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【開催報告】専門家会合「少子化時代における持続可能な周産期医療提供体制の確立に向けて」(2024年7月17日)

【開催報告】専門家会合「少子化時代における持続可能な周産期医療提供体制の確立に向けて」(2024年7月17日)

日本医療政策機構は、2024年7月17日(水)に、専門家会合「少子化時代における持続可能な周産期医療提供体制の確立に向けて」を開催いたしました。

我が国の2023年の出生数は約75万人と、統計が開始されて以降、過去最少を更新し続けており、歯止めがかからない少子化をいかに食い止めるかが喫緊の課題となっています。そのような中、近年では「出世育児一時金」の増額、「出産費用の公表制度」の開始、さらに2026年を目処とした出産費用の保険適用化に向けた検討を進めるなど、政府による各種の対策が進められています。

また、出産費用の負担軽減を望む声がある一方で、出産数の減少や物価高等により産科医療機関を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、急激な制度変更は安心で安全な周産期医療提供体制の崩壊につながりかねないとして危惧されています。

本会合では、少子化時代にどのように安全な周産期医療提供体制を維持できるのか、各専門家の方々と共に活発な意見交換を行い、議論を深化させました。

前半では関連組織から出産の保険適用化を含めて現在の周産期医療提供体制の課題に関する話題提供があり、後半のラウンドテーブルディスカッションでは、1.財政・経済的側面、2.医療提供体制に関する課題、3.医療の質と安全性を論点とし、下記の様な視座が提起されました。

※詳細については、後日、論点整理の形で公表予定にしております。

  • 周産期医療提供体制は、少子化による経営影響、産婦人科医の不足(とりわけ、地方及び急性期医療機関における医師不足)、物価上昇、医師の働き方改革など様々な社会情勢の影響から既に現状維持が難しい状況にある。出産費用の保険適用化の是非に焦点が当たりがちであるが、現行制度のままでも周産期医療提供体制の維持は難しい。現行制度をどのように維持、もしくは変革させるかという視点を含め、様々な観点から今後の制度のあり方について検討する必要がある。
  • 財政的観点からは、特に都市部において妊産婦の出産費用負担が大きいことへの懸念から、1)妊産婦とその家族に対する出産費用の費用負担の軽減、2)地域の周産期医療機関の機能・水準の維持という大きく2つの点を両立させる方策について課題検討していく必要がある。
  • 出産の保険適用については、厳密には現金給付対象となっている出産を現物給付へと変更することの検討であるが、現物給付化する際にはその範囲が争点となる。具体的には、保険で賄われる部分と、付加価値的な要素について自由診療で負担される部分とで階層的な財政支援策を検討する必要がある。
  • 周産期医療提供体制の担い手の不足と医師の働き方改革の影響は深刻である。分娩を取り扱う施設の減少や人員不足といった課題に対して、医療機関の集約化やそれに伴う移動の支援を含めて、産科・小児科共にどのような支援や体制が望ましいか、地域の実情に合わせて検討が必要である。
  • 子育ては子供が生まれるその瞬間だけの話ではなく、その後も成長の各段階において切れ目ない支援が必要である。産前産後ケアの必要性や、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制構築の観点からも、各施設や小児科など他診療科との機能分化や役割の明確化といった検討もされるべきである。


上記論点はいずれの組織・機関を代表する見解ではありません。
日本医療政策機構では、引き続き、持続可能な周産期医療提供体制の確立に向けた有益な議論に寄与すべく活動を進めて参ります。

 

【概要】

  • 日時:2024年7月17日(水)16:30-18:10
  • 形式:対面開催(会場のみ)
    ※ 本会合はチャタムハウスルールを適用し、非公開にて開催いたしました。
  • 会場:大手町フィナンシャルシティ グランキューブ3階 Global Business Hub Tokyo フィールド
  • 言語:日本語
  • 主催:日本医療政策機構

 

【プログラム】(敬称略・五十音順)

16:30-16:35 開催趣旨説明・提言説明

坂元 晴香(日本医療政策機構 シニアマネージャー)

16:35-17:05 話題提供

亀井 良政(日本産科婦人科学会 常務理事)
石渡 勇(日本産婦人科医会 会長)
細野 茂春(日本周産期・新生児医学会 理事/日本小児科学会 理事)
橋本 岳(衆議院議員)

17:05-18:05 ラウンドテーブルディスカッション

石渡 勇(日本産婦人科医会 会長)
亀井 良政(日本産科婦人科学会 常務理事)
佐藤 康弘(厚生労働省 保険局 保険課長)
橋本 岳(衆議院議員)
濵口 欣也(日本医師会 常任理事)
細野 茂春(日本周産期・新生児医学会 理事/日本小児科学会 理事)
伊藤 隆一(日本小児科医会 会長)
森 恩(厚生労働省 医政局 地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室 室長)
吉村 英里(日本医療政策機構 シニアマネージャー)

モデレーター:
坂元 晴香(日本医療政策機構 シニアマネージャー)

18:10 閉会

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