療専門職育成の推進、関連ステークホルダーによる連携体制の促進、ターゲットに合わせた喫煙対策の推進、国民全体への認知啓発活動の推進の必要性を述べました。

勉強会の出席議員や関連団体の方々とのディスカッションを経て、呼吸器疾患の健康や社会への影響をふまえ、様々な政策の中で、日本の社会で実現可能な政策について考えていく必要があることを確認し、勉強会を閉会しました。

開催日:2013-11-28

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